はじめに
本記事は、UI設計を考える中で得た気づきを、
特定の業務やツールから切り離して整理した UI/UX設計メモ です。
実データや固有の前提は含まず、
「判断を支援するUI」を設計する際の考え方を
できるだけ抽象化してまとめています。
1. 「全部見せるUI」は、必ずしも親切ではない
UIを作り始めた当初は、
「見られる情報はすべて出した方が良い」と考えていました。
- 情報が揃っている
- 後から確認できる
- 正確に把握できる
一見すると正しそうですが、
実際にユーザーの立場で画面を眺めてみると、
情報量そのものが判断コストになっていることに気づきました。
UIは「正しい情報」を並べるだけでは足りず、
今どこを見ればいいかを示せなければ、使われない
という前提に立ち戻る必要がありました。
2. UIの役割を「判断の代行」から外す
今回の設計で最初に決めたのは、
UIは結論を出さない ということです。
UIがやること:
- 判断材料を整理する
- 違いを目立たせる
- 確認の入口を用意する
UIがやらないこと:
- 良し悪しの評価
- 正解の提示
- 自動的な結論づけ
判断は人が行う という前提に立つことで、
UIに求める役割が一気にシンプルになりました。
3. 比較UIで本当に必要なのは「同じ部分」ではない
複数の対象を比較するUIでは、
価値があるのは「共通点」よりも「差分」です。
- 同じ構成
- 同じ傾向
- 同じ結果
これらは情報としては正しいですが、
判断にはほとんど寄与しません。
そこで、
- 共通部分は極力目立たせない
- 違いがある部分だけを前面に出す
という方針に切り替えました。
4. 差分は「文章」ではなく「単位」で見せる
当初は、差分を文章や箇条書きでまとめようとしました。
しかし、
- 長文は読まれない
- 箇条書きは流し見される
- 要点が埋もれる
という問題が出てきました。
そこで採用したのが、
「1つの差分 = 1つの単位」 という考え方です。
- 差分の数 = 見える単位の数
- 視線移動だけで全体像が分かる
- 見たいものから拾える
UI上の「並び」そのものが、
情報の意味を持つようになりました。
5. 「(他◯件)」をやめた理由
よくある省略表現として
「(他◯件)」があります。
一見すると親切ですが、実際には次の不安を生みます。
- 重要なものが隠れていないか
- 見落としてはいけない情報はないか
- どれくらいの量なのか実感できない
そこで今回は、
省略せず、すべてを出す ことを選びました。
代わりに意識したのは、
- レイアウトで詰め込みすぎない
- 横並びや折り返しで視認性を保つ
- 数の多さ自体を情報として伝える
「全部見せる」と「全部読ませる」は別、という整理です。
6. 並び順はUIが責任を持つ
差分が複数ある場合、
「どこから見るか」をユーザーに委ねるのは負担になります。
そのため、
- 重要度の定義をUI側で持つ
- 影響が大きいものから並べる
- 並び順そのものをメッセージにする
という設計にしました。
順序は、UIが発する最も強いメッセージだと感じています。
7. 「何もない」状態も必ず表示する
差分がない場合でも、
その領域をUIから消さないようにしました。
理由は単純で、
- 表示がないと正しいのか不安になる
- 正常なのか未処理なのか分からない
- 判断が止まってしまう
からです。
「差分なし」という状態も、
UIが明示すべき情報のひとつだと考えました。
8. このUIが目指していないこと
今回の設計では、あえて次のことをしていません。
- 自動評価
- 結果の断定
- 行動の強制
UIは賢く見せるためのものではなく、
人が安心して考えるための土台である、
という立ち位置を大切にしました。
まとめ
UIは、情報を増やせば良くなるわけではありません。
- 何を見なくていいか
- どこから見ればいいか
を決めること自体が、UI設計の仕事だと感じました。
判断を楽にするためにあえて削る。
その積み重ねが、使われるUIにつながるのだと思います。