こんにちは。
@zt_megane です。
この記事はARIアドベントカレンダーの14日目の記事です。
皆さんシステム開発をするときに画面デザインっていつ作りますか?
アジャイル開発なら早めにワイヤーフレームを作って、デザインせずに作るかもしれないですし、ウォーターフォール開発なら設計フェーズになるでしょうか。
私も今でもそういう開発のマネジメントはしますが、ARIの中にはデザイナーがいるので、デザイナーが開発工程の先にお客さんとヒアリングをしながら、UI/UXを作っていくデザイン先行開発というプロセスで開発をすることがあります。
今回はそのプロセス開発をマネジメントしながら得た知見を少し紹介したいと思います。
デザイン先行開発とは
デザイン先行開発とは、最初にシステムのUI/UX設計をデザイナーが行い、そこから要件定義を進めていく手法です。
詳しくはこちらを見てください。
https://ari-jp.com/service/design-first-development/
デザインが先行すると開発はどう変わるのか?
アウトプットベースで考えると、画面一覧、画面遷移図、画面デザインなんかが先に決まるだけのイメージになるので、作業順番を入れ替えただけのように見えるかもしれません。
しかし、実はそれ以外にもデザインを先行して決めることで決まっていくものがあります。
私の体感ですが、これくらいのことはデザインを検討しながら決まっていくイメージがあります。
機能要件の1/3くらい
基本、要件の上でデザインが成立するので、デザインを考える時点である程度の機能要件をヒアリングまたは調整をしています。
非機能要件の一部
ユーザー数や性能など、アプリケーション側の要件の一部が決まりやすいです。
詳細設計の1/3~場合によっては半分
デザインを考えるときには、機能要件を画面毎に想像していくことになるので、自ずとデザインが決まる頃には画面機能の要件もほぼ決まっていることが多いです。
さらにそれに付随した仕様なども決まっていくこともあります。
デザインを先行することの効果
ではなぜこれだけの事がデザインを先にすることで決まるのでしょうか?
色々と考えてその事象を紐解いていくと、大きく2つの理由があると思いました。
1.デザインを前にして人はアイディアが生まれやすくなり、周辺のアイディアが残りやすい。
二重符号化理論(デュアルコーディング理論)という理論がありますが、これは人は文字のみより、文字とそれに関連するイメージを見たほうが、思い出せる確率が約2倍に跳ね上がるという仮説になります。
たぶん皆さんも実感として理解できる話ではないでしょうか。
デザインが先に来ることでこの効果を発揮して、思い出しやすくなっていることが考えられます。
2.デザインを共有することで、お互いにゴールイメージが明確化し、やりたいことが見えてくる。
チームワーク研究の中で、個々に人はメンタルモデル(物事の見方や行動を決める際の前提となるイメージ)を持っているというものがあります。
そして、チームワークで重要なのは、情報共有しながらメンバー同士がメンタルモデルを共有できるかどうかにかかっていて、関係者が多くて複雑性の高い業務を成功に導くためには、チーム内で共通のメンタルモデルを持つことが重要だと考えられています。
その共通のメンタルモデルを持つ助けとして、デザインされたシステムイメージというのがうまく効果を発揮していると思います。
ゴールイメージを早めに共有することが大事
これら2つの理由を考えると、結局「ゴールイメージを早めに共有する」ということが、大事なんだと私の中では結論づきました。
でも、これって言われてみれば当たり前の事なんですよね。
家を作るときには先に外観とか内観のイメージを作りながら設計しますし、モノを作るときもある程度ビジュアルを決めてから作り始めると思います。
想像してみてください。
初めて作る外国料理の、写真がない文字だけのレシピを渡されて、これを作ってほしいと頼まれたら、どう思いますか?
私は不安しか覚えません。
調理の途中も、「これで合ってるのか?ほんとに?」とまな板の上に置かれた食材達を見つめながら、そして、フライパンで焼かれている正解が分からない「何か」を見ながら思う事でしょう。
では、写真があったらどうでしょう。
少なくとも、これがどういう見た目で、焼くのか煮るのか、調理法も少しイメージが湧きます。
なるほど切り方もこんな感じねと、頭の中に正解のイメージ像が湧きます。
これならやれそうかもと思いませんか?
調理中も写真と違うか?いや一緒か?と軌道修正しながら調理ができるでしょう。
1人でもこんな感じでゴールイメージがないと不安なのです。
システム開発のような、人も多く複雑な工程がある作業であれば、なおさら不安は増しますし、その果てには混乱とイメージをすり合わせる為の膨大な時間がかかることでしょう。
ですから、ゴールイメージをまず決める。
正しい将来の姿を早めに定めて皆がそれを理解するという事が、システム開発プロジェクトを成功させる為の重要な要因だと考えています。
最後に
ここまで書きましたが、これはデザイン先行開発をしてきて考察したほんの一部です。
デザイン先行開発は他にもメリットがあり、そしてデメリットもあります。詳しいことが知りたい方はぜひコメントなどで連絡ください。
ありがとうございました。