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エンジニアが新規事業に関わる時に覚えておくこと

Last updated at Posted at 2022-12-24

この記事はセーフィー株式会社 Advent Calendar 2022の25日目の記事です!

🎄メリー・クリスマス🥳

セーフィー株式会社で新規事業開発を担当している下崎です。
共同創業者として、また一人のエンジニアとしてクラウドカメラサービスの立ち上げと運営に携わって来ましたが、映像の可能性をもう少し深掘りしてみるために、既存事業の枠組みに縛られない新規事業開発部門を立ち上げて1年が経ちました。
それではここで新事業ネタを大公開!、とできるといいのですが、後で色々と怒られそうなので、これから企業内の新規事業やスタートアップの立ち上げに携わる(かもしれない)エンジニアの皆さんに覚えておいて欲しい事を書こうと思います。

新規事業はみんなが反対するものほど成功する

みんなが反対するものを敢えてやる、というのは天邪鬼な逆張りに聞こえるかもしれませんが、決してそういうことではありません。それは、新規事業で実現するべきイノベーティブなアイデアはまだ誰も取り組んでいないもののはずで、逆に誰もが賛同するようなものは大抵すでに実現されているからです。当たり前のようで、納得するのは難しいですよね。
いくら提供価値が高くても既に実現されているものであれば、新規性には乏しく、そもそも競合がこぞって参入してくる可能性が高い真っ赤っ赤な領域です。逆にまだ誰もやっていないということは、その価値に誰も気がついていないか、もしくは提供が困難だということなので、適切なマーケットや提供手段を見つけることができれば新規ビジネスとして成立するチャンスがあります。
その代わりに不確実性が高いところからのスタートです。

ちなみに、セーフィー創業前にクラウドカメラのアイデアを周囲に話した時の反応は散々でした:

エンジニアの友人
そんなもの誰でも作れるでしょ
投資家
それどれだけ売れるの?小さな話だね
元コンサルの知人
株をくれるならアドバイザーやってあげてもいいよ
へー。私は撮らないでね

もし偉い人にボコられている新規事業担当者を見かけたら、温かく励ましてあげましょう。「自分は成功する事が分かっていた」と後々ドヤ顔で語れるかもしれません。

不確実性の高いものを証明することはできない

とは言え、荒唐無稽な思いつきが何でも成功する可能性がある訳では無いので、Go/NoGoの判断をしなければなりません。そのために、ビジネスプランが正しいことを論理的に証明したくなりますが、解決しようとしている課題や提供したい価値がまだ十分に理解できていないことがほとんどです。この時点のビジネスプランは所詮まだ不確実性の高い仮説にすぎないのです。
なのでまずは一歩下がって、そもそも実現可能なのか、実現可能なのであれば仮説をどうやったら証明することができるのか?を考えてみます。

例えば、セーフィーが提供する様々なサービスの一つで、今ではLTEカメラとして幅広く使われているSafie GO(セーフィーゴー)ですが、その原型はとあるユーザーが自分でセーフィーのカメラとLTEルーターを箱に詰め込んだものでした。
それを拝借して、見せて歩き、意見を聞いているうちに、まずは事故や災害など何かがあった機会に声がかかるようになり、使ってもらっているうちに常設したいという要望がだんだん増えて来ました。
製品開発前ですが売れそうなものは分かってきました。

誰かが自分の素晴らしいアイデアに舞い上がって、何か作ってくれと言ってきたら、「仮説はどれくらい証明できているの?」と突き放してやりましょう。

解像度をあげよう

ヒアリングや調査を重ね、説得性のある仮説を構築することができたら、より解像度を高め、最後の証明「それはユーザーがお金を払ってでも欲しいと思うのか?」を行う時です。MVPを作って売りに行きましょう。
ITサービスにおいて(実際のところ、もはやITを活用しない新サービスは世の中にほとんど無いですが)価値を形にすることはエンジニアでなければできないことなので、あなたの腕の見せ所です!
もっとも、ユーザーに実際に使ってもらうと、想定外のことが往々にして発生します。しかし、プロダクトに関して例えネガティブなものであっても真剣なフィードバックを得ることができたら、それを改善のチャンスと捉えましょう。例え困難な課題であっても、何をしたらいいのか分からないよりはずっと良いと思います。そして、前に進むべき方向をしっかりと見据えていると想定外のチャンスが舞い込むこともあるものです。

最初のSafie GO(というかまだこの名前で呼ばれてすらなかったですが)は、ほとんど手作りでした。そのため、まだまだ不具合や課題も多く、お客様にご迷惑をおかけしたこともありました。ただ想定と異なりほとんどの障害はHW的なものではなく、SWや運用に起因するものでした。地道に改善を積み重ねつつ、自ら製造も行う日々でしたが、そんな時にちょっとしたきっかけでSafie GOのLTEルーター部分を開発製造してくれるパートナーさんと出会い、正式な商品として提供することができました。

ユーザーのために困難で解決法の分からない課題にむしろやる気が起きるのであれば、あなたは新規事業の立ち上げに向いています。そうでなければ、別の仕事を探しましょう。

スケールより、小さな本当の成功を

サービスがだんだん多くの人に利用されるようになると、課題が山積みになり、優先度をつける必要が出てきます。もしまだPMF(Product/Market Fit)を達成していないと思うのであれば、むやみと規模拡大をはかるのではなく、少ないユーザーであってもより必要とされているもの、そしてより継続的な収益につながるもの(=お金を払ってくれるもの)を優先しましょう。
ここら辺はスタートアップや新規事業というものは爆発的な成長を目指すものだ、というイメージとはズレているかもしれません。ただ、「プロダクトが使えなくなったらとても残念だと思うユーザーが40%以上いる」というPMF達成の基準を知っていると腑に落ちると思います(Dropbox創業期のマーケターでグロースハックという言葉の生みの親であるSean Ellisさんが提唱した基準で、Product/Market Fit Surveyで使われています)。つまり、どんなにユーザー数が増えたとしても、本当にそのサービスを必要としてくれる人の数が増えなければPMFを達成したとは言えないのです。

さらに、この基準を満たすためには、ただ単に現ユーザーの欲しいものを作るだけではなく、最適なマーケットを探索することも必要です。探索の過程ではこれまでにやってきたことが無駄になったように感じることがあるかもしれませんが、それは次へ進むためには必要なことだったとポジティブに考えましょう。

Safie GOというプロダクトが形になったばかりの時には、まだマーケットが十分に見えている訳ではありませんでした。本当にビジネスとしての手応えを感じることができたのは、建設現場向けレンタルという提供の仕組みと商流が整ってからです。
それまで無かったレンタルの仕組みを実現するためには、システム開発はもちろんのこと、オペレーションや営業体制など想定以上に多くのもの新しく構築する必要がありました。
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開発とビジネスの2人3脚で進んでいることを忘れずに。一人で走っているよりも遅いのは当たり前です。でも、倒れそうな時に支えてくれるのは隣の仲間です。

来年は0→1をやってみよう

よく言われているように、PMFを達成するとよく分からないのだけどやる事がいっぱいになります。その代わり手応えも感じるはずです。このステージまでいったら一安心です。ここで満足する事なく更なる成長を目指しましょう!

創業から8年余り、セーフィーのカメラを街中でちょいちょい見かける機会が多くなって来ると共に、社員数も350人近くになって来ました。
「映像から未来をつくる」というビジョンの実現に向けて、バシバシとプロダクト開発を続けている訳ですが、これまでの成功の上にあぐらをかく事なく、2023年には初心に返って0→1の挑戦をやってみるつもりです。

新しいものへの挑戦は辛いこともあるし、思った通りにいかずに失敗することだって多いです。それを何とか乗り越え、ついでに挑戦を楽しむことができるのは、お互いに支えることができる仲間がいてこそ。
役割やスキルを補完し合うだけではなく、信頼できる仲間がいるからこそ、より大きく成長することができると信じています。

新しい挑戦と信頼できる仲間を探している方は是非お声がけください!

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