不同意性交罪の冤罪を防ぐ方法を思いついたので、聞いてください
不同意性交罪とは
不同意性交罪とは、名前の通り、「同意なく性交した」ことによって成立する罪で、
2023年6月16日、これまでの強制性交罪・準強制性交罪に置き換わる形で定義された犯罪です。
これまで「暴行や脅迫」による強制的な性交が罪に問われていたところ、
これからはそれに加えて
- アルコールや薬物を摂取させてエッチする
- 眠っているなど意識がはっきりしていない状態でエッチする
- 拒絶するいとまを与えずにエッチする
など、7つの項目のどれかに当てはまり、
「被害者が同意しない意思を表すことが難しい状態」にさせることで、罪に問われることになりました。
これまで罪に問えなかった性暴力が、新たに罪に問えるようになったという点で評価できる一方、
法を悪用して後から『同意がなかった』と訴えられるという冤罪に怯える声も上がっています。
「性交同意公正証書」という提案
そこで今回、公証制度と暗号技術を組み合わせた「性交同意公正証書」を作成し、
エッチの前に同意を明確にしておく仕組みを考えました。
公証制度とは
公証制度は「メチャクチャ強い証拠書類」を、「トラブルが起きる前に予め作っておく」ための国の制度です。
証拠としての力は凄まじく、民事裁判において、無条件でその形式的な証拠力が認められたり、財産の強制的な取り立てが可能だったりすることから、「第1審勝訴判決と同等」と言われることもあるほどです。
刑事裁判においても、書類を証拠にする際に本来必要な厳格な条件が免除されており、公証された書類の信用はもはや最強と言っていいでしょう。
逆にいえば、それだけ強い証拠を作る制度であるからこそ、
公証制度の利用には時間・費用・手間が掛かります。
1つの書類を公証するために、当事者が公証役場に最低1度は出向き、
ウン万円の費用を行政書士や公証人に支払い、
それから2週間ほど待つ必要があります。
なので 「エッチの同意を示す『性交同意書』を毎回公証する」ことは現実的ではありません 。
暗号技術で「気軽な公証」を実現
そこで思いついたのが、性交同意書自体を公証するのではなく、
公証された公正証書と、公証されていない性交同意書をミックスして混ぜ合わせる、「性交同意公正証書」という仕組みです。
これは「暗号鍵だけを公証し、性交同意書を暗号化すれば、
公証制度の効力の及ぶ暗号文を気軽に作れるよね」というアイデアです。
暗号化には、
- 「秘密にしたい情報を隠す」という側面
- 「秘密の情報と暗号鍵を混ぜ合わせた新たな情報を作る」という側面
の2つの側面があります。
今回は、主に2つ目の側面を利用し、「性交同意書の情報と公証された情報を混ぜわせた、いわば『半公証情報』を作ろう」というものです。
この『半公証情報』は、公証された暗号鍵でしか復号できないわけですから、半公証情報が信用できるとき、復号された平文たる性交同意書にも一定の信用を置いていいのではないか、という発想です。
性交同意公正証書の仕組み
さて、性交同意公正証書が、どのように公証制度と暗号技術を利用するかについてお話しします。
ここでは暗号化を足し算、復号を引き算で表現します。
性交同意公正証書は、
$$(性交同意書) + (公証された暗号鍵) = (暗号データ)$$
という計算をし、この「暗号データ」を弊法人、特定非営利活動法人日本弱者男性センターが受け取り、当事者に代わって定期的に公証するというものです。
暗号化されているので、弊法人の職員や、公証人に見られても、エッチの内容や当事者が誰なのかを知られることはありません。
そして、エッチの後で「不同意性交だ」としてトラブルになった場合は、
$$(暗号データ) - (公証された暗号鍵) = (性交同意書)$$
という引き算をすることで、性交同意書の内容を復元することが出来ます。
暗号データも、暗号鍵も、どちらも公証されていて非常に有力な証拠となります。
公証された2つの情報を引き算するだけで性交同意書が復元できるため、
この性交同意書も証拠として信用できるのではないか?というアイデアです。
実際には、リベンジポルノ的な悪意ある復号を防ぐ必要性から、暗号文そのものではなく、暗号文のハッシュを暗号文として利用者に返却するなどしています。詳しくはデータフロー図をご覧ください。
暗号化データフロー
復号データフロー
現在、弊法人ではこの「性交同意公正証書」の仕組みを実現させるため、
システム開発や、協力者との調整に努めています。
この仕組みが実現した際には、是非ご利用ください。
デモ
デモシステムは、
https://github.com/hiratatomotaka/sex_agree
にて公開しています。
また、参考動画として
https://www.youtube.com/watch?v=O9qMYcB8gm8&t=25s
も公開しています。
最後に
不同意性交罪により性犯罪の適用要件が広がり、「男は常に女性に怯えなければいけなくなる」という声も上がっているようですが、
僕は違うと思います。
新しい条文を文字通り解釈すれば、
「夜中に求めてくるセックスレスの妻」とか、
「射精後に無理やり『男の潮吹き』をさせてくる彼女」などといった、
今まで「ちょっと行き過ぎた冗談」で済まされていた女から男性への性暴力も、
今回性犯罪として立件できるようになったといえると思います。
むしろ、こういった女の性暴力を司法に訴える機会が増えたという意味で、
今まで闇に隠されていた女の加害者、男性の被害者の実態が明るみに出る機会であるといえないでしょうか。
この機会にぜひ、性交同意公正証書の仕組みが世の中に広まり、
望まないエッチで不幸になる方が、女性だけでなく男性においても、
少しでも少なくなることを切に願っています。