こんにちは、アルファアーキテクトでVPoEの胡 恩召(Ethan Hu)です。
まもなく2020年が終わります。新型コロナウイルス感染症拡大により大変な一年になりましたね・・・。そんな中、アドテク業界では、「クッキーレス」が一番HOTな話題となりました。
クッキーとは
ユーザーがウェブサイトをアクセスする際に、一時的にブラウザに保存されるデータのことです。クッキーの使い方の1つとして、ランダム生成した文字列をIDとしてブラウザに保存し、ユーザーを識別するために利用します。クッキー保存をクッキー発行とも表現します。ウェブサイト自体が発行したクッキーをファーストパーティークッキー(1st Party Cookie)と呼び、第三者の会社が発行したクッキーを、サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)と呼びます。
項目 | 1st Party Cookie | 3rd Party Cookie |
---|---|---|
Cookie発行会社 | ウェブサイト運営会社 | 第三者の会社 |
Cookieで管理する情報範囲 | サイト内での行動情報だけ | クロスサイトを通じて横断的に管理可能 |
Cookieによるユーザー側のメリット | ログイン、買い物カゴなど情報を保存出来る | より興味にあった広告を表示されやすくなる |
企業側でのCookie活用方法 | 会員を登録しなくても、サイトの訪問履歴を確認・分析出来る | クロスサイトを通じてユーザーの行動履歴を確認・分析出来る |
ファーストパーティークッキーとサードパーティークッキーの一番大きな違いは、サードパーティークッキーはクロスサイトを通じて横断的に管理出来ます。そのため、広告配信サービスは、ほとんどサードパーティークッキーを使って、ターゲティングや広告効果などを利用されてる。ということです。
個人情報の規制強化とクッキーレス
数年前から、各国での個人情報規制を強化する動きが加速している:
- 2018年5月:欧州でGDPR(一般データ保護規則)が適用
- 2020年1月:米カリフォルニア州でCCPA(消費者プライバシー法)が発効
- 2020年3月:日本の個人情報保護法の改正案が発表
上記の規制強化を踏まえ、関係IT会社のサービスの対策も発表された:
- Safari:2018年9月より、ITP 2.0即時3rd Party Cookieを削除
- Firefox:2019年6月より、3rd Party Cookieをデフォルトブロック
- IDFA:2021年より、IDFAをデフォルトオフ
- Chrome:2022年より、3rd Party Cookieサポートを終了
サードパーティークッキーを利用できなくなり、クッキーレス時代が来るとともに、アドテク業界では、主に3つの影響を受けます。1つ目は、クロスサイトのトラッキングは、出来なくなります。2つ目は、ユーザーが興味を持ちそうな広告配信のターゲティング手法が利用出来なくなります。3つ目は、上記の1と2が原因で、ユーザーの分析やレポーティングが難しくなります。
アドテク業界の動き
アドテク業界、クッキーレスの対策は、主に下記のアプローチがあります。
まずは、オーディエンスターゲティングからIPターゲティングやキーワード・コンテキストターゲティングなど手法へ切り替えることです。
次に、ユーザーIDを統合して、クッキーの代替識別子「共通ID」を開発していくことです。
ファーストパーティークッキーデータを連携しながら、機械学習など確率推定手法も使い、ユーザーIDを判別し、特定のユーザーを識別します。業界は、IABのDigiTrust ID、LiveRamp社のIdentityLink、 theTradeDesk社のUnified IDなど統合IDソリューションがあります。
最後に、ファーストパーティークッキーデータを連携して行くことです。データ連携のソリューションは、CDP(Customer Data Platform)とCMP(Consent Management Platform)があります。CDPはカスタマーデータプラットフォームです。顧客一人ひとりの属性データや行動データを収集・蓄積・統合するためのデータプラットフォームです。CMPは同意管理プラットフォームです。パブリッシャーはCMPを使い、ユーザーから使用範囲と使用目的について同意を得たデータを収集、保管して、デジタル広告のパートナーにそのデータを提供します。
まとめ
クッキーレスに対する各社の対応は、まだ模索中な印象ですが、クッキーレス時代におけるアドテク業界の大きな方向転換は、データ利用の透明性の確保やプライバシーに配慮する上で、ユーザーに広告を配信することが必要です。
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