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「Dockerはわかるけど…」から卒業!AWSでコンテナを動かすための30日集中講座 - Day 27: 【応用編】マイクロサービスアーキテクチャとコンテナ

Last updated at Posted at 2025-08-25

Day 27: 【応用編】マイクロサービスアーキテクチャとコンテナ 🚀

皆さん、こんにちは!30日集中講座、Day 27へようこそ。

昨日までの講座で、インフラをコードとして管理するIaC(Infrastructure as Code)の手法を学び、単一のコンテナアプリケーションをデプロイするスキルを身につけました。しかし、今日のテーマは、より大規模で複雑なシステムを構築するための設計思想、マイクロサービスアーキテクチャです。

コンテナは、このマイクロサービスアーキテクチャを実践する上で、非常に重要な役割を果たします。今日は、その概念を深く掘り下げ、なぜコンテナがマイクロサービスに不可欠なのか、そして実際の導入における考慮点を理解していきましょう。

1. マイクロサービスアーキテクチャとは?

マイクロサービスとは、巨大な1つのアプリケーション(モノリス)を、それぞれ独立した小さなサービスに分割する設計思想です。各サービスは、特定のビジネス機能(ユーザー認証、商品管理、決済など)に特化し、独立して開発、デプロイ、運用されます。

アーキテクチャの比較

項目 モノリシック マイクロサービス
構造 単一の巨大なアプリケーション 独立した小さなサービスの集合
デプロイ アプリ全体を再デプロイ サービスごとに個別にデプロイ
開発体制 チーム全体で1つのコードベース サービスごとに独立したチーム
技術スタック 統一された技術スタック サービスごとに異なる技術スタックが可能
障害影響 一部の障害が全体に影響 サービス間で障害を局所化
スケーリング アプリ全体をスケール 必要なサービスのみスケール

具体例:ECサイトでの分割例

モノリシック

┌─────────────────────────────────────┐
│        ECサイトアプリケーション         │
│  ・ユーザー管理                       │
│  ・商品管理                          │
│  ・注文処理                          │
│  ・決済処理                          │
│  ・在庫管理                          │
│  ・通知システム                       │
└─────────────────────────────────────┘

マイクロサービス

┌─────────────┐ ┌─────────────┐ ┌─────────────┐
│ユーザーサービス│ │ 商品サービス  │ │ 注文サービス  │
└─────────────┘ └─────────────┘ └─────────────┘
       ↓                ↓                ↓
┌─────────────┐ ┌─────────────┐ ┌─────────────┐
│ 決済サービス  │ │ 在庫サービス  │ │ 通知サービス  │
└─────────────┘ └─────────────┘ └─────────────┘

2. なぜコンテナがマイクロサービスに不可欠なのか?

コンテナ技術は、マイクロサービスアーキテクチャの課題を解決し、そのメリットを最大限に引き出すための完璧なツールです。

1. 独立したデプロイと運用

各マイクロサービスは、専用のコンテナにパッケージ化されます。これにより、サービスごとに異なる言語やライブラリを使っていても、互いに影響を与えることなく独立してデプロイできます。

実例

# ユーザーサービス(Node.js)
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: user-service
spec:
  template:
    spec:
      containers:
      - name: user-service
        image: myapp/user-service:v1.2.0
        ports:
        - containerPort: 3000

---
# 商品サービス(Python)
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: product-service
spec:
  template:
    spec:
      containers:
      - name: product-service
        image: myapp/product-service:v2.1.0
        ports:
        - containerPort: 8000

2. 環境の統一と依存関係の隔離

コンテナは、OSやミドルウェアを含む実行環境を完全に隔離します。これにより、開発、テスト、本番環境で「動かない」といった環境依存の問題を解消し、デプロイの信頼性を高めます。

3. 柔軟なスケーラビリティ

マイクロサービスは、特定のサービスだけをスケールアウト(Podやタスクを増やす)できます。例えば、商品検索サービスに負荷が集中した場合、そのサービスだけを独立してスケールさせ、リソースを効率的に利用できます。

スケーリング例

# 商品検索サービスのみスケール
kubectl scale deployment product-search-service --replicas=10

# ユーザーサービスは通常の負荷なので変更なし
# user-service: 2 replicas (変更なし)

4. 技術スタックの自由度

各サービスが独立しているため、Python、Node.js、Javaなど、サービスに最適な言語やフレームワークを自由に選択できます。コンテナは、異なる技術スタックを持つサービスを同じインフラ上で動かすための共通の基盤を提供します。

技術スタックの多様性例

  • ユーザーサービス: Node.js + MongoDB(リアルタイム性重視)
  • 商品サービス: Java Spring Boot + PostgreSQL(堅牢性重視)
  • 推薦サービス: Python + TensorFlow(機械学習)
  • 通知サービス: Go + Redis(高速処理)

3. マイクロサービス導入時の課題と解決策

マイクロサービスには多くのメリットがある一方、以下のような課題も存在します。

主要な課題

1. 運用複雑性の増加

課題: サービス数が増えると、管理するコンテナ、デプロイメント、ネットワーク、ログが飛躍的に増加します。

解決策

  • コンテナオーケストレーション: EKS、ECSでの自動化
  • Infrastructure as Code: Terraform、CDKでのインフラ管理
  • CI/CDパイプライン: GitHub Actions、AWS CodePipelineでの自動デプロイ

2. サービス間通信の複雑性

課題: サービス間の通信(API呼び出しなど)が増えるため、全体像の把握やデバッグが難しくなります。

解決策

# Service Mesh (Istio) による通信管理
apiVersion: networking.istio.io/v1alpha3
kind: VirtualService
metadata:
  name: user-service
spec:
  http:
  - match:
    - headers:
        x-canary:
          exact: "true"
    route:
    - destination:
        host: user-service
        subset: v2
      weight: 100
  - route:
    - destination:
        host: user-service
        subset: v1
      weight: 100

3. データ一貫性の管理

課題: 複数のサービスにまたがるトランザクションの管理が困難。

解決策

  • Sagaパターン: 分散トランザクションの実装
  • Event Sourcing: イベントベースでの状態管理
  • CQRS: 読み書き分離によるデータ管理

ECSとEKSでのマイクロサービス管理機能

ECS(Elastic Container Service)

  • サービスディスカバリ: AWS Cloud Mapによる自動サービス発見
  • ロードバランシング: ALB/NLBとの統合
  • 集中ログ管理: CloudWatch Logsへの自動転送

EKS(Elastic Kubernetes Service)

  • サービスディスカバリ: Kubernetes DNSによる自動解決
  • 設定管理: ConfigMapとSecretによる環境設定
  • オートスケーリング: HPAとVPAによる自動スケーリング

4. 実践的な導入アプローチ

段階的な移行戦略(Strangler Fig Pattern)

一度にモノリスをマイクロサービス化するのではなく、段階的に移行する手法:

フェーズ1: 境界の明確化

既存モノリス ──→ [API Gateway] ──→ 新しいマイクロサービス
    ↓                                        ↓
既存の機能の一部を                     独立したサービス
段階的に切り出し                       として実装

フェーズ2: データ分離

共有データベース ──→ サービス専用データベース
                  (データ移行とSync機能)

フェーズ3: 完全分離

独立したマイクロサービス群
各サービスが完全に独立して動作

導入判断の指標

マイクロサービス化を検討すべきタイミング:

  • チームサイズ: 10人以上の開発チーム
  • デプロイ頻度: 週1回以上のリリース
  • 機能の独立性: ビジネス機能が明確に分離可能
  • スケーリング要件: 部分的なスケーリングが必要

5. モニタリングとオブザーバビリティ

マイクロサービス環境では、従来以上にモニタリングが重要になります。

三本柱(Three Pillars of Observability)

1. メトリクス

# Prometheus メトリクス例
http_requests_total{service="user-service", method="GET", status="200"} 1500
http_request_duration_seconds{service="user-service", quantile="0.95"} 0.1

2. ログ

{
  "timestamp": "2024-01-15T10:30:00Z",
  "service": "user-service",
  "traceId": "abc123",
  "level": "INFO",
  "message": "User login successful"
}

3. トレーシング

Request Flow:
API Gateway → User Service → Database
    │              │            │
   50ms           80ms         30ms

AWSでの実装例

# X-Ray によるトレーシング設定
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: user-service
spec:
  template:
    spec:
      containers:
      - name: user-service
        image: myapp/user-service:latest
        env:
        - name: _X_AMZN_TRACE_ID
          value: "Root=1-5e1b4151-5ac6c58c4c77862e2a9a7890"

6. まとめ:コンテナとマイクロサービスの相乗効果

マイクロサービスアーキテクチャは、大規模な開発でアジリティ(俊敏性)と柔軟性を維持するための強力な設計思想です。そして、コンテナは、そのマイクロサービスのデプロイ、運用、スケーリングを可能にするための「実行基盤」を提供します。

成功のポイント

  1. 段階的な導入: 一度にすべてを変えず、重要な機能から順次移行
  2. 適切なツール選択: ECS vs EKS、監視ツール、CI/CDパイプライン
  3. チーム体制の整備: DevOpsエンジニアの育成、運用手順の標準化
  4. 継続的な改善: メトリクスによる効果測定と改善サイクル

導入効果の実例

Netflix の例

  • 600以上のマイクロサービス
  • 1日に4000回以上のデプロイ
  • 99.99%の可用性を実現

この相乗効果を理解することで、皆さんは単なるコンテナの運用者ではなく、モダンなアプリケーションのアーキテクチャを設計できるエンジニアへと進化できるでしょう。

次回の予告

Day 28: 【応用編】サーバーレスアーキテクチャとの比較と組み合わせ

マイクロサービスとサーバーレスは対立する概念ではありません。それぞれの特性を活かした最適な組み合わせ方を学びましょう。

それでは、また明日お会いしましょう!

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