はじめに

Swiftのクロージャがキャプチャする仕組みと、weak を使うべきケースと使わなくてよいケースについて書きます。

クロージャのキャプチャとは？

クロージャは定義されたときに、スコープ内の変数やオブジェクトを 保持（キャプチャ） します。

値型（`struct` や `let`）のキャプチャ

struct Person {
    let name: String
}

let person = Person(name: "Alice")

let closure = {
    print(person.name) // キャプチャされる
}

closure() // "Alice"

✅ ポイント:

struct や let の変数は、値のコピーとしてキャプチャされる
closure の中で person を変更することはできない

参照型（`class`）のキャプチャ

class Person {
    var name: String
    init(name: String) { self.name = name }
}

var person = Person(name: "Alice")

let closure = {
    print(person.name) // キャプチャされる
}

closure() // "Alice"

✅ ポイント:

class のインスタンスは 参照としてキャプチャ される
closure の外で person.name を変更すると、closure 内の person にも影響する

強参照サイクル（メモリリーク）のリスク

クロージャが self をキャプチャすると、強参照サイクルが発生し、メモリリークの原因になることがあります。

問題となるコード

class ViewController {
    var title = "Hello"

    func setupClosure() {
        let closure = {
            print(self.title) // self をキャプチャ
        }
        closure()
    }
}

✅ 問題点:

closure は self.title を参照するため、self をキャプチャする
self が解放されない可能性がある

解決策: `[weak self]` を使う

class ViewController {
    var title = "Hello"

    func setupClosure() {
        let closure = { [weak self] in
            print(self?.title ?? "No title") // self を弱参照
        }
        closure()
    }
}

✅ [weak self] の効果:

self を 弱参照 することで、メモリリークを防ぐ
self が nil になる可能性があるので、self? で安全にアクセス

3. `weak` を使うべきケースと使わなくてよいケース

キャプチャが発生する場合	キャプチャしない場合
クロージャの中で `self` にアクセスしている	`self` を使っていない
クロージャの中でクラスのプロパティを参照している	クロージャ内で独立した変数だけを使っている
クロージャが `self` を長期間保持する	クロージャが一時的に実行される

✅ `weak` を使うべきケース

1. クラスのプロパティとしてクロージャを保持する場合

class ViewController {
    var closure: (() -> Void)?
    
    func setupClosure() {
        closure = { [weak self] in
            print(self?.title ?? "No title")
        }
    }
}

✅ 理由:

closure が self をキャプチャすると、self が解放されない

2. 非同期処理の中で `self` を参照する場合

class ViewController {
    func fetchData() {
        DispatchQueue.global().async { [weak self] in
            self?.updateUI()
        }
    }
}

✅ 理由:

ネットワーク通信などで self をキャプチャすると、完了するまで self が解放されない可能性がある

❌ `weak` を使わなくてよいケース

1. クロージャが即時実行される場合

func doSomething() {
    let closure = {
        print("Hello") // self をキャプチャしない
    }
    closure()
}

✅ 理由:

closure は self に依存しておらず、すぐに実行されるので問題なし

2. クロージャのスコープ内で完結する場合

func performAction() {
    let localVar = "Swift"
    let closure = {
        print(localVar) // キャプチャするが問題ない
    }
    closure()
}

✅ 理由:

localVar は Strin なので、値コピーされるためメモリリークの心配なし

まとめ

✅ クロージャがキャプチャするのは、外部の変数や self にアクセスする場合
✅ class のインスタンスをキャプチャすると、強参照サイクルが発生する可能性がある
✅ [weak self] を使うことで、メモリリークを防ぐ
✅ 即時実行や値コピーの場合は weak は不要

クロージャのキャプチャを正しく理解し、適切に weak を使うことで、メモリ管理のバグを防ぐことができます！