Day2: 仮想サーバー徹底比較:AWS EC2 vs Azure VM
皆さん、こんにちは。エンジニアのAkrです。
「徹底比較!AWS vs Azure」シリーズ、Day2へようこそ。
今回は、両クラウドの最も基本的なサービスである「仮想サーバー」を比較します。AWSの**Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)と、AzureのAzure VM(Virtual Machines)**です。
これはクラウドの「土台」となるサービスであり、両者の違いを理解することは、その後のサービス選定にも大きく影響します。
サービスの概要と設計思想
基本的な役割
EC2とAzure VMは、どちらもオンプレミスの物理サーバーを仮想化したサービスです。CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークといったリソースを自由に選択し、必要な時に必要なだけ利用できます。
設計思想の違い
両者は同じ「仮想サーバー」という目的を持ちながら、異なる思想に基づいています:
AWS EC2:部品志向のアプローチ
- 多数の「インスタンスタイプ」から、用途に応じて最適なものを細かく選択
- 様々な料理に対応する豊富な調理器具が揃っているイメージ
Azure VM:統合プラットフォームアプローチ
- 汎用性のある「シリーズ」で整理され、CPUやメモリの構成がパッケージ化
- Microsoft製品との連携を前提とした設計
インスタンスタイプ・シリーズの比較
項目 | AWS EC2 | Azure VM |
---|---|---|
分類方式 |
t 、m 、c 、r などのアルファベット + 世代番号 |
D 、E 、F 、M 、N などのシリーズ |
命名規則 |
t3a.medium (タイプ.世代.サイズ)直感的で覚えやすい |
D4as_v4 (シリーズ+サイズ+機能+バージョン)情報量は多いが複雑 |
CPUアーキテクチャ | Intel、AMD、自社開発Graviton(Arm) | Intel、AMD |
仮想化技術 | Nitro System(最新世代) Xen(旧世代) |
Hyper-V (オンプレミスと同じ技術) |
特徴 | 用途特化型が豊富 (GPU、高頻度CPU、高メモリなど) |
汎用的でバランス重視 Windows環境との親和性 |
注目ポイント
AWS Gravitonプロセッサ:AWS独自開発のArmベースCPUで、同等性能のIntel/AMD比較で最大40%のコストパフォーマンス向上を実現
Azure Hyper-V:オンプレミスWindows Server環境からの移行が容易
料金体系の比較
AWS EC2の料金モデル
モデル | 特徴 | 割引率 | 適用シーン |
---|---|---|---|
オンデマンド | 従量課金(秒単位) | なし | 開発・テスト環境 |
リザーブドインスタンス | 1年・3年契約 | 最大75% | 安定稼働のワークロード |
Savings Plans | 使用量コミット | 最大72% | 柔軟性を保ちながら割引 |
スポットインスタンス | 余剰リソース活用 | 最大90% | バッチ処理・耐障害性アプリ |
Azure VMの料金モデル
モデル | 特徴 | 割引率 | 適用シーン |
---|---|---|---|
従量課金 | 秒単位課金 | なし | 開発・テスト環境 |
予約インスタンス | 1年・3年契約 | 最大72% | 安定稼働のワークロード |
Azureハイブリッド特典 | 既存ライセンス活用 | 最大85%* | Windows Server環境 |
Azure スポット VM | 余剰リソース活用 | 最大90% | バッチ処理・開発環境 |
*既存Windows Serverライセンス保有時
料金体系の特徴
AWS EC2の強み
- Savings Plansによるインスタンスタイプ柔軟性
- 豊富なスポットインスタンス在庫
- 細かな最適化オプション
Azure VMの強み
- Azureハイブリッド特典による大幅コスト削減
- Microsoft製品ライセンスとの統合課金
- 分かりやすい料金構造
運用・マネジメント機能
管理方法の比較
項目 | AWS EC2 | Azure VM |
---|---|---|
CLI | AWS CLIaws ec2 start-instances --instance-ids i-1234567890abcdef0
|
Azure CLIaz vm start --resource-group myRG --name myVM
|
管理ポータル | AWS Management Console | Azure Portal |
自動化ツール | AWS Systems Manager | Azure Automation |
監視 | CloudWatch | Azure Monitor |
運用自動化の特徴
AWS Systems Manager
- パッチ管理の自動化
- Run Command による一括コマンド実行
- Session Manager による安全なリモートアクセス
Azure Automation
- PowerShell/Python Runbookによる運用自動化
- Update Management による更新管理
- Desired State Configuration(DSC)
パフォーマンスとセキュリティ
パフォーマンス最適化
AWS EC2
- Nitro Systemによる高いネットワーク性能
- Placement Groupsによる低レイテンシ配置
- Enhanced Networkingサポート
Azure VM
- Accelerated Networkingによる高速ネットワーク
- Ultra SSDによる高IOPS対応
- Proximity Placement Groupsによる低レイテンシ
セキュリティ機能
共通機能
- セキュリティグループ/ネットワークセキュリティグループ
- 暗号化されたストレージ
- Identity and Access Management
選定指針:どちらを選ぶべきか?
AWS EC2を選ぶべきケース
✅ Linux中心の環境
✅ コストを徹底的に最適化したい
✅ 多様なワークロードで細かな性能チューニングが必要
✅ スポットインスタンスを活用したバッチ処理が多い
✅ 最新のArmアーキテクチャを試したい
Azure VMを選ぶべきケース
✅ Windows Server環境が中心
✅ 既存のMicrosoft製品ライセンスを活用したい
✅ Active Directoryとの統合が必要
✅ GUIベースの管理を重視
✅ オンプレミスからのハイブリッド構成
実践的な選択基準
コスト重視の場合
既存Microsoft資産あり → Azure VM(AHB活用)
Linux環境中心 → AWS EC2(Graviton + スポット活用)
技術的要件重視の場合
高度な自動化・DevOps → AWS EC2
エンタープライズ統合 → Azure VM
まとめ
仮想サーバーの選択は、単純な機能比較だけでなく、既存環境、コスト構造、運用方針を総合的に評価することが重要です。
次回予告:コンテナサービスに焦点を当て、AWSのECS/Fargate/EKSとAzureのContainer InstancesやAKSを比較します。
クラウドネイティブなアプリケーション開発に欠かせないコンテナ技術の世界を深掘りします。お楽しみに!
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