Jetpack Composeのバージョン確認とcompose-bomとは

はじめに

Jetpack Composeを使用しているプロジェクトで、依存関係のバージョンを確認しようとしたことはありませんか？例えば、androidx.compose.uiやandroidx.compose.materialのバージョンを確認しようとした際に、明示的なバージョン指定が見当たらず困惑することがありませんか？

Jetpack Composeのバージョンを確認しようとしたら…

1. libs.versions.tomlを確認

Jetpack Composeのバージョンを確認するために、libs.versions.tomlファイルを開いて依存関係を確認しました。

[libraries]
androidx-ui = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui" }
androidx-ui-graphics = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-graphics" }
androidx-ui-tooling = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-tooling" }
androidx-ui-tooling-preview = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-tooling-preview" }
androidx-ui-test-manifest = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-test-manifest" }
androidx-ui-test-junit4 = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-test-junit4" }
androidx-material3 = { group = "androidx.compose.material3", name = "material3" }

しかし、ここにはバージョン番号が記載されていません。通常であれば、version.ref = "compose"のようなバージョン番号が指定されているはずですが、見当たりません。

2. プロジェクト全体を調査

次に、プロジェクト全体を調査して、どこかでバージョンが指定されていないか探しました。その結果、以下のような記述を発見しました。

dependencies {
    implementation(platform(libs.androidx.compose.bom))
    implementation(libs.androidx.ui)
    implementation(libs.androidx.ui.graphics)
    implementation(libs.androidx.ui.tooling.preview)
    implementation(libs.androidx.material3)
}

ここで、platform(libs.androidx.compose.bom)という記述がありました。この記述が、Jetpack Composeのバージョンを一括管理している compose-bom です。

compose-bomとは？

compose-bomは、Jetpack Compose関連の依存関係のバージョンを一括で管理するための BOM（Bill of Materials） です。BOMを使用すると、複数の依存関係に対して個別にバージョンを指定する必要がなくなり、すべての依存関係が同じバージョンで統一されます。

compose-bomの仕組み

compose-bomを使用すると、以下のように依存関係のバージョンを明示的に指定しなくても、BOMで指定されたバージョンが適用されます。

[versions]
composeBom = "2025.04.01"
[libraries]
androidx-compose-bom = { group = "androidx.compose", name = "compose-bom", version.ref = "composeBom" } // BOMを追加
androidx-ui = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui" } // バージョンはBOMで管理
androidx-ui-graphics = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-graphics" } // バージョンはBOMで管理
androidx-ui-tooling = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-tooling" } // バージョンはBOMで管理
androidx-ui-tooling-preview = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-tooling-preview" } // バージョンはBOMで管理
androidx-ui-test-manifest = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-test-manifest" } // バージョンはBOMで管理
androidx-ui-test-junit4 = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui-test-junit4" } // バージョンはBOMで管理
androidx-material3 = { group = "androidx.compose.material3", name = "material3" } // バージョンはBOMで管理

この場合、compose-bomのversion.ref = "composeBom"がすべてのCompose関連ライブラリに適用されます。

compose-bomを使用するメリット

1. バージョンの一括管理

   • BOMを使用すると、Jetpack Compose関連の依存関係のバージョンを一括で管理できます。これにより、複数の依存関係を追加する際にバージョンを個別に指定する必要がなくなります。

2. 一貫性の確保

   • BOMを使用すると、すべてのCompose関連ライブラリが同じバージョンで統一されるため、互換性の問題を防げます。

3. メンテナンス性の向上

   • バージョンを更新する際に、BOMのバージョンを変更するだけで済むため、メンテナンスが簡単になります。

BOMのバージョンを確認する方法

Jetpack Composeの最新のBOMバージョンを確認するには、以下の公式リソースを利用できます。

• Composeのバージョン
• BOM とライブラリ バージョンのマッピング
• Maven Repository -Compose BOM

注意点

1. BOMを使用しない場合のリスク
   • BOMを使用しない場合、依存関係のバージョンが異なることで互換性の問題が発生する可能性があります。

問題例

[versions]
compose = "1.5.0"
material3 = "1.4.0"
[libraries]
androidx-ui = { group = "androidx.compose.ui", name = "ui", version.ref = "compose" }
androidx-material3 = { group = "androidx.compose.material3", name = "material3",version.ref = "material3"  } // バージョンが異なる

このように異なるバージョンを指定すると、ランタイムエラーやビルドエラーが発生する可能性があります。
各librariesで最新のバージョン等も異なります。

まとめ

• compose-bomとは:
  • Jetpack Compose関連の依存関係のバージョンを一括で管理するためのBOM（Bill of Materials）。
• メリット:
  • バージョンの一括管理、一貫性の確保、メンテナンス性の向上。
• 注意点:
  • BOMを使用しない場合、バージョンの不一致による問題が発生する可能性がある。

公式ページ