
この記事について
本記事は、aeon 公式ブログの Open-Source AI Agent Framework on GitHub Actions を日本語に翻訳したものです。原文の著者は aeon の作者 @aaronjmars です。
訳者は aeon の Growth コントリビューターであり、利害関係があるため明記しておきます。また原文には著者本人の利用体験を一人称で語る箇所がありますが、訳文では「フレームワークとして何ができるか」という説明に書き換えています。スキル数などの数値は原文の最新版に準拠し、記事内のリンクは翻訳時点で到達確認済みです。
概要
85 スキル、9 つのハーネス、cron によるスケジュール実行。サーバーもなく、SaaS のダッシュボードもありません。自分のリポジトリの中に住み、GitHub Actions 上で動く自律エージェント — しかも現在はブラウザだけで起動できます。
たとえば、こういう構成が組めます。起床前にモーニングブリーフを書き上げておく。気になるリポジトリを監視し、動きのない日は黙っている。必要な Web 検索の料金は、エージェント自身のウォレットから支払う。これらをすべてスケジュール実行で、GitHub Actions 上の自分の aeon リポジトリで動かす。
サーバー不要
常時起動のマシン不要
席数課金の SaaS ダッシュボード不要
aeon とは
aeon は @aaronjmars によるオープンソースの自律型 AI エージェントフレームワークです。入口は 2 つあります。
速いほう: Aeon Connect で GitHub にサインインし、ブラウザからエージェントを起動する
従来のほう: リポジトリで Use this template を押す(または clone して ./aeon init を実行する)、そのあとローカルのダッシュボードからオンボーディングする
どちらを選んでも行き着く先は同じです。自分が所有するリポジトリの中で、GitHub Actions のランナー上を動くエージェントです。
スキルは Markdown ファイル 1 枚
初期状態で、6 つのパックにまたがる 85 個のスキル が同梱されています。スキルとは、エージェントが実行できる小さな仕事の単位です。digest、github-monitor、narrative-tracker、vuln-scanner、create-skill などがあります。
1 つのスキルの実体は SKILL.md ファイル 1 枚です。小さな frontmatter ブロック(name、category、必要なキー、実行ごとの変数)と、そのあとに続く自然言語のプロンプトだけ。エージェントは実行時にこのファイルを読みます。
DSL なし
プラグイン SDK なし
コンパイル工程なし
プロンプトが書ければ、スキルが書けます。
9 つのハーネスに対応
原文の初版が公開された時点では、カタログは 61 スキルで、エンジンは Claude Code だけでした。現在の aeon は 9 つのハーネスを駆動します — Claude Code、Grok、Codex、Pi、Vibe、Kimi、fx、Cursor、Hermes。選ぶタイミングはリポジトリ作成時ではなく、モデルを接続するときです。スキルファイル側は、どのハーネスが実行するかを気にしません。
通知チャネル
デフォルトの配信先は Telegram です。一度ボットに DM を送ると chat ID が secret に格納され、それ以降はすべてのスキルが実行結果をスマートフォンに送ってきます。ボットに返信して、そのメッセージを aeon へのトリガーとして送り返すこともできます。Discord、Slack、メールも同じ仕組みで動きます。
LangGraph や CrewAI との違い
際立っている点が 3 つあります。
- バックグラウンド実行が設計の前提 — サーバーもオーケストレーターもない
LangGraph、CrewAI、AutoGen、AutoGPT — これらはどこかでプロセスがすでに動いていることを前提にします。ホスティング先を決めるのは自分。監視するのも自分。落ちたら再起動するのも自分です。インフラが先、エージェントは後。
aeon は逆の端から始めます。デプロイの単位は YAML の cron 行 1 本 で、実行は GitHub Actions が担当します。
結果として、スケジュール駆動かつリアクティブなフローになります。スキルを発火させる方法は、cron、ボットへの DM、コミットのプッシュの 3 通り。失敗した実行は自己修復します。次のスケジュールの tick は何があっても発火しますし、自己修復の仕組みも強化されました。
skill-health が失敗を繰り返しているスキルを監視する
skill-repair がそれにパッチを当てる
aeon-doctor がインストール自体をチェックする
すべての実行に評価が付くので、受信箱で気づく前にドリフトが表面化する
小さな話に聞こえますが、5 つのスキルを毎日 1 か月発火させたあとに、一度も呼び出しを受けておらず、一度も停止しておらず、自分がメンテしたのは YAML だけ — という状態に気づくことになります。
アーキテクチャの詳細は The agent that runs while you sleep で解説されています。 - エージェントがお金を払える — そして稼げるようになった
ほとんどの AI エージェントは読み取り専用です。取得し、要約し、投稿する。しかし経済的な意味で「行動」はしません。できないのです。現実世界で行動するには、たいてい API キー、請求アカウント、クレジットカードが必要になるからです。
aeon は Base MCP と x402 プロトコルにそのまま接続します。エージェントは自分自身の Base Account ウォレットを持ちます。x402 のバザーを検索し、有料 API を見つけ、1 回の呼び出し分だけ支払って結果を使う — API キーも銀行口座も、事前入金済みの請求設定も不要です。すべての支払いは Base Account の承認ステップを通るので、approve をタップするまで何も確定しません。
実際に何ができるようになるか:
narrative-tracker の実行に予測市場のオッズを使う
無料 API がレートリミットに当たったときにライブ Web 検索を使う
digest のためにプレミアムフィードを使う
その前段の信頼性チェック: cortx-reliability が、エージェントが 1 セントでも使う前に、x402 エンドポイントが実際に価値を返しているかを検証する
そしてこの流れは双方向になりました。compute-resell は余っているプロバイダの計算資源をオープンな市場に出し、自分で設定したガードレールの内側で価格を動的に付けます。taskmarket-delegate は他のエージェントに有償で仕事を渡します。エージェントは数セントの価値があるものを自分で判断して支払い、そして自分でも数セントを稼ぎ始めています。
x402 側の詳細は Letting your agent spend money にあります。 - スキルは Markdown ファイルで、組み合わせられる
aeon のスキルは Markdown ファイル 1 枚です。インターフェースはそれだけ。できることは次のとおりです。
カタログにある 85 スキルのどれでも、自分のコピー上で直接編集する
似ているスキルをコピーして仕様を書き換え、20 分で新しいスキルを書く
aeon.yml でスキルをチェーンする — あるスキルの出力が次のスキルの入力になる
新しいスキルを aeon 自身に書かせる。create-skill と self-improve はカタログに実在するスキルで、カタログがカバーしていない領域にはコミュニティのスキルパックもある
すべてが git の中にあります。すべての変更はコミット、すべての実行はワークフローログです。先週の火曜 04:00 UTC に自分のエージェントが何をしたか、なぜそうしたか、何を生成したかを正確に追えます。可観測性スタックを別途立ち上げる必要はありません。
構成の話は Skills that build skills、監査ログの話は Receipts, not vibes にあります。
aeon ではないもの
aeon はホスティング型のエージェントではありません。誰もあなたの代わりにエージェントを動かしません。エージェントはあなたの GitHub リポジトリの中に住み、あなたの Actions 時間を消費して実行され、キーはそのリポジトリの secrets に入ります。Aeon Connect 経由でセットアップした場合も同じです。Connect がホストするのはダッシュボードとリモート MCP サーバーで、実行レイヤーはあなたのものです。使うのをやめても、エージェントは動き続けます。
派手なチャット UI もありません。オンボーディングはブラウザ(Connect)かローカルのダッシュボード(localhost:5555)で行います — モデルを接続し、チャネルを追加し、スキルをトグルする。それが終わったら、インターフェースはあなたの受信箱、Telegram、リポジトリのログです。
始め方
速いほう(ターミナル不要)
www.aeon.fun/connect にアクセスし、GitHub でサインインして aeon を作成します。public なら Actions の無料時間で済み、private ならメモリと実行ログを非公開に保てます。
作成されたリポジトリ 1 つに Aeon Connect GitHub App をインストールする(アカウントの他の部分は一切見えません)
モデルの認証情報を貼り付ける(Claude トークン、API キー、ChatGPT ログイン、OpenRouter のいずれか)
スキルを選ぶ
実行する
手順は 5 ステップ、インストールするものはありません。各ステップの詳細は Aeon Connect の記事にあります。
コーディングエージェントを使っているなら、Claude Code、Codex、Hermes、OpenClaw に次を貼り付けるだけでも始められます。
read https://www.aeon.fun/skills/aeon.md and follow the instructions to set up your aeon agent
従来のほう(CLI)
Node.js 20 以上と、認証済みの GitHub CLI(gh auth login)が必要です。
git clone https://github.com/aeonfun/aeon && cd aeon
./aeon init
./aeon init がリポジトリを作成し、GitHub・モデル・Telegram を接続します。./aeon を実行すると同じダッシュボードが localhost:5555 で開き、そこで 9 つのハーネスのいずれかで認証し、チャネル(Telegram、Discord、Slack、メール)を追加し、スキルとその cron スケジュールを選んで実行できます。スケジュールは次の cron tick から始まります。
ダッシュボードでできることはすべて ./aeon の CLI コマンド、または /aeon のチャットコマンドとしても用意されており、Claude Code や Codex のプラグインとしてインストールできます。main ではなく固定点に pin したい場合は、リリースが v0.1.0 から提供されています。
どちらの経路も同じリポジトリに行き着きます。Connect で始めて、手でスキルを編集したくなったら CLI に降りる — 移行作業は必要ありません。
FAQ
aeon の実行は無料ですか?
フレームワーク自体は無料のオープンソース(MIT)で、Aeon Connect も無料です。費用がかかるのは、GitHub Actions の無料枠を超えた分(public リポジトリは無料枠があり、private リポジトリは月 2,000 分が含まれます)と、選んだハーネスの背後にいるプロバイダです。オプションの有料 API は、エージェントの x402 ウォレットが自分で支払います。
何かインストールする必要はありますか?
現在は不要です。Aeon Connect がセットアップ全体をブラウザで完結させます(例外が 1 つ: Claude のサブスクリプショントークンは claude setup-token で取得します。API キーや OpenRouter ならターミナルは一切不要です)。ターミナル経路も引き続き存在し、両者は自由に行き来できます。
LangGraph や CrewAI と比べてどうですか?
LangGraph と CrewAI は、自分で組み立てて 1 つのプロセスとして動かすライブラリです。aeon はデプロイのパターンです — スキルは Markdown ファイル、スケジュールは YAML、実行は GitHub Actions。「オーケストレーターが git + GitHub であるエージェントフレームワーク」と考えるとわかりやすいかもしれません。
Python の知識は必要ですか?
不要です。スキルは Markdown です。エンジンは認証したハーネス(Claude Code、Grok、Codex、ほか 6 つ)です。触るのはスケジュール用の YAML と、スキルのプロンプト用の Markdown。Bash や Python が出てくるのは、それを必要とする特定のスキルの内部だけです。
Telegram なしで使えますか?
使えます。Telegram、Discord、Slack、メールがすべてサポートされており、どれでも、全部でも、何も使わなくても構いません。通知チャネルを設定しない場合もスキルは実行され、出力はコミットのアーティファクトとしてリポジトリに残ります。
複数のエージェントを動かせますか?
動かせます。spawn-instance が 1 つ目の aeon から 2 つ目を立ち上げ、fork-fleet と fleet-control がその集合を協調させます。エージェント 1 体につきリポジトリ 1 つ、共有メモリは git です。
データはプライベートですか?
あなたのコピーはあなたのものです。secret は GitHub Actions の secrets に入ります。スキルの出力はあなたのリポジトリにコミットされます。フレームワークが外部に情報を送ることはありません。Connect 上では、public なエージェントのメモリとログは public リポジトリと同様に公開されるので、それが問題なら作成時に private を選んでください。
シリーズ記事(原文・英語)
The agent that runs while you sleep — バックグラウンド前提のエージェントを支えるアーキテクチャ
Letting your agent spend money — 実践としての x402
Skills that build skills — スキルの構成(composition)の話
Receipts, not vibes — 監査ログの話
Aeon Connect: start your agent from the browser — ターミナル不要のオンランプ
訳者から
実装を読みたい方は、リポジトリの skills/ ディレクトリから見るのが早いと思います。1 スキル = SKILL.md 1 枚なので、1 ファイル読めばスキルの書き方がわかります。
リポジトリ: github.com/aeonfun/aeon(MIT)
原文: Open-Source AI Agent Framework on GitHub Actions
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