AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)からAIを体系的に勉強してみる
普段から生成AIをはじめ、いろいろなAIサービスを触るようになりました。
仕事でも個人開発でも、「とりあえずAIに聞いてみる」「APIやAIサービスを組み込んでみる」ということは、以前よりずっと身近になっています。
一方で、ふと振り返ってみると、
色々とAIを使っている割に、そういえばAIそのものを体系的に勉強したことがない。
個々の技術について必要になったタイミングで調べることはあっても、
- AI
- Machine Learning
- Deep Learning
- Generative AI
- Foundation Model
- RAG
- AI Agent
といった技術が、全体としてどういう関係にあるのかを順序立てて勉強したことはありませんでした。
そこで、一度基礎から整理してみようと思い、その入口として AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01) を勉強してみることにしました。
この記事では、まず「AIF-C01とはどんな資格なのか」「AWS認定の中でどこに位置するのか」「何を勉強することになるのか」を、2026年9月時点のAWS公式情報をもとに整理します。
なお、本記事ではAWSが公開している試験ガイドなどの公開情報のみを扱います。実際に出題された問題や回答など、試験の非公開情報は扱いません。
AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)とは
AWS Certified AI Practitionerは、AWS認定のFoundational(基礎)レベルに位置するAI資格です。
AWS公式の試験ガイドでは、AIの概念とAWS AIツールについての基礎的な理解を示したい人を対象としており、特にAIの実務的なビジネス活用に重点を置く資格とされています。
対象者として想定されているのは、AWSのAI/ML技術に触れた経験が6か月以下程度で、AI/MLソリューションを「利用する」が、必ずしも自分で構築するわけではない人です。
つまり、「AIエンジニアになるための実装試験」というより、
AI・ML・生成AIとは何なのかを理解し、目的に応じて適切な技術やAWSサービスを判断できるようになるための基礎資格
と考えるのが近そうです。
試験概要は以下です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | AIF-C01 |
| レベル | Foundational |
| 試験時間 | 90分 |
| 問題数 | 65問 |
| 受験料 | 100 USD |
| 合格スコア | 700 / 1000 |
65問のうち50問が採点対象、15問は将来の試験問題を評価するための採点対象外問題です。
また、現在の試験ガイドでは択一・複数選択だけでなく、並べ替えや内容一致形式も定義されています。
「AIの資格」だけど、モデルを作る試験ではない
ここは個人的に重要だと思いました。
AIF-C01では、次のような作業は明確に対象外とされています。
- AI/MLモデルやアルゴリズムの開発・コーディング
- データエンジニアリングや特徴量エンジニアリングの実装
- ハイパーパラメータチューニングやモデル最適化
- AI/MLパイプラインやインフラストラクチャの構築・デプロイ
- AI/MLモデルの数学的・統計的分析
したがって、
「Pythonで機械学習モデルを作れるようになるための資格」
ではありません。
むしろ、
「どんなAI技術が存在していて、どのような場面で何を使うべきなのか」
を理解することに重点が置かれています。
体系的なAI学習の入口として選んだ理由もここにあります。
Cloud Practitionerとは何が違う?
同じFoundationalレベルには、AWS Certified Cloud Practitioner(CLF-C02)があります。
ざっくり整理すると、
Cloud Practitioner = AWSクラウド全般の基礎
AI Practitioner = AWSにおけるAI/ML・生成AIの基礎
という違いがあります。
Cloud Practitionerでは、クラウドの概念、AWS主要サービス、セキュリティ、責任共有モデル、料金・請求などAWS全般を広く扱います。
対してAI Practitionerでは、AWSそのものの基礎知識をある程度前提としながら、AI/ML・生成AIに大きく踏み込みます。
したがって「Cloud PractitionerのAI版」と完全に同一視するより、
AWS認定のFoundationalレベルにある、AI領域に特化したもう一つの入口
と考えた方が分かりやすそうです。
Solutions Architect - Associateとは何が違う?
AWS Certified Solutions Architect - Associate(SAA-C03)はAssociateレベルの資格で、AWS上で適切なソリューションを設計するための技術知識を対象としています。
AIF-C01と比較すると、目的がかなり違います。
| 資格 | 主に問われること |
|---|---|
| Cloud Practitioner | AWSクラウド全般を理解しているか |
| AI Practitioner | AI/ML・生成AIを理解し、適切に活用できるか |
| Solutions Architect - Associate | AWSを使って適切なシステムを設計できるか |
AIF-C01からSAAへ進むという上下関係があるわけではありません。
AIを理解したいのか、AWSアーキテクチャ設計を深めたいのかという方向性の違いと考えた方がよさそうです。
Machine Learning Engineer - Associateとは何が違う?
AI Practitionerと特に比較したかったのが、AWS Certified Machine Learning Engineer - Associateです。
現行のMLA-C01では、
- ML用データの準備
- MLモデル開発
- MLワークフローのデプロイとオーケストレーション
- MLソリューションの監視・保守・セキュリティ
などが対象となっています。
AIF-C01が、
AIを理解し、適切に利用・選択する
資格なのに対して、MLAは、
MLソリューションを構築し、本番環境へデプロイし、運用する
ための技術資格です。
そして2026年、MLAも大きく変わる
ちょうどこの記事を書いている2026年9月、Machine Learning Engineer - AssociateはMLA-C01からMLA-C02への更新期間に入っています。
AWSによればMLA-C02では、従来のMLエンジニアリングに加えて、
- Generative AI
- Agentic AI
- Foundation Model / LLM
- Amazon Bedrock
- Responsible AI
が強化されます。
AWSはその背景として、現在のMLエンジニアが従来型モデルを構築・デプロイするだけではなく、生成AIソリューションを実装し、Foundation ModelやLLMを扱い、Agentic AIワークフローをオーケストレーションするようになっていることを挙げています。
2026年9月1日から英語版ベータの登録開始、9月29日から試験開始予定で、ベータ版は85問・170分・75 USDです。
日本語を含む正式版MLA-C02は2027年初頭に提供予定です。
※2026年9月1日の本稿執筆時点では、AWS公式の試験ガイド一覧ではMLA-C01の詳細ガイドが掲載されていたため、MLA-C02についてはAWSが正式発表済みの内容のみ記載しています。
AIF-C01では何を勉強するのか
AIF-C01は5つのDomainに分かれています。
| Domain | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 1 | AIとMLの基礎 | 20% |
| 2 | GenAIの基礎 | 24% |
| 3 | 基盤モデルの応用 | 28% |
| 4 | 責任あるAIに関するガイドライン | 14% |
| 5 | AIソリューションのセキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス | 14% |
興味深いのは、
生成AIの基礎 24% + 基盤モデルの応用 28% = 52%
となっていることです。
名前こそ「AI Practitioner」ですが、現在の試験では生成AIとFoundation Modelがかなり大きな位置を占めています。
Domain 1:AIとMLの基礎
ここではAI/MLの基本概念を扱います。
例えば、
- AI
- Machine Learning
- Deep Learning
- Neural Network
- NLP
- LLM
- Generative AI
- Agentic AI
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
- 推論
- モデル評価
などです。
個人的には、まずここをきちんと整理したいと思っています。
AI、ML、Deep Learning、Generative AIを何となく使い分けてはいても、
「それぞれの包含関係や違いを説明してください」
と言われると、意外と曖昧なところがあります。
Domain 2:GenAIの基礎
ここから生成AIそのものに入っていきます。
Foundation Model、LLM、Tokenなどの基本概念に加えて、生成AIのユースケースやモデル選択、コストなども対象になります。
2026年版では、Context Engineeringも明示的に追加されました。
Prompt Engineeringだけでなく、「モデルへどのようなコンテキストを与えるか」まで基礎資格で扱われるようになっているのは興味深いところです。
Domain 3:基盤モデルの応用
28%と最も配点が高いDomainです。
例えば、
- Foundation Modelの選択
- Prompt Engineering
- RAG
- Fine-tuning
- In-context Learning
- Model Distillation
- AI Agent
- Foundation Modelの評価
- LLM-as-a-judge
などを扱います。
「生成AIとは何か」を知っているだけではなく、
実際のアプリケーションでFoundation Modelをどう使うか
まで踏み込んでいます。
Domain 4:Responsible AI
生成AIを使う以上、性能だけを考えればよいわけではありません。
ここでは、
- Bias
- Fairness
- Transparency
- Explainability
- Human-centered design
- Human-in-the-loop
などを扱います。
AIが出した答えをそのまま信用するのではなく、なぜその結果になったのか、人間がどう関与すべきなのか、といった観点も試験範囲です。
資格対策というより、実際にAIシステムを扱う上でも重要そうな分野です。
Domain 5:セキュリティ・コンプライアンス・ガバナンス
最後はセキュリティです。
IAM、暗号化、PrivateLinkなどAWSでお馴染みの内容に加え、
- Prompt Injection
- Data Leakage
- Output Filtering / Validation
- Audit Trail / Logging
- Toxicity
- Hallucination
- Grounding
- Amazon Bedrock Guardrails
といったAI固有の問題も扱います。
特に2026年版では、Hallucinationの検出やRAGによるGroundingも明示的な試験対象として追加されています。
2026年版AIF-C01が思った以上に「今のAI」だった
今回試験範囲を確認していて、一番意外だったところです。
AIF-C01の試験ガイドは2026年4月30日にVersion 1.1へ改訂されています。
この改訂で、
- Agentic AI
- Context Engineering
- Model Context Protocol(MCP)
- Multi-Agent System
- Agent間通信
- Memory Management
- Tool Usage
- Workflow Orchestration
- LLM-as-a-judge
- Prompt Versioning / Management
- RAGによるGrounding
- Model Distillation
などが追加・拡充されています。
AWSサービスについても、
- Amazon Bedrock AgentCore
- Kiro
- Strands Agents
- Amazon Q
- Amazon SageMaker JumpStart
などが対象へ追加されています。
特に面白いのがMCPです。
2026年版では、
「MCPと、Agentを外部システムへ接続する際の役割」
までFoundational資格の学習対象になっています。
少し前まで「生成AIを使う」というと、LLMへPromptを渡して回答を得るイメージが強かったと思います。
しかし現在は、
LLM
↓
Context
↓
Memory
↓
Tools
↓
MCP
↓
External Systems
↓
Multi-Agent / Workflow
というところまで、AIアプリケーションの基礎知識として扱われ始めています。
AWSのFoundational資格にAgentic AIやMCPが入ったこと自体が、現在のAI技術の変化をよく表しているように感じました。
結局、どんな人に向いていそうか
試験ガイドを読んだ限りでは、AIF-C01は特に次のような人と相性が良さそうです。
- 普段生成AIを使っているが、体系的にAIを勉強したことがない
- AI/MLの基本用語を一度整理したい
- Amazon BedrockなどAWSの生成AIサービスを使ってみたい
- AIを使ったシステムやプロジェクトに関わる
- エンジニアではないがAIプロジェクトに関わる
- 将来的にMLAなど、より技術的な資格へ進みたい
逆に、
- MLモデルを自分で実装したい
- SageMakerでMLパイプラインを構築したい
- 数学・統計を深く学びたい
- MLOpsを実践したい
という場合は、AIF-C01だけでは足りません。
その場合はMachine Learning Engineer - Associateなど、その先の学習が必要になります。
まずは全体像から勉強してみる
自分の場合は資格取得だけを目的にするというより、
AIF-C01の試験範囲を一つの「AI学習の目次」として使ってみよう
と思っています。
大まかには、
AI / Machine Learning
↓
Deep Learning
↓
Generative AI / LLM
↓
Foundation Model
↓
Prompt / Context Engineering
↓
RAG / Fine-tuning
↓
AI Agent / MCP
↓
Responsible AI
↓
Security / Governance
という順番で整理していく予定です。
試験勉強をしながら、調べた内容についてもQiitaへまとめていこうと思います。
まとめ
AWS Certified AI Practitioner(AIF-C01)について調べてみると、「AWSのAIサービス名を覚えるだけの資格」というイメージとはかなり違いました。
AI/MLの基本から生成AI、Foundation Model、RAG、Responsible AI、セキュリティまで広く扱い、2026年版ではAgentic AI、MCP、Context Engineeringなども試験範囲に入っています。
普段から生成AIを使っていても、それぞれの技術を体系的に整理する機会は意外とありません。
私自身も、
「色々とAIを使っている割に、そういえばAIそのものを基礎から勉強したことがない」
というところからのスタートです。
まずはAIF-C01を一つの道標にして、AIの基礎から改めて整理してみようと思います。
次回はDomain 1から、
「AI・Machine Learning・Deep Learning・Generative AI・Agentic AIは何が違うのか?」
を整理してみます。