OpenAI が2026年4月に発表した GDPval(AI に仕事をさせて何点か測るテスト)では、GPT-5.5 が44職種の平均で84.9点を取りました。この仕組みを使えば、「自分の職種は何点か」を試すことができます。Claude Code のチャット欄に「職種名を〔◯◯〕に変えて送る」だけ。Python がわからなくても、コードを読めなくても問題ありません。
GDPval って何? — 「AI に仕事のテストを受けさせた」話
2026年4月23日、OpenAI(ChatGPT を作っている会社)が「GPT-5.5」という AI の新しいバージョンを発表しました。このとき一緒に公開されたのが GDPval という評価の仕組みです。
GDPval(ジーディーピーバル)を一言で言うと、「AI に仕事の試験を受けさせて、何点取れるか測ったもの」です。
試験の内容はこうです。
- 9つの産業(IT・法律・金融・医療など)から44種類の職種を選ぶ
- それぞれの職種で実際に使う成果物(法律の書類・設計書・提案資料など)を1,320種類用意する
- 平均14年以上の経験を持つ現場のプロに採点してもらう
この試験で、GPT-5.5 は 平均84.9点 を取りました。
もう1つ注目の数字があります。OpenAI によると、AI は同じ作業を人間のプロより 約100倍の速さ・約100分の1のコスト で終えるとされています。たとえ点数が100点でなくても、100倍速くて100分の1のコストなら、企業は「AI に頼む」という選択を始めます。
この試験の重要なポイントは、「職種ごとのスコアが初めて数値で見えるようになった」ことです。これまで「AI に仕事を取られそう?」という問いは感覚の話でしたが、GDPval が登場したことで「自分の職種は何点か」を調べられるようになりました。
やってみよう — Claude Code のチャット欄に頼むだけ
「自分の職種でやってみたいけど、Python は書けない」という方に朗報です。コードは書かなくてよいです。Claude Code(または ChatGPT)のチャット欄に以下を貼り付けるだけで動きます。
チャット欄に貼り付けるだけの指示文(コピペOK):
職種は「営業担当(法人向け)」です。
GDPval の考え方を参考に、以下の4つの軸でこの職種の AI 代替しやすさを0〜10で評価して、
VPI スコア(0〜100%)として出してください。
4軸:
1. 情報処理連鎖(調べて整理して文書にする作業がどれくらい多いか)
2. 文書化可能性(成果物が書類・レポート・メールで完結するか)
3. タスク反復性(毎回同じ種類の作業が繰り返されるか)
4. 身体性依存(体を動かす・現場に行く・対面が必須か)
スコアが高いほど AI が代替しやすい。低いほど AI が苦手な部分が残る。
職種名は「◯◯(自分の職種名)」に変えてください。
「営業担当(法人向け)」の部分を自分の職種に書き換えて送るだけです。Claude Code が自動で計算します。プログラミングの知識は一切不要です。
裏で何が動いているか — コードの中身(読まなくてOK)
「どういう仕組みで動いているのかだけ知りたい」という方のために、Claude Code が実際に書いてくれる Python コードを参考として載せておきます。読む必要はありません。Claude Code に丸投げすると、こういうコードを自動で書いてくれるという参考です。
# 以下は「読まなくてOK」のサンプルコードです。
# Claude Code に「職種を◯◯と入力してVPI を計算して」と頼むだけで
# 同じ結果が出ます。コードをコピーして実行しなくても大丈夫です。
# GDPval を参考にした簡易スコア計算
# (Claude Code がチャットでそのまま計算してくれます)
def calculate_vpi(job_name, info_chain, doc_output, repetition, physical):
"""
VPI(AI が代替しやすさの指数)を計算する関数です。
※ 高いほど AI が代替しやすい。低いほど AI が苦手な部分が残る。
"""
# 身体性は逆転(現場作業が多い = AI が入りにくい = スコアが下がる)
physical_reversed = 10 - physical
# 4つの軸を合計して100点満点に換算
raw = (info_chain * 0.35 + doc_output * 0.30
+ repetition * 0.20 + physical_reversed * 0.15)
vpi = round(raw * 10, 1)
if vpi >= 80:
zone = "HIGH(AI が代替しやすい)"
tip = "定型作業から AI に任せ始めるチャンス。出力のチェック役になる"
elif vpi >= 55:
zone = "MEDIUM(一部は AI、一部は人間)"
tip = "どの作業を AI に渡すか選んで試す段階。少しずつ始めると効果が出やすい"
else:
zone = "LOW(AI がまだ苦手な部分が多い)"
tip = "書類・報告など周辺作業に AI を当てると時間が生まれる"
print(f"\n職種: {job_name}")
print(f"VPI スコア: {vpi}% [{zone}]")
print(f"次のアクション: {tip}")
print(f"参考: GPT-5.5 の GDPval 実測スコア(2026年4月)= 84.9%\n")
# 例: 営業担当(法人向け)で試した場合
# calculate_vpi("営業担当(法人向け)", 6, 7, 5, 6)
# → 実行してみたい場合は Claude Code に「このコードを営業担当で動かして」と頼んでください
このコードは Python 3.8 以上があれば動きます。でも、動かさなくても大丈夫です。上の「チャット欄に貼り付けるだけの指示文」で同じことが実現できます。
やってみた結果 — 「バックエンドエンジニア」の例
参考として、バックエンドエンジニア(サーバー側のプログラムを作る仕事)で試した結果を載せます。
入力した4軸の点数:
- 情報処理連鎖: 8点(設計書やドキュメントを書く作業が多い)
- 文書化可能性: 9点(成果物がコードや仕様書で完結する)
- タスク反復性: 6点(似た処理が繰り返されることが多い)
- 身体性依存: 1点(デスクワークで完結する)
結果は VPI 79.5%、MEDIUM ゾーンでした。
MEDIUM というのは「全部 AI に任せられる」でも「まったく関係ない」でもなく、「一部は AI に渡せるが、判断が必要な部分は人間が残る」という意味です。設計の方針を決めたり、チームで何を作るか議論したりという部分は、79.5%のスコアでも AI が代わりにやるのは難しい。でも、繰り返し発生する定型的な実装やドキュメントの下書きは AI が担えます。
自分の職種で出たスコアの読み方は、後の「スコアごとに次にやること」のセクションを参考にしてください。
今週やってみる5つのアクション
コード書けなくても全部 Claude Code(または ChatGPT)に頼むだけでできます。
1. チャット欄で「職種を◯◯に設定して VPI を計算して」と入力する
上で紹介した指示文をコピーして、職種名の部分を書き換えて送るだけです。スコアが出ます。Claude Code(Claude の入ったエディタ)がなければ、ChatGPT の無料版でも同じことができます。
2. 自分の職種に近い職種を GDPval の公式ページで確認する
OpenAI の GDPval ページ(https://openai.com/index/gdpval/)を開いて、44職種のリストを確認します。自分の職種が載っていなければ、最も似ている職種を探してみましょう。「この職種のどの部分が自分の仕事と重なるか」を考えるだけで、AI の影響がイメージしやすくなります。
3. 今の仕事で「調べてまとめる」作業を1つ AI に頼んでみる
会議の議事録、メールの下書き、資料の目次——どれでも構いません。1つだけ ChatGPT や Claude に作らせてみてください。何分でどのくらいの質のものが出てくるか、記録しておきます。
4. スコアが高かった作業を1つだけ AI に移す実験をする
VPI の高かった作業(文書作成・情報整理など)を1つ選んで、1週間 AI に担ってもらいます。毎日5分の記録で「何時間節約できたか」が見えてきます。この記録が半年後の「AI を活用した実績」になります。
5. 「自分の職種の AI が苦手な部分」を3つ書き出す
Claude Code か ChatGPT に「職種は◯◯です。あなたが苦手な部分を3つ教えてください」と聞いてみましょう。AI が「ここは難しい」と言う部分が、今後も人間の価値が残る場所です。
スコアごとに次にやること
HIGH(VPI 80%以上)の場合
仕事の多くは「調べて整理して文書にする」という流れが中心で、AI がかなり担えます。ここで大切なのは「自動化するかどうか」ではなく、「AI の出力を正確に判断できるか」です。AI が出した答えの何がよくて何が足りないかを見抜く力が、HIGH ゾーンで差をつけるスキルになります。
MEDIUM(VPI 55〜79%)の場合
仕事の一部は AI に任せられ、一部は自分の判断が残る状態です。「どの作業を AI に渡すか」を選ぶ目利きが価値になります。まず定型的な作業(週次報告・資料の下書き・データの整理)から AI を試して、判断が必要な作業に自分の時間を集中させましょう。
LOW(VPI 54%以下)の場合
現場での動作・対面でのケア・長年の経験に基づく判断など、AI がまだ苦手な部分が中心の仕事です。ただし、周辺の書類作成・記録・報告といった作業には AI が入れます。「本業は変わらなくても、書類作業の時間を AI で半分にする」という使い方が現実的です。
まとめ — GDPval をこう読む
GDPval が登場したことで、「AI に仕事が取られるかも」という感覚の話が「自分の職種は何点か」という数値の話に変わりました。
高スコアの職種が「危険」というわけではありません。高スコアの業務を AI に渡して空いた時間を、判断・交渉・設計・対面でのやり取りに使える人が、次のステージに進みます。
私はこのスコアを見て、「AI を使う人と使わない人の格差」ではなく、「AI に何を任せるかを設計できる人とそうでない人の格差」が広がると読んでいます。
コードが書けなくても、チャット欄に職種を入れて送るだけで始められます。まず自分のスコアを出してみてください。職種別の AI 影響をもっと広い視点で見たい方は、AI 時代の職業図鑑(ChatGPT Jobs × AI Atlas 2026) も合わせて読むと、自分の職種の準備視点が深まります。
FAQ
Q: Python が全くわからないのですが、この記事の内容を試せますか?
はい、問題ありません。Claude Code や ChatGPT のチャット欄に指示を入力するだけで試せます。コードをコピーして実行する必要はありません。「職種は◯◯です。VPI を計算して」とチャットに送るだけです。
Q: Claude Code を持っていない場合はどうすればいいですか?
ChatGPT(無料版)でも同じことができます。上で紹介した「チャット欄に貼り付けるだけの指示文」を ChatGPT に送ってみてください。Claude Code は Anthropic が提供するコーディング支援ツール(Claude が入った開発環境)のことです。
Q: VPI スコアは何の数字ですか? GDPval と同じですか?
VPI(Vulnerability Potential Index、職種の AI 代替しやすさの指数)は、GDPval の考え方を参考にした簡易計算です。GDPval 本体は OpenAI が専門家チームで計算した正式な数値ですが、VPI は「自分の職種の業務特性を4軸で自己評価する参考値」です。目安として使ってください。
Q: スコアが高く出ました。仕事を変えたほうがいいですか?
スコアが高いこと自体が「危険」を意味するわけではありません。高スコアの職種は「AI が担える部分が多い」ということで、裏を返せば「AI を使って生産性を上げやすい」ということでもあります。AI のアウトプットを判断・修正・活用できる人は、高スコアの職種でも価値が上がります。
Q: 4つの軸の点数はどうやって決めればいいですか?
直感で大丈夫です。「調べて整理して書類を作る作業が多い職種」は情報処理連鎖が高め(8〜9点)、「現場で身体を動かす作業が多い職種」は身体性依存が高め(7〜9点)という感覚で入力してみてください。Claude Code に「職種は◯◯です。4軸の適切な点数を提案して」と聞くのも一つの方法です。
Q: 無料で使えますか?
ChatGPT 無料版を使う場合は費用がかかりません。Claude Code は Claude の有料プランが必要ですが、ChatGPT の無料版でも同じ計算ができます。Python コードを実行する場合は、Python の無料インストールが必要ですが、コードを実行しなくてもチャットだけで結果は出ます。
引用・出典
- OpenAI「Introducing GPT-5.5」2026年4月23日 https://openai.com/index/introducing-gpt-5-5/ — lastVerified:2026-04-30
- OpenAI「GDPval: Measuring the performance of our models on real-world tasks」https://openai.com/index/gdpval/ — lastVerified:2026-04-30
- PwC「2025 Global AI Jobs Barometer」2025年6月 https://www.pwc.com/gx/en/services/ai/ai-jobs-barometer.html — lastVerified:2026-04-30
- 経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)」2026年3月 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/030_s02_00.pdf — lastVerified:2026-04-30
