20日目: デプロイ後のモニタリングとロールバック戦略
はじめに:デプロイはゴールではない、始まりだ!
皆さん、こんにちは!👋 これまでの学習で、私たちはアプリケーションのビルド、テスト、そしてデプロイメントを自動化するCI/CDパイプラインを構築してきました。しかし、新しいバージョンが本番環境にデプロイされた後も、私たちの仕事は終わりではありません。デプロイ直後こそ、アプリケーションの振る舞いを注意深く監視し、万が一問題が発生した場合には迅速に対応できる仕組みが必要です。
本記事では、デプロイ後のアプリケーションの状態を把握するためのモニタリングと、問題発生時にアプリケーションを安全に以前の状態に戻すロールバック戦略について解説します。これらの要素をCI/CDパイプラインに組み込むことで、リリースの信頼性をさらに高めることができます。
1. デプロイ後のモニタリング
デプロイ後のモニタリングは、新しいバージョンが本番環境で正常に動作しているかを確認し、予期せぬ問題(バグ、パフォーマンス低下など)を早期に発見するために不可欠です。
モニタリングすべき主要な指標
- アプリケーションのヘルス: アプリケーションが正常に稼働しているか(例: HTTP 200 OKレスポンスを返しているか)。
- レイテンシ(応答時間): ユーザーからのリクエストに対するアプリケーションの応答時間。デプロイ後に応答時間が急増していないかを確認します。
- エラーレート: エラー(例: HTTP 5xxレスポンス)の発生率。新しいデプロイでエラーが増加していないかを確認します。
- システムメトリクス: EC2インスタンスのCPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/Oなど。リソースが過剰に消費されていないかをチェックします。
- アプリケーションログ: アプリケーションが出力するログを監視し、エラーログや警告ログが増えていないかを確認します。
AWSを使ったモニタリングの自動化
AWSでは、これらの指標を収集・可視化するための様々なツールが提供されています。
- Amazon CloudWatch: AWSリソースとアプリケーションをモニタリングするための主要なサービスです。EC2インスタンスのCPU使用率などのシステムメトリクスを自動的に収集し、グラフで可視化できます。
- CloudWatch Alarms: 特定のメトリクス(例: エラーレートが5%を超えた場合)にしきい値を設定し、アラームをトリガーできます。このアラームをCI/CDパイプラインに連携させることで、デプロイ後の異常を自動で検知できます。
- AWS X-Ray: アプリケーションのリクエストをエンドツーエンドで追跡し、パフォーマンスのボトルネックを特定するのに役立ちます。
2. ロールバック戦略
デプロイ後に深刻な問題が発覚した場合、迅速にアプリケーションを以前の安定したバージョンに戻す必要があります。これを「ロールバック」と呼びます。
なぜロールバックが必要なのか?
- ビジネスへの影響最小化: 問題のあるバージョンが長時間稼働すると、顧客からの信頼を失ったり、売上機会を失ったりする可能性があります。迅速なロールバックは、これらの影響を最小限に抑えます。
- 安全性の確保: 脆弱性を含むコードがデプロイされた場合、迅速なロールバックはセキュリティリスクを軽減します。
CodeDeployでの自動ロールバック
AWS CodeDeployは、デプロイ中に問題が発生した場合、またはデプロイ後に監視メトリクスが異常を示した場合に、自動的にロールバックを実行する機能を提供しています。
デプロイグループの設定:
デプロイグループの設定画面で、ロールバックのトリガーを設定できます。
-
デプロイの失敗時: CodeDeployがデプロイ中にエラー(例:
appspec.ymlの実行失敗)を検知した場合に、自動的にロールバックを実行するように設定できます。 -
CloudWatchアラームとの連携: デプロイグループにCloudWatchアラームを関連付けることで、デプロイ後に特定のメトリクス(例:
CPUUtilization)がしきい値を超えた場合に、自動でロールバックを実行できます。
ブルー/グリーンデプロイとロールバック:
15日目で解説したブルー/グリーンデプロイは、最も安全かつ迅速なロールバック戦略です。
問題が発覚した場合、新しいグリーン環境からトラフィックを、以前の安定したブルー環境に切り替えるだけで、ロールバックが完了します。このプロセスは、トラフィックのルーティングを切り替えるだけで済むため、再デプロイに比べてはるかに高速です。
まとめ:デプロイ後の活動もCI/CDの一部
本日は、CI/CDパイプラインの最後のステップである「デプロイ後」の重要な活動について学びました。
- モニタリング: CloudWatchなどのツールを使い、アプリケーションのヘルス、パフォーマンス、エラーレートといった主要な指標を継続的に監視する重要性を確認しました。
- ロールバック: 問題発生時に迅速に古いバージョンに戻すロールバック戦略が、ビジネスへの影響を最小限に抑える上で不可欠であることを理解しました。特に、CodeDeployの自動ロールバック機能や、ブルー/グリーンデプロイとの組み合わせが強力なソリューションとなります。
デプロイは、単なるコードの移動ではありません。それは、アプリケーションがユーザーに価値を提供し始める瞬間です。デプロイ後のモニタリングとロールバック戦略をCI/CDパイプラインに組み込むことで、私たちはこの価値提供を安全かつ継続的に行えるようになります。
次回は、これまでの学びを総括する週のまとめとして、DevOpsの文化とCI/CDの関係について深く掘り下げていきます。お楽しみに!