0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

地図の表現力を、交通情報に - Athenai Transit をつくった動機

0
Last updated at Posted at 2026-08-14

あてのないバス旅

私はよく予定を立てずに出かけます。行き先も決めません。

バスか電車でどこかへ行き、着いた先でまた別のバスに乗り継いで、知らない場所まで行ってみる。車窓から街の風景を眺めることも、降り立った先での散策も楽しい。はじめての土地に立つのは、いつもワクワクします。

そんな気ままな散策のなかでも、私がとくに好きなの時間が、乗り継ぎの合間です。

ターミナルに降り立って、「さて、ここから次はどこへ行けるだろう」と探しているあいだ。目的地は決めていません。決めていないからこそ、選べるものを見渡している時間が面白い。

ただ、その時間の中身はというと、まず乗り場案内板を探して、行き先と乗り場を把握する。気になる候補が見つかったら、その路線の時刻表を一つずつ確かめる。そういう作業です。

経路検索は使えません。次にどこへ行くかを、決めていないからです。

次に乗る便を探す時に集める情報は3つ

「ここからどこへ行けるだろう」を確かめるとき、要る情報は3つあります。

  1. 乗り場の場所 - どこに乗り場があるのか
  2. 行き先 - その乗り場から、どこ行きに乗れるのか
  3. 時刻 - 何時何分に出るのか。次は何分後か

この3つが揃って初めて、次に乗るものを選べます。

場所と行き先は、乗り場案内が1枚で見せてくれる

駅前など複数のバス停が存在する場所には、乗り場案内板があります。これが本当に便利です。

どこ行きのバスが、どの乗り場から出るのか。周辺の乗り場が地図に落とされていて、どちらの方向へ向かう路線かも読める。1枚を見るだけで、その場所から乗れるものが頭に入ります。

行き先の一覧と、乗り場の位置を示した地図が並ぶ案内板

ただ、時刻は載っていません。

時刻は、1つずつ調べることになる

では、時刻をどうやって知るか。

バス停に掲示された時刻表。行き先ごとに時刻が並んでいる

すべての乗り場を歩いて回り、掲示された時刻表を確かめる。理屈の上ではそうですが、実際にはやりません。乗り場が5つあれば5か所を回ることになります。

多くの場合、スマホで調べます。乗換案内アプリで乗り場ごとの時刻表を見ることもできますが、最近は地図アプリで乗り場をタップすることが多いです。

それでも、1つずつであることは変わりません。 タップして、見て、戻って、次をタップする。都心のターミナル周辺なら、乗り場は数十カ所あります。

まとめて比べられないのが、いちばんつらいところです。 あの乗り場は10分後、こちらは40分後、あちらは3時間後。並んでいれば選べるのに、1つずつしか見られません。

結局、気になった行き先をいくつか調べて、「じゃあ10分後に来るこれにしよう」と決めることになります。残りは見ていません。 見渡したうえで選んだのではなく、途中で打ち切って選んでいる。

例外は、ターミナルのサイネージ

3つの情報がまとまっている場所もあります。

大きなバスターミナルや、鉄道との乗り継ぎ地点に立っているデジタルサイネージです。乗り場の位置が地図で示され、その横に路線と次の発車時刻が並んでいる。1社の情報のみであることもあれば、複数の事業者がまとめて出ていることもある。

左半分に現在地とのりばを示した地図、右半分に行き先・のりば・発車時刻が並ぶデジタルサイネージ

そこでは3つが1枚にまとまっています。 立ち止まって眺めるだけで、「ここからどこへ行けるか」が分かる。スマホを開く必要もありません。

ただ、それは限られた場所にしかありません。 気ままに歩いている途中で行き当たるものではないし、降り立った先にあるとも限らない。

地図が持つ表現力を、交通情報に

ここで、最初の乗り場案内の地図に戻ります。

あの案内板は、本当に分かりやすくて便利です。どこに乗り場があって、どこ行きが出ているのか。1枚を見るだけで、周辺の乗り場が頭に入る。ある場所と、その場所に関わるものとを、まとめて示す。地図にはその力があります。

足りなかったのは時刻の方だけです。

では、現在地のまわりにある乗り場と、そこから出る便の行き先と時刻が、何もしなくても手元に並んでいたらどうか。データはすでに公開されているのだから、できないことではありません。

ターミナルにしかないサイネージが、どこにでもあるような表現です。

ただ、サイネージではなく地図を中心に

つくりたかったのは、サイネージそのものではありません。

サイネージは、立っているその場所のことしか映しません。地図が中心なら、そこから離れた場所ののりばも同じように見られます。少し先の通りには何が来るのか。次の街ではどうなのか。地図を動かせば分かる。

行き先を決めていないときに要るのは、まさにそれです。いま立っている場所だけでなく、その先も含めて見渡せること。

地図を中心にしたインターフェースの中で、乗り場と行き先と時刻を、まとめて見やすく表現できないか。

これが、つくるうえでいちばんやりたかったことです。

つくったもの

現在地のまわりにある乗り場 (このアプリでは「のりば」と呼びます) を地図に出し、同じ画面にそれらの発着便を並べます。場所も、行き先も、時刻も、1枚の上にあります。 事業者も問いません。1社分ではなく、その場所から乗れるものをまとめます。

目的地への経路を検索するのではなく、今ここからの選択肢を並べる。限られた場所にしかなかったものを、どこにいても開けるようにする。

Athenai Transit - Discover where you can go, right now.

目的地を入力しない乗換案内

バス、鉄道、フェリー。地図に溶け込んだ交通データを「面」で見渡す発着案内へ

Athenai Transit とは

Athenai Transit (あてのない乗換案内) は、目的地を入力しない乗換案内の Web アプリです。経路検索を持たず、「A から B への行き方」ではなく「今、ここからどこへ行けるか」を提示します。扱うのは GTFS などの静的な公共交通オープンデータです。

Web ブラウザで開くだけで使えます。右下の 🎲 を押すと、色々な場所へ移動します。降り立った先で「さて、次はどこへ行こう」を試してみてください。

関連記事

0
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?