Gitとエディター(SEU,RDi,VSCode)
担当 : 松野圭吾
IBM i でソースコードを編集する場合、歴史的に SEU が長らく標準でした。
しかし、Git を活用する開発スタイルにおいては、よりモダンなエディタである RDi や VS Code を利用することで大きな利便性を得られます。
ここではそれぞれの特徴や相性を整理します。
1. SEU(Source Entry Utility)
5250エミュレータ上で動作する従来型のソースエディタです。
■ 特徴
IBM i 本体に標準搭載、軽快に利用可能
ソースメンバーを直接編集し、その場でコンパイルが可能
RPG III / RPG IV (RPGLE) から フリーフォーマットRPG まで最低限の編集に対応
■ Gitとの相性
Git 連携機能はなく、ソースを IFS にエクスポートして別途管理する必要がある
履歴管理や差分確認は SEU 単体では不可能
■ 評価
IBM i 標準機能のため追加コストは不要
レガシー環境では根強く利用されているが、Git を活用した開発には不向き
2. RDi(Rational Developer for i)
IBM が提供する公式の統合開発環境。Eclipse をベースにした IDEです。
■ 特徴
FFRPG 含め IBM i 向け言語に最適化されたエディタ
構文チェック、コード補完、デバッグ、DB定義編集など開発を支援する機能が豊富
Git 連携は Eclipse プラグイン(EGit)を導入することで利用可能
■ Gitとの相性
Git コマンドを直接打たなくても、GUI 上でコミット・プッシュ・ブランチ操作が可能
ソースメンバーをワークスペース上で編集し、IFS やローカルプロジェクトを経由して Git 管理が可能
■ 評価
高機能で信頼性も高く、公式サポートもあるが 有償(年間ライセンス料)
チーム全体で導入する場合、コスト面がネックとなることもある
3. VS Code(Visual Studio Code)
Microsoft が提供する軽量エディタで、無料で利用可能です。
■ 特徴
Git 機能を標準搭載(GUIでのコミット、ブランチ切替、差分表示などが容易)
豊富な拡張機能により IBM i 環境にも対応可能(Code for IBM i, RPGLE Syntax など)
SSH接続や SFTP を利用して IFS 上のソースを編集できる
■ Gitとの相性
Git 連携は標準でサポートされており、GUIによる操作性は Eclipse 系 IDE より直感的
IFS 上で直接 Git を利用するのは一般的ではないため、SFTP などでローカルに同期して管理するのが現実的
■ 評価
無料で導入でき、モダンな Git ワークフローとの親和性が高い
RPG 向けの補完やデバッグ機能は RDi に比べて弱いが、軽量かつ学習コストが低い
まとめ
SEU:軽快だが Git との親和性は低く、レガシー開発向け
RDi:高機能で公式 IDE、Git 連携も可能だが有償
VS Code:無料で導入でき、Git との親和性が最も高い。拡張機能により IBM i 環境でも実用的
👉 Git を活用した開発を行う場合は、RDi または VS Code の利用が現実的です。
既存環境を重視するなら SEU 継続も選択肢ですが、将来的にはモダンなエディタへの移行を検討するとよいでしょう。
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