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差分だけを見せるUI設計 ― 判断を楽にするために削ったもの

Last updated at Posted at 2026-02-01

はじめに

本記事は、UI設計を考える中で得た気づきを、
特定の業務やツールから切り離して整理した UI/UX設計メモ です。

実データや固有の前提は含まず、
「判断を支援するUI」を設計する際の考え方を
できるだけ抽象化してまとめています。


1. 「全部見せるUI」は、必ずしも親切ではない

UIを作り始めた当初は、
「見られる情報はすべて出した方が良い」と考えていました。

  • 情報が揃っている
  • 後から確認できる
  • 正確に把握できる

一見すると正しそうですが、
実際にユーザーの立場で画面を眺めてみると、
情報量そのものが判断コストになっていることに気づきました。

UIは「正しい情報」を並べるだけでは足りず、
今どこを見ればいいかを示せなければ、使われない
という前提に立ち戻る必要がありました。


2. UIの役割を「判断の代行」から外す

今回の設計で最初に決めたのは、
UIは結論を出さない ということです。

UIがやること:

  • 判断材料を整理する
  • 違いを目立たせる
  • 確認の入口を用意する

UIがやらないこと:

  • 良し悪しの評価
  • 正解の提示
  • 自動的な結論づけ

判断は人が行う という前提に立つことで、
UIに求める役割が一気にシンプルになりました。


3. 比較UIで本当に必要なのは「同じ部分」ではない

複数の対象を比較するUIでは、
価値があるのは「共通点」よりも「差分」です。

  • 同じ構成
  • 同じ傾向
  • 同じ結果

これらは情報としては正しいですが、
判断にはほとんど寄与しません

そこで、

  • 共通部分は極力目立たせない
  • 違いがある部分だけを前面に出す

という方針に切り替えました。


4. 差分は「文章」ではなく「単位」で見せる

当初は、差分を文章や箇条書きでまとめようとしました。

しかし、

  • 長文は読まれない
  • 箇条書きは流し見される
  • 要点が埋もれる

という問題が出てきました。

そこで採用したのが、
「1つの差分 = 1つの単位」 という考え方です。

  • 差分の数 = 見える単位の数
  • 視線移動だけで全体像が分かる
  • 見たいものから拾える

UI上の「並び」そのものが、
情報の意味を持つようになりました。


5. 「(他◯件)」をやめた理由

よくある省略表現として
「(他◯件)」があります。

一見すると親切ですが、実際には次の不安を生みます。

  • 重要なものが隠れていないか
  • 見落としてはいけない情報はないか
  • どれくらいの量なのか実感できない

そこで今回は、
省略せず、すべてを出す ことを選びました。

代わりに意識したのは、

  • レイアウトで詰め込みすぎない
  • 横並びや折り返しで視認性を保つ
  • 数の多さ自体を情報として伝える

「全部見せる」と「全部読ませる」は別、という整理です。


6. 並び順はUIが責任を持つ

差分が複数ある場合、
「どこから見るか」をユーザーに委ねるのは負担になります。

そのため、

  • 重要度の定義をUI側で持つ
  • 影響が大きいものから並べる
  • 並び順そのものをメッセージにする

という設計にしました。

順序は、UIが発する最も強いメッセージだと感じています。


7. 「何もない」状態も必ず表示する

差分がない場合でも、
その領域をUIから消さないようにしました。

理由は単純で、

  • 表示がないと正しいのか不安になる
  • 正常なのか未処理なのか分からない
  • 判断が止まってしまう

からです。

「差分なし」という状態も、
UIが明示すべき情報のひとつだと考えました。


8. このUIが目指していないこと

今回の設計では、あえて次のことをしていません。

  • 自動評価
  • 結果の断定
  • 行動の強制

UIは賢く見せるためのものではなく、
人が安心して考えるための土台である、
という立ち位置を大切にしました。


まとめ

UIは、情報を増やせば良くなるわけではありません。

  • 何を見なくていいか
  • どこから見ればいいか

を決めること自体が、UI設計の仕事だと感じました。

判断を楽にするためにあえて削る。
その積み重ねが、使われるUIにつながるのだと思います。

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