はじめに
「とりあえずトラッキングIDをコピペして入れてるだけで、正体はよく分かってない…」
正直、そんな状態で Google アナリティクス(以下 GA)を使っている人、多いのではないでしょうか。
僕もその一人だったので、今さらちゃんと公式ドキュメントを読みながら整理してみたメモを記事にしました。
この記事では、現在の主役である「Google アナリティクス 4(GA4)」 を前提に、
- そもそも Google アナリティクスとは何者か
- 何ができて、どんなデータが取れるのか
- どうやって導入されているのか(ざっくり)
- Qiita で自分の記事のアクセスを計測するにはどうするか
あたりを、初心者〜中級エンジニア目線でざっくり把握することをゴールにします。
✅ 情報元について
本記事は以下の公式ドキュメントのみを主な情報源としています。
- Google アナリティクス公式ヘルプ・開発者ドキュメント
- Qiita 公式ヘルプ(Google アナリティクス設定)
記事のゴール
この記事を読み終わると、だいたい次のことが分かるようになります。
- Google アナリティクス(特に GA4)が何をするサービスなのかを一言で説明できる
- 「どんなデータを集めて、どうレポートにしているのか」のイメージがつく
- GA4 を使い始めるまでのざっくりした導入ステップが理解できる
- Qiita の「Google アナリティクス設定」が何をしているのかが分かる
1. Google アナリティクスを一言でいうと?
公式ヘルプでは、Google アナリティクスをざっくり次のように説明しています。
「ウェブサイトやアプリからデータを集めて、ビジネスのインサイトを得るためのレポートを作るプラットフォーム」
もう少し砕くと、
「ユーザーがサイト/アプリで何をしているかを記録して、グラフや数値で見せてくれるツール」
です。
- どのくらい人が来ているか(ユーザー数・セッション数)
- どのページがよく見られているか
- どこから来たのか(検索、SNS、広告など)
- どんな行動をしたのか(購入、問い合わせ送信、会員登録など)
といった情報をレポートとして可視化してくれます。
2. いま主役は「Google アナリティクス 4(GA4)」
2-1. GA4 とは?
Google は GA4 を「次世代の Google アナリティクス」と位置付けています。
特徴をざっくり並べると:
- ウェブサイトとアプリをまとめて計測できる(Web と iOS/Android を一つのプロパティで)
- イベントベースのデータモデル(ページビューだけでなく「ボタンを押した」「スクロールした」などを柔軟にイベントとして記録)
- プライバシー対応が強化されている(クッキーレス計測やモデル化など)
- 機械学習を使った予測指標・インサイト機能が入っている
また、従来の「ユニバーサル アナリティクス(UA)」は、2023 年 7 月 1 日以降データ処理が終了し、新しいデータは GA4 にしか入らないようになっています。
なので、今から「Google アナリティクスをちゃんと覚えたい」という場合は、基本的に GA4 一択です。
3. どうやってデータを集めているのか
3-1. 計測のざっくりフロー
公式ヘルプの説明をざっくり図解すると、GA4 の計測はこんな流れです。
- Google アナリティクス アカウントを作る
- その中に GA4 プロパティ を作る(サイトやアプリごとの「データの箱」)
- プロパティに データストリーム(Web / iOS / Android)を設定する
- Web の場合は、ページに 計測タグ(JavaScript) を埋め込む or Google タグマネージャーなど経由で設置する
- ユーザーがページを開くと、タグが動いて GA4 にイベントを送信
- GA4 がデータベースに保存し、各種レポートにまとめる
3-2. タグって何をしているの?
Web サイトの場合、GA4 のタグは JavaScript で提供されます。
公式ドキュメントでは、gtag.js や Google タグマネージャー(GTM)を使う方法が案内されています。
イメージとしては:
-
<head>に「GA4 用のスクリプト」を読み込む - そのスクリプトがページの表示やクリックなどのイベントを検知
- 裏側で GA4 のサーバーへデータを送信
という動きをしています。
コードの中では、page_view や purchase などの イベント名とパラメータ を送る形になっていて、これが GA4 側で「どんな行動が起きたか」を表す情報になります。
3-3. Cookie とクライアント ID
GA4 は、既定では _ga という名前の ファーストパーティ Cookie を使い、「クライアント ID」と呼ばれる識別子を保存します。これによって、同じブラウザからのアクセスを「同じユーザー」として扱えるようにしています。
ただし、
- Consent Mode により、ユーザーの同意がない場合は Cookie による保存を行わない
- その場合はモデル化されたデータで補完する
など、プライバシーに配慮した仕組みも組み込まれています。
4. 実際にどんなデータが取れるのか
公式ヘルプによると、GA4 のデフォルト実装だけでも、次のような情報が収集されます。
- ユーザー数(何人くらい来ているか)
- セッション統計(訪問回数・滞在時間など)
- おおよその位置情報(国・地域レベル)
- ブラウザ・OS・デバイス情報
- 主要なイベント(ページビューなど)
さらに、アプリや Web の開発者向けドキュメントでは、アプリ/Webでのイベント計測例が挙げられています。
- アプリなら「アプリが何回開かれたか」「アプリ内課金が何回あったか」など
- Web なら「スクロール」「クリック」「フォーム送信」など
これらに加えて、「自分で定義した重要なアクション」を コンバージョン としてマークし、売上や問い合わせ数の分析に使うことができます。
5. GA4 の画面で見られるレポートたち
GA4 のレポート画面は、いくつかの「概要レポート(overview)」と、その詳細レポートのセットで構成されています。
代表的なものを挙げると:
-
リアルタイム / Realtime pages
- 「今この瞬間、どのページに何人いるか」が分かるレポート
-
ユーザー獲得(Acquisition)
- どこからユーザーが来たのか(検索、SNS、広告など)
-
エンゲージメント(Engagement)
- ページビュー、スクロール、イベント、コンバージョンなど
-
収益化(Monetization)
- EC サイトなどでの購入状況
-
維持率(Retention)
- リピーターの動き
各「概要レポート」は、複数のカードで構成されており、カードをクリックすると詳細レポートに飛ぶ、という構造になっています。
6. GA4 を始めるまでのざっくりステップ
実際に GA4 を導入する大まかな手順は、公式ヘルプで次のように説明されています。
- Google アナリティクス アカウントを作成
- その中に GA4 プロパティを作成
- プロパティに データストリーム(Web / iOS / Android)を作成
- Web サイトの場合は
-
gtag.jsを直接埋め込む - もしくは Google タグマネージャー(GTM) を使ってタグを管理
- もしくは CMS(WordPress など)の Google アナリティクス連携機能に測定 ID を入れる
-
- データが入ってきたら、レポートを見たり、コンバージョン設定をしたりする
⚠️ プライバシー・規約に注意
- Cookie のバナー表示やプライバシーポリシーへの記載など、地域の法律・規制に応じた対応が必要になる場合があります。
- 実装時は、自分の運営するサービスが対象地域のルールに合っているかを必ず確認してください。
7. Qiita にも GA4 をつなげられる
Qiita には、ユーザー設定の中に 「Google アナリティクス設定」 というメニューがあります。
ここに GA4 の「測定 ID(G-XXXXXXXXXX)」を入れることで、自分の Qiita 記事へのアクセスを GA4 で計測できます。
Qiita 公式ヘルプによる手順を超ざっくりまとめると:
- GA4 側で Web データストリームを作成し、
- ウェブサイトの URL を
https://qiita.comにする - そこから 測定 ID(
G-から始まる文字列) を取得
- ウェブサイトの URL を
- Qiita にログインし、右上メニューから 「設定」 を開く
- 左メニューの 「Googleアナリティクス設定」 を選択
- 先ほどの測定 ID を入力して保存
- 自分の記事にアクセスし、GA4 の「リアルタイム」レポートで計測されているか確認
これで、「自分の Qiita 記事がどれくらい読まれているか」を GA4 で分析できるようになります。
8. エンジニア視点で意識しておきたいポイント
ここからは、公式情報+現場での使われ方を踏まえた「エンジニア目線」のポイントです(このセクションは僕の整理なので、若干主観が入ります)。
8-1. 実装担当として
-
タグの設置場所・方法
- 直接埋めるのか、GTM を使うのか、フロント側で
next/head的に制御するのか…など
- 直接埋めるのか、GTM を使うのか、フロント側で
-
環境ごとの切り替え
- 本番だけ GA4 を有効にする / ステージング環境は別プロパティに送る など
-
イベント設計
- 「とりあえず何でも送る」のではなく、「何を改善するためにどのイベントを送るか」を設計すると、後々のレポートが読みやすい
8-2. データ活用・自動化の入口
Google アナリティクスには、Analytics Data API が提供されていて、レポートデータをプログラムから取得できます。
これを使うと:
- 自作のダッシュボードに GA4 のデータを表示する
- 定期レポートを自動生成して Slack に投げる
- 生成 AI と組み合わせて「自然言語で GA4 データを聞く」
なども可能になります(実際、Qiita でもそういった記事が増えています)。
9. まとめ
最後に、今回調べた内容をざっくり振り返ります。
- Google アナリティクスは、サイトやアプリのユーザー行動をデータとして可視化するプラットフォーム
- 現在の主役は GA4 で、Web とアプリをまとめてイベントベースで計測し、プライバシーにも配慮した設計になっている
- 計測は「アカウント → プロパティ → データストリーム → タグ」の流れでセットアップし、タグがイベントを GA4 に送り、レポート画面で分析する
- デフォルトでもユーザー数・セッション・デバイス・位置情報など、多くの指標が自動で集計される
- Qiita では「Google アナリティクス設定」に GA4 の測定 ID を入れることで、自分の記事のアクセスを GA4 で追える
もし、今まで「よく分からないけどなんとなく入れていた」状態だったなら、
まずは自分のサービス or Qiita に GA4 をちゃんとつないで、
- リアルタイムレポートで「自分がアクセスすると数字が動く」感覚をつかむ
- Acquisition / Engagement あたりのレポートを眺めてみる
ところから始めてみると、だいぶイメージが湧きやすくなると思います。