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EAGLYSAdvent Calendar 2022

Day 21

書籍『暗号から学ぶ代数学』の紹介

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この記事は EAGLYS Advent Calendar 2022 の21日目の記事です

はじめに

昨年のアドカレでは,↓の書評記事を書きました

書籍『耐量子計算機暗号』の紹介
書籍『データ解析におけるプライバシー保護』の紹介
書籍『セキュリティエンジニアのための機械学習』の紹介

書評記事は書くのが楽なので今年も書こうと思います

Q. それってあなたの感想ですよね?
A. はい

ということですので,あくまで個人の感想となります

今回紹介する本

暗号から学ぶ代数学

目次

昨年の記事でも参考文献として触れていたのですが,さらっと読んでみたので気になったところを紹介してみます

第2章

思ったより代数をしていました(この感想は読めばわかるかと)
なんですが,かなり具体例が多くて,スルッと読み進められると思います

第5章

めちゃめちゃわかりやすい,個人的最推し章です

対称群っていまいち掴みどころが分かりづらいですが,イラストだとかなりスッと理解できるんですね・・・

第7章

個人的な準同型のハマりポイントとして,

$g_1, g_2 \in G$ に対して $f : G \rightarrow H$ が $f(x_1 \cdot x_2) = f(x_1) \cdot f(x_2)$ を満たすとき・・・

と書いたときに,左辺の $f(x_1 \cdot x_2)$ の $\cdot$ と右辺の $f(x_1) \cdot f(x_2)$ の $\cdot$ は異なるものでもよい,というのは定義の段階で強調してもいい気がします

この本では,その後に異なる演算で対応している例が挙げられているので,すごく配慮されているなと思いました(こなみかん)

本質的には同じですが,$\mathbb{R}$ を実数全体の集合として,$f : \mathbb{R} \rightarrow \mathbb{R}$ で,$f(x) = e^x$ とすると,$x, y \in \mathbb{R}$ に対して,$f(x + y) = f(x) \cdot f(y)$ なので,$f$ は準同型です

第8章

環の元に対して,可逆とか単元ではなく,正則という言い方をするのを初めて知りました(まあこの辺の言い回しはどうでもいいといえばどうでもいいのですが)

演習問題8.1
$0^{-1}$という書き方が気になりました(元 $a$ に対して,$a$ の逆元が存在してはじめてその逆元を $a^{-1}$ という書き方をするため)

まとめ

前回紹介した 現代暗号技術入門 とは異なり,Caesar暗号からスタートなので,テイストが全然違うなって感じでした

必要な数学を全て用意してから暗号に進む,というよりは,暗号を進めてその場その場で必要なものを調達するという認識でしょうか

あまりこういうのを書くのは良くない気がしますが 代数学1 群論入門 に挫折した方は(暗号に興味がなかったらそこは飛ばしてもいいので)こちらの本がおすすめです(思った以上に代数メインでしたし,冒頭でそのようなことが書かれています)


今回の内容はここまでです.ここまでご覧になってくださった方々ありがとうございます!

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