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安い中華アンプに使われているチップのデータシート比較

Last updated at Posted at 2025-07-29

実用上のアンプ出力と選び方について

10Wと表示されたアンプであっても、「音楽を聴けるレベルの歪み率」で出力できるのは、実際には1W程度な場合がある。アンプのデータシートの意味を十分に理解していなかったこともあり、「8Wくらいまでは出せるのでは」と漠然と思っていたが、実測ではそうはいかない。加えて、アンプの出力は接続するスピーカーのインピーダンスにも左右されるため、「10W」と記載されていても、その数値通りの出力が得られるとは限らない。

「ノイズが乗る」と感じる場面の多くは、歪み成分の多い出力域で使用している可能性がある。たとえば音量の小さい動画再生時、ボリュームを上げるとノイズが目立つようになる。こうしたケースでは、より出力の大きいアンプを使う、あるいは能率の高いスピーカーや、インピーダンスの低いスピーカーを選ぶなどの対策が必要になる。

THD+N 0.1%より低いとノイズや歪みが人が感じられる値以下と言われている。

アンプ特性pam8406.png
PAM8406THD+N特性

Lepy 製デジタルアンプ「LP-2024A」は、Tripath TA2024 チップを搭載し、12V 5Aの電源で駆動するモデルである。仕様としては10W出力時に0.1%の歪み率、カットオフ周波数は20kHz程度とされていた。一時期、「音が良い」と話題にもなった製品だ。

アンプ特性Tripath TA2024.png
Tripath TA2024 THD+N特性

一方、現在アマゾンで人気のある「Nobsound NS-01G Pro」は、TPA3116D2という比較的新しいチップを搭載しており、30W出力で0.1%の歪み率を実現している。また、その上位機種にあたる「Nobsound TA-21」や「NS-01G MAX」は、より高性能なTPA3221を採用。こちらは50W出力で同様の歪み率を保ち、100kHz帯での帰還回路も備えており、実用上は40kHzまでの再生が可能とされる。

チップの性能だけを見れば、LepyよりもNobsoundの方が明らかに優れている。これは、単に使われている半導体部品が新しく、高性能であるためだ。

実際、筆者もPAM8406ベースのアンプキットでは限界を感じたため、売れ筋製品である「Nobsound TA-21」を選択した。購入の決め手は、使用されているチップに着目して性能を調査した結果である。製品自体の評価はそこまで高くないが、アンプとしての基本性能は十分に高く、国産メーカーのように過剰な低音ブーストもなく、本体も無駄に大きくない。筆者の使用環境では、これ以上の性能は必要ないと感じている。後日、スピーカーの周波数特性も計測してみる予定だ。
アンプ特性tpa3221.png
TPA3221 THD+N特性

また、電源アダプターを変更すると音質に影響が出る可能性もあるため、試してみたい。なお、本製品のDCプラグは5.5mm × 2.5mmで、9Vから24Vまで対応。電源容量が不足すると、Bluetooth接続時に音が途切れるという報告もある。

試聴環境では、550円の格安スピーカーと5,000円のアンプの組み合わせでも、価格以上の音質が得られたと感じている。アンプを変更したことで10kHz付近の再生が明確に改善し、周波数特性の違いも体感できた。

本製品のサイズは、スマートフォンよりやや大きい程度で、ACアダプターも筆箱ほどの大きさである。サイズ的には頼りなく見えるかもしれないが、実使用には十分だ。カタログ上は「100W + 100W」と表記されているものの、付属のACアダプターは19V・4.7Aであり、実際にはフルパワーは出せない。ただし、筆者が使用しているスピーカーは定格10W・最大50Wなので、十分な出力といえる。

音量を上げても、室内使用では1Wにも満たない消費電力と見られ、アンプ本体は使用中でもほんのり温かい程度。ACアダプターはほとんど発熱しない。なお、ACアダプターの電磁波の影響については今後検証したい。

以前のPAM8406アンプキットでは、音量を上げると歪みやノイズが目立っていたが、それが解消され、よりクリアな音質を得られるようになった。ただし、比較対象がエントリーモデルであるため、音質の優劣を明確に比較するのは難しい。それでも、出力に余裕があることで、安心して音量を上げられるのは大きな利点だ。

Bluetooth接続時の仕様は16bit/44.1kHzで、いわゆるハイレゾには対応していない。AUX接続では24bit/192kHzでの再生も可能だが、正直なところ筆者の耳では違いを判別することはできなかった。Bluetoothでは、省電力機能により無音時にスリープに入り、再生開始時に「ボッ」というノイズが出ることがある。

なお、売れ筋の「Nobsound NS-01G Pro」はTPA3116チップを採用しており、今回選んだTPA3221とは異なる構成だ。商品スペックがチップ性能に忠実かどうかは、実際に試してみないとわからない部分も多い。

TPA3221データーシート
https://www.ti.com/product/ja-jp/TPA3221

Tripath TA2024 データシート
https://www.wolfteck.com/assets/Tripath%20TA2024.pdf

PAM8406データシート
https://docs.rs-online.com/7c06/0900766b81268cf8.pdf

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