皆さんこんにちは。withでiOSアプリの開発を行っている長尾( @zrn-ns )です。
先日、Appleから↓のニュースが配信されました。
この記事で述べられているのは、下記のような内容になります。
- AppやApp内課金(買い切り商品)で使えるプライスポイントが約10倍に増えるよ
- (これまで米国基準となっていた価格帯の概念がなくなり、)任意の国/地域の通貨を基準として設定し、他の国の価格はそれにしたがって平準化された価格を提示できるようになるよ
- 各App内課金を、国や地域ごとに配信するか/しないかを設定できるようになったよ
今回のメイントピックは2つ目の価格平準化システムについてです。
価格平準化について、私たちデベロッパーが気にすべきことと、実際に行うべき対応について、ざっくりまとめます。
AppStoreの価格平準化とは
地域ごとの価格差が大きくなりすぎることがないよう、各種価格を自動的に価格を調整してくれるAppStore Connectの機能のことです。
これまでもAppStoreConnectでは価格の自動調整機能は提供されていました。これは米国ドル基準のTier(価格帯)に基づき、各商品の価格を Tier1(0.99ドル)
のように定めるものです。各Tierには各国の通貨ごとの金額が定められており、この金額は為替などの変化に応じてAppleにより調整が行われていました。
このTierには、「米国ドル」が基準なので、各国の通貨に変換したときに不自然な価格に見えることや、AppleによるTier価格の見直しのタイミングで、課金価格が変化してしまうなどの問題がありました。
これらの問題を解消するため価格平準化が導入されたものと思われます。価格平準化においては、ベースの地域(通貨)を定めることができ、ベース地域以外の価格については自動で調整を行う事ができるようになります。
日本をメインのターゲットにしているアプリであれば、日本をベース地域に設定することで、日本円価格が定期的に変化してしまうような自称を防ぐ事ができるということですね。
価格平準化対応をしないとどうなるのか
価格平準化の初回実行は2023/5/9となっており、これまでに開発者側は必要に応じて対応を行う必要があります。
では対応を行わない場合、なにが起こるのでしょうか。
結論としては、 米国がベース地域となり、アプリ価格やアプリ内課金の日本価格が定期的に変動するようになります。
個人の開発者の方であれば困らないかもしれませんが、大規模なアプリを運用している会社では、アプリやアプリ内課金の価格が定期的に変動してしまうのは困りますよね。
開発者が必要な対応
対応方法については、↓に公式のガイダンスがあります。
基本的には、日本の開発者であれば、日本円をベース通貨に設定し、日本円価格をベースに他国価格が自動更新されるように設定するのが良いと思います。
その場合、基本的に設定は非常に単純で 「アプリ本体価格のベース地域と価格を設定する」だけで済みます。
アプリ本体価格のベース地域を設定することで、、アプリ本体価格の全てのアプリ内課金のベース地域も更新されます。
アプリ本体価格を設定するときにアプリ本体価格の変更を行った場合、アプリ本体価格については即時反映されますが、各アプリ内課金については、5/9の初回の平準化まで更新は行われません。
具体的な手順については、上記ページの「App における基準国または基準地域の編集」セクションが詳しいので、そちらを御覧ください。
その他
今回、価格平準化システムの対象となるのは、アプリの本体価格と、買い切りのアプリ内課金商品だけとなっております。
自動更新サブスクリプションは平準化の対象ではないので、その点はご注意(ご安心?)ください。
- アプリ本体: 対象
- 買い切りの商品: 対象
- 非更新サブスクリプション: 対象
- 自動更新更新サブスクリプション: 対象でない
参考情報
https://developer.apple.com/jp/news/?id=dbrszv62
https://developer.apple.com/jp/help/app-store-connect/manage-app-pricing/set-a-price