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AQUAPLUSが一昔前に出していた携帯端末P/ECEは、ハードウェアの仕様が公開されていることもあり、ユーザによる改造が盛んに行われていました(Wikipedia)。
定番の改造として、MMC/SDカードスロットを増設し、ストレージ容量を増やすというのがあります。
P/ECEは標準ではストレージがフラッシュRAM512KBしかなく、ユーザが使える領域はさらに狭く348KBで、アプリやデータをそれほど多く入れられません。
しかし、P/ECEのMMCでMP3プレイヤー&MMC対応カーネルサポートページで紹介されているこちらの改造を行い、対応ソフトやカーネルをインストールすると、FAT16でサポートされている最大2GBまでのメモリーカードを読み込めるようになります。
サポートページにはMMC/SDカード変換基板での作例がありますが、変換アダプタでSDカードとして使えるminiSD、microSDも使えるので、例えば変換アダプタに回路を実装してP/ECEの本体ケース内に内蔵するようなこともできます(参考:autch氏の作例)。
で、今回は、以前作っていたmicroSD変換アダプタでの実装が故障(ホットグルーで固めていた下のリード線が外れてしまい、修復不可能)したため、新たにmicroSD変換基板で作り直すことにしました。
以前作った時(10年ぐらい前)はこんな基板なかったのですが、変換アダプタと違って、push-push方式でカード抜き差しできるので、よりそれっぽくなります。
例によって、真似する方は自己責任でお願いします。
材料
-
サンハヤト MicroSD用コネクタ変換基板 CK-40
他にも検索したら種類がいくらか出てくると思いますが、ケースに収まるならどれでも良いです。
手順
(もはや当たり前のようにバラしているので)分解手順の写真撮り忘れました。
ネジ外してツメ外して、スピーカーと電池ボックスのリード線を破壊しないようにケース背面をそっと開いてください。
ケース背面に取り付けるため、P/ECE拡張端子側の半田付けを表面だけで済ませるなら、基板とケース前面は分離する必要がありません。
スピーカーと電源ボックスのリード線が邪魔になる場合は、端子の半田を溶かして一時的に外してしまってください。
詳しくはP/ECE HAND BOOK Vol.2とか見てください。
ケース加工
ドリル、ヤスリ等で、ケース背面にmicroSD変換基板のスロット部分だけ外に出るよう穴を開けます。
microSDカード挿入部分だけ穴を開けるのではない理由は以下です。
- 基板をケース背面にピッタリ付け、ケース内部のスペース確保
- push-push方式での抜き差し時の圧力をケース背面で受け止められ、基板が外れることを防ぐ
半田付け
microSD変換基板の裏面に、P/ECEのMMCでMP3プレイヤー&MMC対応カーネルサポートページの回路図(可変抵抗ない方)を実装します。
(P/ECEのMMC/SDカードアクセスで使われる)SPIモードでの各ピンと端子の対応は以下の通りです。
サンハヤト CK-40だと、基板表面に端子名が書いてあるので分かりやすいです。
ピン | SPI |
---|---|
1 | 非使用 |
2 | CS |
3 | DI |
4 | VDD |
5 | SCLK |
6 | VSS |
7 | DO |
8 | 非使用 |
MMC/SDカード変換基板との違いとして、microSDではVSSが1つしか無いので、回路図の基板側3番端子と6番端子をブリッジする必要がありません。
microSD→SDカード変換アダプタで実装する場合は、SDカード側の3番端子がmicroSD側に繋がっていないので、P/ECEの拡張端子2番からはSDカード側の6番のみに繋げば良いです。
リード線は、太いとケースが閉まらなくなるので、できるだけ細いものを使ってください。スピーカーと電源ボックスのリード線も、あわせて細いものに換えた方が良いかもしれません。
基板の表面に半田、リード線、部品の線が出ていると、基板をケースにピッタリつけられないので、切り取ったり削り取ったりしてください。
テスト
この状態で一旦動作テストを行います。
P/ECEのMMCでMP3プレイヤー&MMC対応カーネルサポートページにある簡易チェックアプリをP/ECEに転送、実行して、正常に情報が表示されたらOKです。
ケースに組み込み
ケース背面にmicroSD変換基板を固定します。私は、何かあった時にメンテナンスできるよう、接着剤ではなく、強めの両面テープを使いました。
その後、ケースを閉めた時にメイン基板と接触してショートしないよう、絶縁体をかませます。以前はホットグルーで固めてしまっていましたが、今回は後のメンテナンス性を考えて、ビニールをちょうど良い大きさに切って、両面テープで貼り付けました。
ケースを閉じたら完成です。
ケースを閉じる時のリード線の取り回しが一番苦労するかもしれません。
あと、スロット部分に内部に向かって力をかけると、ケースから基板が外れてしまうので、それだけ何とかしたいところ。
対応ソフト
P/ECEのMMCでMP3プレイヤー&MMC対応カーネルサポートページをご参照ください。
カーネルを入れ替えたら、アプリで個別の対応がなくても、メモリーカードの内容を読み込むことができます。アプリを起動するためのシェルもMMC対応になるので、メモリーカード側にアプリを入れておくこともできます。
2GBもあれば、世に出回っているP/ECEのアプリ全部入れてもおつりが来るでしょう。
ってことは、別にメモリーカードを抜き差しできるようにしなくても、FAT16でフォーマットした2GBのMMC/SDカードに回路を実装して、ケース内に封印してしまえば、ケースの加工しなくて良い説・・・?(書き込みはP/ECE研究室さんのMMC/SDカードリーダーライターアプリを使用で)