以下では、2025年時点で利用可能な主な「郵便番号APIサービス」を比較し、各サービスの特徴や利用方法、料金体系などを整理します。特に、2025年5月に正式リリースされた日本郵便公式の「郵便番号・デジタルアドレスAPI」およびそのデモサイトである digital-address.app も含めています。
概要
2025年5月に、日本郵便は「郵便番号・デジタルアドレスAPI」を正式リリースし、郵便番号から最新の住所情報(漢字・カナ・ローマ字)や、新たに導入された「デジタルアドレス(7桁英数字で住所を表現)」を取得できるようになりました。これにより、従来の静的CSV運用から解放され、リアルタイムで常に最新データを参照可能になりました (せきゅあまいのーと, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。一方、従来から広く使われてきた以下のようなサービスも依然として人気が高く、用途や要件に応じて選択肢として検討できます:
- ZipCloud : 日本郵便のCSVを加工して提供する無料API (Zipcloud)。
- PostcodeJP : アカウント登録が必要な有償APIだが、無料プランも用意 (Claris Help)。
- api-zipcode.jp : 従量課金の有償サービスで、エリア判定などユニークな機能を提供 (Qiita)。
- ポストくん(postcode.teraren.com) : ZipCloudデータを利用する無料サービス (Qiita)。
- jp-postal-code-api(ttskch/jp-postal-code-api) : GitHub Pagesで静的JSONを公開する無料のOSS (Zenn)。
以下では、比較のポイントを示した上で、それぞれのサービスについて詳細に紹介します。
比較ポイント
各サービスを比較するにあたり、以下の観点を押さえます:
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データ元・更新頻度
- 日本郵便公式か、二次加工データか
- 更新タイミング(リアルタイム/日次/定期)
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認証・利用制限
- 認証(APIキー/トークン)の要否
- 利用条件(法人限定、無料利用可など)
- レートリミット(1秒あたり何件か、1日あたりの上限など)
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対応フォーマット・機能
- レスポンス形式(JSON/XML)
- 返却情報(漢字・カナ・ローマ字)
- デジタルアドレス対応、事業所個別番号対応、フリーワード検索など
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料金体系
- 完全無料、無料プラン+有料プラン、従量課金など
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導入のしやすさ・開発者向けサポート
- CORS対応、サンプルコードやドキュメントの充実度
- GitHubリポジトリ、Qiita記事などコミュニティ情報
1. 日本郵便公式「郵便番号・デジタルアドレスAPI」 (および digital-address.app)
1.1 サービス概要
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データ元 : 日本郵便が管理する最新の郵便番号データと新サービス「デジタルアドレス」を利用 (郵便局 | 日本郵便株式会社)。
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機能 :
- 郵便番号検索:都道府県・市区町村・町域などを取得
- デジタルアドレス検索:7桁英数字から全国の詳細な住所(都道府県~建物名まで)を取得
- フリーワード検索:一部の住所パーツをあいまい検索で取得可能(将来的な拡張として提供予定) (郵便局 | 日本郵便株式会社, Zenn)。
- 漢字・カナ・ローマ字表記対応 (郵便局 | 日本郵便株式会社, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
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レスポンス形式 : JSON
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認証 :
- 「ゆうID Biz」への組織登録(法人・個人事業主のみ)とトークン発行が必須 (@_Nat Zone, Qiita)。
- OAuth2.0 の client_credentials フローで JWTトークンを取得 (Zenn, Qiita)。
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利用条件 : 無料、ただし法人・個人事業主限定 (Qiita, @_Nat Zone)。
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レートリミット : 公開情報では明示されていないが、大規模利用時の混雑緩和のためIPホワイトリスト機能や多要素認証などセキュリティ制御を提供 (せきゅあまいのーと, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
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ドキュメント :
1.2 digital-address.app(デモサイト)
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機能 :
1.3 メリット・デメリット
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メリット
- 常に最新の日本郵便データ(CSVマスターではなくリアルタイム更新) (郵便局 | 日本郵便株式会社, Qiita)。
- 漢字・カナ・ローマ字対応&新規「デジタルアドレス」対応で多言語・多業種ニーズに対応 (デジタルアドレス|日本郵便株式会社, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
- 完全無料&高い信頼性(日本郵便公式) (CodeZine, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
- フリーワード検索や配送ロボット連携など今後の拡張性 (せきゅあまいのーと, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
- セキュリティ面の強化(多要素認証・IPホワイトリスト) (せきゅあまいのーと, Qiita)。
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デメリット
- 法人・個人事業主限定 であり、個人開発(法人扱いではない)では利用不可 (Qiita)。
- トークン発行のための「ゆうID Biz」登録手順が煩雑 (@_Nat Zone)。
- レートリミットや仕様変更の情報は明示されておらず、大量アクセス用途ではサポート窓口との調整が必要 (@_Nat Zone, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
2. ZipCloud
2.1 サービス概要
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提供元 : 株式会社AIBISU
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URL : https://zipcloud.ibsnet.co.jp/ (Zipcloud)。
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データ元 : 日本郵便が公開するCSVを加工した「全国一括データ(加工済)」を利用 (2025年5月30日更新分) (Zipcloud)。
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機能 :
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レスポンス形式 : JSON
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認証 : 不要(APIキーもトークンも不要) (Zipcloud)。
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利用制限 :
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ドキュメント : https://zipcloud.ibsnet.co.jp/doc/api (Zipcloud)。
2.2 メリット・デメリット
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メリット
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デメリット
3. PostcodeJP
3.1 サービス概要
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提供元 : PostcodeJP運営チーム
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URL : サービス公式ページ(ブラウザ検索で要確認) (Claris Help)。※独自ドメインが変動する可能性あり
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データ元 : 日本郵便CSVをベースに独自加工し、独自サーバーでホスティング (Claris Help)。
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機能 :
- 郵便番号検索:住所を取得(漢字・カナ対応、ローマ字にも対応) (Claris Help)。
- フリーワード検索:入力した文字列であいまい検索が可能 (Claris Help)。
- 住所入力フォーム向けJavaScriptライブラリ提供 (Claris Help)。
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レスポンス形式 : JSON
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認証 : APIキー取得(無料プランあり) (Claris Help)。
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利用制限 :
- 無料プランは月間リクエスト上限が設定(例:1万件/月、要公式サイトで要確認) (Claris Help)。
- 有料プランは無制限または高リクエスト対応可 (Claris Help)。
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ドキュメント : Claris Connect Reference など (Claris Help)。
3.2 メリット・デメリット
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メリット
- ローマ字対応でインバウンド向けサービスにも活用可能 (Claris Help)。
- フリーワード検索やJavaScriptウィジェットが充実 (cly7796.net, Claris Help)。
- 商用利用に耐えうる有料プランが選択可能 (Claris Help)。
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デメリット
- APIキー登録が必須で、導入ハードルが若干上がる (Claris Help)。
- 無料プランのリクエスト制限に注意 (Claris Help)。
- APIキー管理や有料プランに移行する際の契約手続きが必要 (Claris Help)。
4. api-zipcode.jp
4.1 サービス概要
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提供元 : api-zipcode.jp 運営事業者 (Qiita)。
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URL : https://api-zipcode.jp/ (2023年版Qiita記事より) (Qiita)。
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データ元 : 日本郵便CSVを加工し、APIサーバーで提供 (Qiita)。
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機能 :
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レスポンス形式 : JSON
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認証 : 従量課金制(APIキー必須) (Qiita)。
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料金 :
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ドキュメント : 公式サイトで公開 (Qiita)。
4.2 メリット・デメリット
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メリット
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デメリット
5. ポストくん(postcode.teraren.com)
5.1 サービス概要
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提供元 : TERAREN (個人/小規模運営) (Qiita)。
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URL : https://postcode.teraren.com/ (Qiita)。
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データ元 : ZipCloudデータをそのまま利用 (Qiita)。
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機能 :
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レスポンス形式 : JSON
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認証 : なし(APIキー不要) (Qiita)。
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利用制限 :
- ZipCloud同様に、過度なアクセスには制限がある可能性 (Qiita)。
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ドキュメント : 特に公式ドキュメントはなく、サイト上で簡易的にサンプルを案内 (Qiita)。
5.2 メリット・デメリット
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メリット
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デメリット
6. jp-postal-code-api(TTskch)
6.1 サービス概要
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提供元 : GitHubユーザー ttskch (OSS) (Zenn)。
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URL : https://jp-postal-code-api.ttskch.com/api/v1/{郵便番号}.json (Zenn)。
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データ元 : 日本郵便公式CSVを元に、GitHub Actionsで毎日自動更新されるJSONファイルをGitHub Pagesで配信 (Zenn)。
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機能 :
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レスポンス形式 : JSON
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認証 : なし(APIキー不要) (Zenn)。
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利用制限 :
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ドキュメント : GitHubリポジトリREADME (Zenn)。
6.2 メリット・デメリット
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メリット
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デメリット
7. (その他の小規模サービス・ライブラリなど)
上記以外にも、OSSプロジェクトや小規模な個人運営の郵便番号API、あるいは「jpostal」「yubinbango」などのJavaScriptライブラリを利用してローカルでCSVマスターを保持・検索する方法もありますが、ここでは主要なWeb APIに絞っています。
8. まとめ
サービス名 | 認証 | 料金 | データ元 | 更新頻度 | 漢字・カナ対応 | ローマ字対応 | デジタルアドレス対応 | フリーワード検索 | 主な特徴・用途 |
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日本郵便公式 郵便番号・デジタルアドレスAPI (digital-address.app) (郵便局 | 日本郵便株式会社, 郵便番号・デジタルアドレス for Biz) | 要(法人・個人事業主向け ゆうID Biz) | 無料 | 公式CSV(常に最新) | リアルタイム | ○ | ○ | ○ | ○(一部) | 最新データ・デジタルアドレス対応・多言語対応 |
ZipCloud (Zipcloud) | 不要 | 無料 | 公式CSV(加工版) | 日次 | ○ | × | × | × | 認証不要・無料・導入容易 |
PostcodeJP (Claris Help) | 要(APIキー) | 無料プラン+有料プラン | 公式CSV(加工版) | 不明(日次想定) | ○ | ○ | × | ○ | ローマ字・フリーワードOK・UIライブラリ提供 |
api-zipcode.jp (Qiita) | 要(APIキー) | 従量課金 | 公式CSV(加工版) | 不明(定期) | ○ | ○ | × | × | エリア判定機能・事業所個別番号対応 |
ポストくん (postcode.teraren.com) (Qiita) | 不要 | 無料 | ZipCloudデータ | 日次相当 | ○ | × | × | × | GraphQL対応・認証不要 |
jp-postal-code-api (Zenn) | 不要 | 無料 | 公式CSV→OSS毎日更新JSON | 毎日 | ○ | ○ | × | × | 静的配信による高速性・OSSでフォーク可・英語表記含む |
8.1 おすすめの選び方
- 法人・業務利用+最新データ必須+デジタルアドレス対応が必要 → 「日本郵便公式 郵便番号・デジタルアドレスAPI」 (せきゅあまいのーと, CodeZine)。
- 個人開発・テスト目的で手軽に使いたい → 「ZipCloud」 (Zipcloud)または「ポストくん」 (Qiita)。
- 無料でローマ字も一緒に使いたい → 「PostcodeJP」無料プラン (Claris Help)または「jp-postal-code-api」 (Zenn)。
- エリア判定による配送可否判定や従量課金のコスト制御が重要 → 「api-zipcode.jp」 (Qiita)。
8.2 今後の展望
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日本郵便公式のアップデート
- フリーワード検索拡充、配送ロボット連携、AIによる補完機能など、今後さらに機能強化が予想されます (せきゅあまいのーと, 郵便局 | 日本郵便株式会社)。
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OSSコミュニティの継続的な改善
- GitHub上のOSSプロジェクトでは定期的なメンテナンスが必要で、開発者の有志によるデータ精度向上が続くでしょう (Zenn)。
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他言語サポートや統合プラットフォーム化
- 将来的には、複数業者のAPIをまとめた統合プラットフォームや、多言語対応強化(英語・中国語・韓国語など)が期待されます。
以上、「【2025年版】郵便番号APIサービス比較」として、主要なサービスの特徴を整理しました。用途や要件に応じて最適なサービスを選び、効率的な住所自動入力や配送判定を実現してください。