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Production Ready GraphQLまとめ

Last updated at Posted at 2022-07-13

Production Ready GraphQLという洋書の4章の「GraphQL Schema Design」を自分なりにまとめたもの。

Design First

  • お気に入りのライブラリでいきなり実装を始めるのではなく、設計から始める
  • 実装から始めると、実装の詳細と密結合した設計になりがち
  • 担当ドメインの専門家の話を聞きながら、APIを設計できるのがベスト
  • 設計から始めることで破壊的な変更の頻度を減らせる

Client First

  • 設計をする際は、Clientのユースケースを念頭に置く
  • Clientのニーズの要求を満たし、簡単にAPIを使えるようにし、間違った使い方はなるべくできないようにする
  • 開発のなるべく早い段階からClientと結合して、フィードバックをもらうこと
  • バックエンドの実装の詳細などのClientが知る必要のない情報は公開しない
  • データベースからGraphQL APIを生成するツールはたくさんあるが、Client Firstの観点からはあまり意味はない
    • 生成されたスキームは、バックエンドの実装と密に結合している
    • 一般的すぎるAPIが生成されがち
    • Clientの要望を全く意識していない
    • 不要な情報を公開しすぎる
  • Open APIをGraphQLスキームに変換するツールも良くはない

Naming

  • 良い命名をしていると、ドキュメントを見なくても動作が分かる
  • 良い命名は正しい設計につながる
  • 一貫性が一番大切
    • 悪い例:Queryに動詞が付いていたりいなかったりする
      • products
      • findProducts
    • 悪い例:表記ゆれ
      • BlogPost
      • Post
    • 悪い例:Mutationの動詞の揺れ1
      • addProduct
      • createPost
  • APIに対称性をもたせる
    • publishPostときたら、反対の操作はunpublishPostとする
  • 命名は具体的にする
    • 具体的な命名は、大規模なAPI廃止を避けられるし、使い方も理解しやすい
    • 一般的すぎる命名の例:"Event"、"User"

Descriptions

  • APIの使い手にとって、Descriptionは外部のドキュメントより見つけやすくて良い
  • ほとんどのエンティティにDescriptionを書くと良い
  • 良いDescriptionは、typeが何を表現するか、mutationは何をするかを明瞭にする
  • とはいえ、Descriptionをあまり読まなくても、APIを理解して使えるようにすべき
  • Descriptionに、エッジケースや独特な振る舞いをする条件が記述されていると良くない兆候2

Use the Schema, Luke!

  • enumを使う
  • stringやcustom encoding scalarにJSON文字列のような半構造化データを持たせるのではなく、typeを定義する
  • custom scalarは役に立つかも (DDDの値型のような立ち位置)

Expressive Schema

  • フィールドは一つの仕事をこなすようにし、一般的だったり利口すぎるフィールドは避ける3
  • なるべくスキーマで正しい使い方を強制する
  • 関連したフィールドや引数の集まりを表現するために、型を定義する
  • optional inputsや引数を使うときは、デフォルト値を定義する

以下、具体例。

  • 例1
    • いまいち
      • findProduct(id: ID, name: String): Product
      • IDとnameを両方とも指定していないときの動作が読み取れない
    • 良い
      • productByID(id: ID!): Product
      • productByName(name: String!): Product
  • 例2
    • いまいち
      • products(sort: SortOrder): [Product!]!
      • SortOrderを指定しないときの並びが読み取れない
    • 良い
      • products(sort: SortOrder = DESC): [Product!]!

Specific or Generic

  • おおむね特化したAPIの方が良い
    • いまいち
      • posts(first: Int!, includeArchived: Boolean): [Post!]!
    • 良い
      • posts(first: Int!): [Post!]!
      • archivedPosts(first: Int!): [Post!]!
  • booleanの引数は、汎化されすぎている兆候かもしれない
  • 汎化したAPIは便利なこともあるが、使い方が分かりづらい、性能に難がある、といった問題もある4

Anemic GraphQL

  • 他のフィールドから計算される値はフィールドとして定義する
    • Clientに計算させるのではなくServerで計算させるということ
    • ルールが変わるとClientを修正しないといけないから
  • Mutationで万能Update API + XXXInputを定義するのではなく、ユースケース別にAPIやInputを定義する
    • optionalなフィールドがなくなる
    • APIの動作が分かりやすくなる
    • Inputに不正な値の組み合わせを設定できなくなる

List&Pagination

Pagination

Offset Paginationをサポートする必要がないなら、Cursor Paginationが良い。

  • Offset Pagination
    • Good: 実装が楽、ユーザがページの飛ばし読みができる
    • Bad: 走査するデータ数が増えるので性能に難あり、リストの閲覧中に項目数が変わると整合性が取れなくなる
  • Cursor Pagination
    • Offset Paginationと特徴の裏返し
    • ほとんどのGraphQL APIはこちらの方式

Relay Connection

以下のようなスキーマ設計のこと。

type Query {
  products(limit: Int!, after: String): ProductConnection!
}

type ProductConnection {
  edges: [ProductEdge]
  pageInfo: PageInfo!
  """
  これ以外のフィールドを持たせるのもあり。
  たとえば、node一覧へのショートカット。
  nodes: [Product!]!
  """
}

type ProductEdge {
  cursor: String!
  node: Product!
}

type PageInfo {
  endCursor: String
}

"""リスト対象"""
type Product {
  name: String!
}

EdgeやConnectionに情報を足せるので、色々なユースケースにも対応しやすい。

Sharing Types

  • 型を使い回すことに自信がないなら、使い回さない方が良い
  • 型の使い回しは便利なときもあるが、後々、問題を起こすこともある

Global Identification

  • 慣例
    • Node interfaceを作り、それを実装する型にはグローバルに一意なIDを設定する
    • node(id: ID!) Nodenodes(ids: [ID!]!) [Node!]!で取得できるようにする
    • IDには、型を判別するための情報も含める
  • API ClientとしてRelayをサポートしないなら慣例に従うのは必須ではないが、Relayを使わなくても良い設計パターンになりえる
  • IDはOpaque にした方が良い5
    • API ResponseのIDをBase64でエンコードにしておくと、使い手にOpaqueな値ということを思い出させるのに良い

Nullability

  • non-nullのメリット
    • Schemaから読み取れる情報が多くなる
    • API Client側の過度な防御コードを減らせる
  • 注意
    • non-nullからnullableの変更は破壊的変更
    • どのフィールドがnullになるのか否かの予測は難しい
      • タイムアウト、API Rate Limit起因でフィールドがnullになることも
    • nullableな値をnullで返したときの挙動が独特
      • ルールに違反したフィールドの先祖をさかのぼって、最初に見つけたnullableなフィールドの値がnullになる
  • ガイドライン
    • 引数
      • non-nullにすると良いことが多い
      • 既存のQuery/Mutationに引数を追加するときは互換性を保つためにnullableにするのが良い
    • Objectフィールド
      • Database、networks callのように失敗する可能性があるものから取得しているなら、nullableにした方が良い
    • 単純なスカラ値のフィールド
      • 大体、non-nullで大丈夫

Abstract Types

  • interfaceは共通の振る舞いを表現するのに使うこと
    • 例: GitHubのGraphQL APIのStarable
  • interfaceの濫用はしないこと
    • 単に共通のフィールドを持っているからという理由で、interfaceを定義するのはいまいち
    • 実装時にコードを再利用したいからといってinterfaceを定義するのはいまいち

Designing for Static Queries

  • GraphQLのQueryは動的に組み立てるのではなく、静的に記述するのが良い(Queryに渡す引数を変えるのはありらしい)
  • 静的Queryの利点
    • Clientが必要としていることが分かりやすい
    • Lint、IDEなどのツールの恩恵を受けられる
    • サーバがQueryを保存できる
  • IDのリストからオブジェクトを一括取得するときに動的Queryを使いたくなるかもしれないが、それはBatch Read用のQueryを用意することで避けられる

Mutations

  • mutationごとに固有のPayload型を定義し、それを戻り値にする
    • 付随的な情報を返せるのがメリット
  • mutationごとに固有のInputを1つ定義し、それを引数にする
    • mutation時に渡すパラメータを増やしやすい

以下、具体的イメージ。

input PostMessageInput {
  roomID: String!
  text: String!
}

type PostMessagePayload {
  message: Message
  errors: [UserError!]!
}

type Mutation {
  postMessage(input: PostMessageInput!): PostMessagePayload
}

Fine-Grained or Coarse-Grained(粒度)

  • mutationについて、どれくらいの粒度が良いかは状況次第
  • 作成mutationの粒度は荒く、更新mutationの粒度は細かい方が良いことが多い
  • 複数のデータの更新が必要 かつ 整合性が求められる場合は、1つの粒度の粗い更新mutationを作る
    • 別解として、1つのmutationのInputのフィールドに、実行したい操作のリストを持たせるやり方もある

Errors

  • Developer/Clientエラーは、GraphQLの標準のerrorsで表現すると良い
    • Timeout、Rate Limitedなど
  • Userエラーは、独自の表現が良い
    • サインアップ画面のパスワードの文字種が間違っている、2重支払いをしたなど
  • mutationのErrorを独自に表現する方法には2つある
    1. カスタムエラー型を定義し、Payload型のフィールドにその配列を持たせる
    2. mutationの結果となるPayload型をunionとして定義する
      union SignUpPayload = SignUpSuccess | UserNameTaken | PasswordTooWeak
      
      どういうエラーが起きるか分かりやすい
  • エラー型を定義するときは、interfaceを定義しそれを実装する形にすると良い
    • エラー型を追加したとき、古いAPI Clientでもハンドリングできる
  • 上記2つのエラーの定義方法のどちらを選択するかは好み

Schema Organization

  • Namespaces
    • 適切な名付けをしていればnamespaceは大体いらない
    • namespaceのようなものが欲しいのであれば、Prefixを付ける
      • 例:Instagram_User、Fracebook_User
    • GraphQLスキーマとサーバ側の実装は別物
      • サーバ側の実装としては、namespace、モジュール、共通関数を使うことは当然あり
  • Mutations
    • グループを表す言葉を先頭にするのではなく、読みやすい命名にする
      • いまいち:productCreate、productDelete
      • Good:createProduct、deleteProduct
    • directiveの"tags"のようなものを作り、それでmutationのgroupを表現する考えもある

Asynchronous Behavior

Data-Driven Schema vs Use-Case-Driven Schema

  • Use-Case-Driven Schemaの方が良い
  • GitHubのGraphQL APIのスキーマは、Use-Case-Drivenの良い例
  1. 動詞の揺れは悪くないと思っている。一貫性をもたせようとすると新規登録は全部createになりそうだが、createは一般的すぎる。チャットのAPIを作るとして、チャットルームを作るAPIはCreateChatで、メッセージ投稿APIはPostMessageというような命名の方が分かりやすい。メッセージ投稿をCreateMessageにすると、メッセージ送信なのかメッセージの下書きを作るのか分かりづらい。

  2. "Aの場合はαという動作になる、Bの場合はβという動作になる、Cの場合はγになる、・・・"というようにエッジケースがつらつら書かれている場合の話だと思う。一覧取得APIがあって、limitで"巨大な値を設定しても1000に設定する"というようなDescriptionなら有りだと思う。

  3. フィールドを安直にnullableにしてしまうと、一般的でお利口なスキーマになりがちな印象。本で示されている悪い例はnullableなスカラー型のフィールドが多かった。

  4. APIの使い手が多いときは汎化もありだと思う。

  5. IDの値の形式をAPI Clientから意識させないようにするということ。

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