今回の動機
デスクトップPCでネットサーフィンをしていたところ、突然画面が暗転し再起動されてしまいました。原因を調査し、対策を打つことにしました。
システム構成
以下は今回使用しているPCの構成です。
- Motherboard: MPG X870E EDGE TI WIFI
- CPU: AMD Ryzen 9 9950X
- GPU: ASUS TUF NVIDIA GeForce RTX 5070 Ti 16GB
- OS: Windows 11 Pro
調査の流れ
1. Windowsイベントログの調査
まずは イベントビュアー を利用して、どのような「エラーイベント」が記録されているかを確認しました。
-
確認ポイント
該当時間付近に以下のイベントIDが存在するかを調査します:-
ID:41、6008
-
存在しない場合: イベントID
1074
が記録されていれば正常なシャットダウン/再起動です。 -
存在する場合: イベントID
1001
を確認します。- 存在しない場合: リセットや電源断が原因の可能性があります。
- 存在する場合: BSoD(ブルースクリーン)が発生しダンプファイルが記録されています。
-
存在しない場合: イベントID
-
ID:41、6008
詳細は以下の記事も参考にしてください。
Windowsのリブート原因を追う方法
結果
今回のケースでは以下の現象が確認されました。
- イベントID:41 が記録
- イベントID:1001 も記録
2. dumpファイルの分析
次に、Windows用デバッグツール WinDbg を使用し、dumpファイルを解析しました。
手順
-
管理者権限 で WinDbg を起動。
注意: 管理者権限で実行しないと、ダンプファイルを保存しているフォルダを閲覧できないためエラーになります。
-
dumpファイルをWinDbgで開く。
開いた後に、コマンドプロンプト(kd>
)で以下のコマンドを実行:!analyze -v
出力された情報
以下のような結果が得られました。
3. コマンド実行結果から原因を推測
出力結果の詳細と解説
-
STOPコード
出力詳細から以下のSTOPコードが確認されました:SYSTEM_THREAD_EXCEPTION_NOT_HANDLED (7e)
→ 「カーネルスレッド内で例外がハンドリングされずに停止」したことを示します。
-
例外コード
ExceptionCode: c0000005 (Access violation) Arg1: ffffffffc0000005
→ メモリアクセス違反(例: 不正な読み取り/書き込み)が原因と特定。
-
例外発生モジュール
ExceptionAddress: fffff8029e27bf83 (nvlddmkm+0x00000000000fbf83) Arg2: fffff8029e27bf83
→ 問題の発生原因が Nvidia ドライバー
nvlddmkm.sys
であることが明らかになりました。 -
モジュール名/イメージ名
MODULE_NAME: nvlddmkm IMAGE_NAME: nvlddmkm.sys
→ 問題を引き起こしたのは Nvidia GPU のドライバ
nvlddmkm.sys
であることを特定。 -
FAILURE_BUCKET_ID
FAILURE_BUCKET_ID: AV_nvlddmkm!unknown_function
→ Nvidia ドライバがアクセス違反を起こしたことでカーネルパニックを発生。
問題の概要
調査の結果、以下の状況が判明しました。
- STOPコード: SYSTEM_THREAD_EXCEPTION_NOT_HANDLED (0x7E)
- 例外コード: 0xC0000005(不正なメモリアクセス)
- 障害モジュール: nvlddmkm.sys
- 原因要約: Nvidia のグラフィックドライバーが不正なアクセスを引き起こし、システムがクラッシュ。
考えられる原因
以下の要因が今回の問題に関係している可能性があります。
- ドライバーのバグ/破損
-
ドライバ間の競合
例: AMD、サードパーティ製ドライバとの衝突 -
GPUのハードウェア異常
VRAMの異常やGPUの過熱 - 電源ユニットの容量不足・電圧異常
-
オーバークロック設定
過度な設定が原因の可能性も考えられる。
今回の対策
今回の予期しないさいきどうに対し、以下の対策を実施しました。
- Nvidia ドライバを 最新バージョン に更新
- 最新版での動作を確認し、同様の事象が発生するか様子見
今後も発生する場合は、さらなるハードウェア検証や各コンポーネントの設定調整を行います。