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こんにちは。4mdyです。
ハッピーメリークリスマス。
今回は、営業の隠れ名著と呼ばれる書籍「オーラの営業」を読んだ学びを記事にしました。

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出典: Nanaブックス, 大塚 寿 「オーラの営業 離陸編―最強の営業力を養成する十文字売虎道場」
出典: Nanaブックス, 大塚 寿 「オーラの営業 飛翔編―最強の営業力を養成する十文字売虎道場」

これまで、SaaS企業のエンジニアとして設計・開発に携わりつつ、要件定義からアジャイルチームの推進、プロジェクトマネジメントなど幅広く経験してきました。
最近では、プロダクトの戦略策定業務にも関わっており、様々な役割・立場でプロダクト開発に携わっています。

そんな中、今、私が最も身につけたいスキルが 「営業力」 です。

極論ですが、どれだけAIが発達しても、
個人に宿る営業力はAIに絶対代替できないと思っています。

なぜなら、ビジネスにおいてお金を払うのは顧客です。
つまり、購入の意思決定を実際にするのは、AIではなく人間です。
そのため、「顧客が何に対して購買意欲が喚起されて、何に対してお金を払うのか」 を正しく理解していないと利益を上げることはできません。

AIは業界や職種の一般的な課題は教えてくれますが、N1の企業の具体的な業務課題や、そこで働く人が抱えているリアルな悩みは教えてくれません。
そのため、顧客の課題を引き出した上でソリューションを提案するのはこれからも営業の仕事になります。

これからプロダクト開発における実装工程の時間が短くなるのは間違いないと思います。
しかし、AIを使ってプロダクトをどんなに素早く作ったところで、売れなければ意味はありません

近年、フォワードデプロイドエンジニア(FDE)という名前の職種が登場したのも、顧客のニーズに適したプロダクトを作るということが、これまでより求められるようになったからだと思います。

これまでプロダクト開発に軸足を置いてインプットしてきましたが、この空前のAIブームのタイミングだからこそ、「売る」という行為について解像度を高めるために、営業について一度学びたいと感じました。

そんな私に、先輩が紹介してくれた書籍が「オーラの営業」でした。

本書はリクルート出身の大塚寿さんが、
自身が学んだ営業ナレッジをストーリー形式でまとめたものです。

十文字売虎という最強営業マンが、
弟子に対して営業ナレッジを伝承することで、
弟子たちが一流営業マンとして成長していくストーリーです。
(ストーリー自体も面白くて、小説としても楽しめました。)

「オーラの営業」というのは、1985-1988の間にリクルート史上最強と呼ばれたINS事業部の営業部隊で、最高位の営業奥義として密かに伝承されていた営業ナレッジの通称である。 by 「オーラの営業 飛翔編」

本記事は「オーラの営業」2部作を読んでの学びを言語化した記事になります。
※ITエンジニアの「営業」理解になるので、拙い内容であることはお許しください。

オーラの営業から得た6つの学び

本書では、オーラの営業には3種類のパターンがあると言われています。

赤オーラ:顧客のために捧げる情熱。熱量や情理力など。
青オーラ:提案をつくる力。分析力や思考力など。
緑オーラ:自分のマインドをコントロールする力。
by 「オーラの営業 離陸編」

この3つの要素が高度に組み合わさって初めて、オーラの営業が会得できるとされています。

要するに、情理+合理+セルフコントロールを高度に組み合わせないとプロの営業マンにはなれないということです。

それでは、以下に私が読んだ6つの学びを記載させて頂きます。

1. 事前の段取り設計を怠るな

【決められる人に最初からアプローチ】

人間はどうしても話しやすい人へと相談に行きがちです。
話していてストレスになる人とは会話を避けたがるのは人間の性です。

プライベートな恋人・家族とのコミュニケーションだとそれで良いのですが、「意思決定をすること/させること」が目的である営業時のコミュニケーションにおいては、とにかく「意思決定」できる人と話すことが重要です。

最初から、「決裁権」を持つ人に新規アポを取っておくことで、受注に至る最終段階で、いざ決裁者と話したときに、「現場担当者からこれまで聞いていた課題感が全く決裁者と違っていた」 という悲惨なことが起こることもありません。

これは営業だけの話でなく、あらゆる仕事で、事前に意思決定プロセスを分析しておき、最初からキーパーソンへ話に行くことが大切です。

【魚のいる池で釣りをする】

至極当たり前のことを言いますが、魚がいない池で釣りをしても絶対に魚を釣ることはできません。
同様に、魚が少ない池で釣りをしても効率が悪く疲弊を招きます。

限られた時間で成果を出すために、総当たりでは効率が悪いので、
仮説を駆使して営業ターゲットを明確にすることが大切だと本書では述べていました。

「魚のいる池」とは、「自社の商品サービスにニーズ・関心・課題を持つ見込み顧客が存在する市場やセグメント」 のことを指します。
つまり、「魚のいる池」は顧客課題が明確で、かつ自社の提供価値が刺さる場所です。
ターゲット選定の本質は、いかに「待ってました」と言わんばかりに買ってくれる顧客を炙り出すかにあるのです。

本書で面白かったのは、「魚のいる池」を見つけるためにまず必要なのは、
顧客を分析するだけでなく、自社サービスのことを深く分析することであると言及していたことでした。

自分たちのサービスの「何が」「どこに」、「どれくらい強いか」を自らが把握しておかないと、そもそもどの池に魚が多いのか判断できません。
例えば、
・「他社より導入スピードが2倍早い」なら“短納期を求める市場”が池になる
・「運用サポートが手厚い」なら“内製リソースが少ない企業群”が池になります。

適切な自己認識をすることが、戦略的にリソースを集中するためのファーストステップだということを学びました。

2. 関係性構築は論理を超える

人間は思っている以上に、他者に興味がありません。
好きな人が発信する情報や関心のある情報しか拾わないものです。
つまり、知らない人の話や興味のない話題はちゃんと聞いてはくれません。

そんな状態で、いざ初回訪問を迎えて、一発目の話題が自社製品やサービスの説明からスタートしてしまっては、うまくいくはずがありません。
どんなに論理的に訴求をされたとしても、心が話を受け付けないのです。

そのために、まずは相手が話を聞いてくれるモードにする必要があります。

スモールトークの三大原則

  1. 相手が喜ぶ話題を振る
  2. 純粋な疑問を投げかける
  3. 共通の話題を見つける

本書では、上記のスモールトーク原則が紹介されていました。
これらをちゃんと話せるようにするため、顧客についての事前理解の準備も欠かせません。

プロダクト開発はステークホルダーが多い仕事です。
関係者との関係構築は必ず押さえた上で、本音を引き出せるコミュニケーションをできるようにしていきたいと思いました。

3. 期待を作り、それを超えること

営業とは、単に自社サービスを“説明する”仕事ではありません。
そして、サービスを“売ること”が目的でもありません。

営業の本質は**「顧客が価値を感じられる状態 = 期待」**をつくることです。
「顧客が解決したい課題は何か、どのような未来を望んでいるのか。」
顧客の要求を深く理解した上で、実現に近づく選択肢として自社サービスがどう役立つのかを提案して期待を醸成する。
ここに営業の存在する意味がある。と本書は述べていました。

適切な期待を作るためにも、
「目的」「成果基準」「価値対象」「納期」「納品方法」といった観点
での期待値調整(エクスペクテーションマネジメント)は欠かせません。

期待を作り、それを超えることが他者との信頼形成に繋がります。
できることやできないことを曖昧にせず、過度な期待を持たせないことは、結果的に信頼を積み重ね、価値をより強く感じてもらうための重要なプロセスです。

自分の周りでも、失敗の多くは成果不足ではなく、期待値の不一致であることが多いなと感じます。
期待を作らないことは、リスクを相手任せにしている状態なので、
どんな時でも他者への期待の言語化と明示を怠らないようにしたいです。

4. 顧客は商品ではなく、ベネフィットにお金を払っている

再掲ですが、営業において重要なのは、商品やサービスそのものを売ることではありません。

顧客が本当に求めているのは、
商品がもたらす価値や導入後に得られる効果という“ベネフィット”です。
どれだけ優れた機能があっても、ただ説明を並べるだけでは顧客の心を動かすことはできません。

本書でも「売れない営業はスペックを語り、売れる営業はイメージを語る」と述べていました。
顧客が描きたい未来や、解消したい不安、実現したい理想の状態。この“未来のイメージ”を具体的に想像させることが、価値を伝える鍵になります。

この考え方は、『星の王子さま』にある有名な一節にも通じます。

『船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、彼らに、広大で無限な海への憧れを説けばいい。』

顧客にとっての“無限の海”——つまり、サービスによって到達できる理想の姿を伝えられたとき、初めて商品は価値を持ちます。
顧客が支払うのはモノの代金ではなく、モノが連れていってくれる未来への投資なのです。

プロダクト開発も機能を作る仕事ではなく、価値を創る仕事であることを自戒として心に留めたいと思います。

【顧客の顧客を分析する】

顧客にとってのベネフィット(価値)を正しく定義して、それを伝えるためには、“顧客自身”だけでなく、顧客の顧客(エンドユーザー)を深く理解することが不可欠です。

なぜなら、顧客が最終的に購入判断をする背景には、
必ず「自分の顧客にどう貢献できるか」という視点が存在しています。
つまり、何がエンドユーザーの購買行動に影響を与えているのかを読み解けなければ、顧客にとって本当に意味のある価値提案はできません。

その際に役立つのが、本書でも紹介されていた顧客分析のフレームワークとして知られる 「6O」 です。

  • Objects(目的):エンドユーザーは何を達成したいのか

  • Objectives(目標):どんな成果を重視しているのか

  • Occasions(状況):どのような場面で購買が起こるのか

  • Outlets(購入場所):どこで購買が行われるのか

  • Occupants(人物):購買の主導者・影響者は誰か

  • Operations(行動):どのようなプロセスで意思決定に至るのか

顧客の顧客を6Oで立体的に捉えることで、顧客が本当に解決したい課題が鮮明になります。

営業に求められるのは、目の前の顧客だけでなく、その先にいる顧客の顧客を理解し、自分たちが提供しようとしている価値がどのように連鎖していくかを描くことです。
そこまで踏み込んで提案してこそ、顧客の期待を超える提案が可能になるそうです。

エンジニアの私にとっても、顧客の課題がなぜ生まれるのか、それを顧客の顧客軸で理解することで、深みのある要求定義ができると学びました。

5. 「想い」の発信と「想い」の受信

相手が伝えたい「想い」を汲み取り、自分が伝えたい「想い」を端的に伝えるコミュニケーションは営業活動には欠かせません。

顧客が本当に伝えたい背景、抱えている葛藤、実現したい未来。
それらを丁寧に汲み取り、その上で価値や想いを端的に誤解なく伝える。
この“想いの循環”によって、提案は意味を持ちます。

しかし、こうしたコミュニケーション能力は、一朝一夕で身につくことはありません。
量が質を生むからこそ、練習やロープレが営業活動の生命線になります。
うまくいかない場面も含め、愚直に場数を踏み、試行錯誤し続けることで、相手の想いを掴む力も、自分の想いを正確に言語化する力も磨かれていきます。

また、成果を出し続ける営業に近づくためには、売れている人の行動を徹底的に真似ることが重要です。
机の前で悩むより、みずから足を使って教えを乞いに行き、現場で学ぶ。
その積み重ねが自分の引き出しを増やし、より洗練されたコミュニケーションへと繋がります。

さらに、アポイントで成果の差を生み出すのは、徹底した事前準備です。顧客の立場に立って「どんな反応をするだろうか」「どんな不安を抱えているだろうか」を想定し、反応パターンごとに切り返しや説明の筋道を準備しておく。それだけで商談の質は大きく変わる。と本書でも述べていました。

営業とは、想いをキャッチし、想いを届ける仕事。
その質を磨くのは、日々の練習と、本気の準備と、学び続ける姿勢です。
私もエンジニアとして、生涯勉強することを大切にしたいと思います。

6. 営業の本質は、「介在価値」である

営業の存在意義は、決して“情報を渡す人”になることではありません。
商品説明ならウェブサイトでもAIでもできる時代に、情報を運ぶだけの営業には何の価値もないのです。

営業に求められる本質的な役割は、「介在価値」を生み出すこと。
つまり、ベネフィットをどれだけ解像度高く言語化し、顧客に新たな“気づき”を生み、課題解決に伴走しながら、顧客の状況に合わせて最適化・カスタマイズすることに価値が宿ります。

顧客自身が言語化できていなかった本音を引き出し、潜在的な課題に光を当て、意思決定の背中をそっと押す。
そこにこそ、営業の介在する意味があるのです。

この介在価値を発揮するために、個人的な感情を切り離すことが重要です。
腹が立つことや、気分の乗らない日があっても、顧客にとってのベストな対応は変わりません。
"スーパーセールスマンとしての自分”を演じ、ビジネスマンとしてモードを切り替えることがどんな場面でも求められます。

また、忘れてはならないのは、製品の魅力を語る力と、顧客に「欲しい」と思わせてお金を払わせる力は全く別の能力であるということです。
機能を語れることは前提であり、それを顧客の文脈に落とし込み、心理的な障壁を取り除き、安心して意思決定できる状態に導くのが営業の仕事です。

たとえば、街中にあるソフトバンクショップを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
商品そのものはオンラインで買えます。オンラインで購入すれば手数料を取られることもなければ、店に行く手間もかかりません。
しかし多くの人は店舗に行き、スタッフに相談し、最適なプランを提案してもらう。その“介在価値”に対して、高い手数料が支払われています。
商品そのものではなく、“間に入って価値を届ける”仕事に対して、お金が動いているのです。

【課題は芯をくってこそ意味がある】

顧客に価値を提供するためには、まず 「本当に解くべき課題」を発見することが何より重要です。
表面的なニーズに引きずられたり、顧客が口にした要望だけを鵜呑みにしていては、解決策は的外れになることもあります。
営業が介在価値を発揮するためには、課題の“芯”を正確に射抜く必要があります。

それを見つける鍵は、顧客が「どのような時に」「どのような用途で」「どのようなシーン」で困っているのかを具体的に掘り下げることです。
先ほど紹介した6Oのフレームワークを用いて、業界特有の構造的な課題なのか、企業固有の経営課題なのか、あるいは現場・部門レベルの業務負荷なのか。課題のレイヤーを明確にし、どこに本丸があるのかを見極めて初めてこそ、刺さる提案ができます。

課題の芯を捉えるとは、単に困りごとを聞くことではありません。
“問題が起きている状況”を立体的に理解し、その中でどの痛点が最もインパクトを持つのかを特定すること。
これができる営業は、顧客の文脈に深く入り込み、狙いどころを外さない提案ができるため、商談の質が圧倒的に変わるそうです。

これから人間が手を動かして細かいコーディングをするというエンジニアの仕事は減っていくと思います。
ただ、人間という感情を持った生き物がプロダクトを作っているからこそ、顧客の課題に共感して、何に本当に困っているのかを見極めることが強みになのだと思います。
介在価値を生むために、私自身も顧客のリアルな課題をとりに行くことを率先してやっていきたいと思います。

まとめ

営業未経験の私が非常に偉そうに営業のことを語ってしまいましたが、たった2冊でここまで営業について教えてくれた本書はすごいなと思いました。

この内容を踏まえて、プロダクト価値についてどう活かすかを、もう一段階解像度高くまとめたいと思っているので、第二回の記事も是非お楽しみを。

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