概要
Cloud Native Computing Foundation (https://www.cncf.io/, 以下CNCF)の発表や主要プロジェクト (Graduated)の新着情報、ブログなどを整理していたので公開します。
CNCF
アナウンス
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Cloud Native Computing Foundation Announces CoreDNS Graduation 2019年1月24日(木)
- CoreDNS の卒業(Graduation)を CNCF が発表。2019 年に始めて卒業となったプロジェクトです。卒業とはプロジェクトからの離脱ではなく、プロジェクトにおける技術やコミュニティの成熟度が、誰もが利用可能となるレベルに到達したのを示すものです。CoreDNS は素早く、柔軟な、最新の DNS サーバであり、クラウド・ネイティブにおけるサービス・ディスカバリも提供します。
- CoreDNS は Kubernetes v1.13 から、デプロイメントにおけるデフォルトの DNS になりました。
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Cloud Native Computing Foundation Welcomes Inspur as Gold Member 2019年1月31日
- CNCF はサーバ・ベンダの Inspur がゴールド・メンバーになったと発表しました。
CNCF Blog
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Monitoring Kubernetes, part 1: the challenges + data sources 2019年1月9日(水)
- Sensu CTO の Sean Porter 氏による、Kubernetes 監視ポイント解説。パート1は元データとして、Kubelet やノードなど、何を監視すべきかの解説。
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9 Kubernetes Security Best Practices Everyone Must Follow 2019年1月14日(木)
- 誰もが従うべき9つの Kubernetes セキュリティ・ベスト・プラクティスの解説記事です。最新バージョンへのアップグレード、ロールベース・アクセス制御(RBAC)、セキュリティの境界線を確立するために名前空間を使う、重要なワークロードの分離、クラウド・メタデータへのアクセスを安全に、クラスタのネットワーク・ポリシーの作成と定義、ポッド・セキュリティ・ポリシーを適用してクラスタを稼働、ノード・セキュリティを強固に、監査ログを有効化、が上げられています。
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Enterprise Leaders’ Protips for Scavenger Hunting Through the Cloud Native Tool Weeds 2019年1月15日(金)
- シアトルで開催された Kubecon _ CloudNativeCon North America 2018 では、エンタープライズでも Cloud Native を採用できるのかをテーマにしたディスカッションがありました。各社の考えるクラウド・ネイティブについてや、導入事例、実用面での課題が議論されました。
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New Year, New TOC 🌟 2019年1月29日(火)
- CNCF TOC(技術評価委員会) は CNCF の技術ビジョンに対する定義と維持を担っています。 メンバーからの推薦のあと、運営委員会によって6人が選出されました。任期は2年です。
- TOC とは、CNCF運営委員会によって、新しいプロジェクトの承認や、調整、廃止といった権限を与えられています。また、エンドユーザ委員会からはフィードバックを取り入れ、プロジェクトに反映します。たとえば、コンポーネント間のインターフェースを調整し(標準化されていなければ、コード参照の実装)、CNCF プロジェクトを横断する共通実装の定義など、コミュニティ内の中立的な合意を得るために不可欠です。
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Diversity Scholarship Series: Bringing along Kubernetes experience from Shanghai to Nepal 2019年1月30日(水)
- 多様性奨学金シリーズ:上海からネパールへ Kubernetes 経験をもたらす
KubeCon + CloudNativeCon China 2018 で、開発者と学生に対する多様性奨学金を提供しました。ネパールの企業支援計画(ERP)協会の Raksha Roy さんによる、セッションやコミュニティ参加体験のレポートです。
- 多様性奨学金シリーズ:上海からネパールへ Kubernetes 経験をもたらす
Graduated Projects
Kubernetes (Orchestration)
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公式サイト https://kubernetes.io/
- Kubernetes は、コンテナ化したアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するための、オープンソースのシステムです。
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現在のバージョン v1.13.2
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APIServer dry-run and kubectl diff 2019年1月14日(月)
- Kubernetes 1.13 ではサーバ側でのドライ・ランと
kubectl diff
がベータになりました。この2つの機能は、Kubernetes に対する大きな改良となります。宣言型の設定管理は、コードとしての構成管理(configuration-as-code)とも知られている、Kubernetes の重要な強さの1つです。これは、クラスタに対して理想状態(desired state)を送ると、バージョン違いを追跡できるので、CI/CD パイプラインを通した自動化や確認が可能になります。
- Kubernetes 1.13 ではサーバ側でのドライ・ランと
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Container Storage Interface (CSI) for Kubernetes GA 2019年1月15日(火)
- Kubernetes v1.13 のリリースに伴い、Kubernetes用の コンテナ・ストレージ・インターフェース(CSI) が一般利用(GA)になりました。CSI は Kubernetes 用のボリューム・プラグイン・システムです。Kubernetes に組み込まれた状態で提供されるため、Kubernetes のリリース間隔にあわせたプラグイン開発やサポートが可能になります。
- CSI は Kubernetes v1.9 で アルファとして導入 され、v1.10 では ベータ になっていました。一般利用のマイルストーンに到達したため、今後のバージョンアップでも、機能は互換性が保たれます。
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Update on Volume Snapshot Alpha for Kubernetes 2019年1月17日(木)
- ボリューム・スナップショット(Volume snapshotting)は Kubernetes v1.12 からアルファ機能として導入。Kubernetes v1.13 でもアルファですが、いくつかの機能拡張と根本的な機能変更が加えられました。変更内容の概要を記します。
Prometheus (Monitoring)
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公式サイト https://prometheus.io/
- Prometheus はオープンソースのシステム監視およびアラートのツールキットであり、オリジナルはSoundCloud によって開発されました。
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現在のバージョン v2.7.1 (2019-01-31)
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Subquery Support 2019年1月28日(月)
- 最新の Prometheus v2.7 で導入されたサブクエリについての解説記事。
Envoy (Service Proxy)
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公式サイト https://github.com/envoyproxy/envoy/releases
- Envoy はクラウド・ネイティブなアプリケーション用に設計された、オープンソースのエッジおよびサービス・プロキシです。
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最新バージョン v1.9.0 (2018-12-21)
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1月のブログ更新は無し
CoreDNS (Service Discovery)
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公式サイト https://coredns.io/
- CoreDNS は Go 言語で書かれた DNS サーバです。柔軟性があるため、様々な環境で利用できます。
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最新バージョン v1.3.1
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CoreDNS-1.3.1 Release 2019年1月13日(日)
- CoreDNS-1.3.1 のリリース発表を嬉しく思います。今回はごく僅かの変更であり、次の (1.4.0) リリースでは後方互換に関わる変更をアナウンスします。
upstream
ディレクティブは様々なプラグインで使われていますが、以後は coredns プロセス自身が使う予定です。
- CoreDNS-1.3.1 のリリース発表を嬉しく思います。今回はごく僅かの変更であり、次の (1.4.0) リリースでは後方互換に関わる変更をアナウンスします。
Incubating Projects
OpenTracing (Distributed Tracing API)
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分散トレーシング用のベンダ中立 API の仕様と、各言語向けツール。
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プロジェクト:https://opentracing.io/
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Open for event based tracing? – OpenTracing – Medium
2019年1月11日(金)- イベントを基準にした追跡(トレーシング)ができますか?
- OpenTracing における分散追跡の基本概念は、(時間に対する)間隔です。つまり、何かが始まって終わるまでであり、キーバリューのペアで注釈を付けられ、「カジュアル」に関連付けられます。このイベント・モデルについての考え方を解説。
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OpenTracing at Scale in .NET – OpenTracing – Medium
2019年1月15日(火)- Akka.NET によって、 .NET でスケールした環境にも OpenTracing を。
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Announcing Java v0.32 Release Candidate 2 – OpenTracing – Medium 2019年1月23日(水)
- Java v0.32 リリース候補 2 の発表。Java OpenTracing バージョン v0.32 RC2 が利用可能になりました。v0.31 との変更点について。
Fluentd (Logging)
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Fluentd はオープンソースのデータ・コレクタ。
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ウェブサイト:http://fluentd.org/
現在のバージョン:v1.3.3 2019年1月7日 -
[Fluentd v1.3.3 has been released | Fluentd](https://www.fluentd.org/blog/fluentd-v1.3.3-has-been-released0 2019年1月7日(月)
- v1.3.3 のリリースでは、主にバグ修正への対応リリース。
gRPC (Remote Procedure Call)
- 高性能なオープンソースの汎用 RPC フレームワーク。
- ウェブサイト:https://grpc.io/
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grpc / The state of gRPC in the browser 2019年1月8日(火)
- ウェブ・ブラウザにおける gRPC の状況について。
containerd (Container Runtime)
- 簡単さ、堅牢性、ポータビリティを重視する、業界標準のコンテナランタイム。
- 公式サイト:https://containerd.io/
- GitHub:https://github.com/containerd/containerd
- 現在のバージョン:v1.2.2 2019年1月
- 直近では特に大きな動き無し
rkt (Container Runtime)
rkt (pronounced like a "rocket") is a CLI for running application containers on Linux. rkt is designed to be secure, composable, and standards-based.
- rkt(「ロケット」と発音)は Linux 上でアプリケーション・コンテナを実行する CLI。rkt は安全、組み立て可能、標準をベースとして設計。
- GitHub:https://github.com/rkt/rkt
- 現在のバージョン:v1.30.0 2018年4月16日
- 特に動き無し
CNI (Networking API)
Container Network Interface - networking for Linux containers
- Linux コンテナがネットワークを形成するコンテナ・ネットワーク・インターフェース、およびプラグイン。
- GitHub:https://github.com/containernetworking
- 現在のバージョン:CNI v0.7.4 2018年11月8日
- 特に動き無し
Jeager (Distributed Tracing)
Jaeger: open source, end-to-end distributed tracing
- オープンソース、端から端まで分散トレーシング。
- 公式サイト:https://www.jaegertracing.io/
- 現在のバージョン:Release 1.9.0 2019年1月21日
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Help! Something is wrong with my Jaeger installation! 2019年1月19日(土)
- 助けて! Jaeger のインストールがおかしい! Jaeger インストール時にうまくいかない場合の、確認項目の一覧。
Notary (Security)
Notary is a project that allows anyone to have trust over arbitrary collections of data
- Notary とは、誰もがデータの集まりが安心だと判断できるようにするプロジェクト。
- GitHub:https://github.com/theupdateframework/notary
- 現在のバージョン:v0.6.1 2018年4月11日
- 特に動き無し
TUF (Software Update Spec)
A framework for securing software update systems
- 安全なソフトウェア更新システム用のフレームワーク。
- 公式サイト:https://theupdateframework.github.io/
- GitHub:https://github.com/theupdateframework/specification
- 特に動き無し
Vitess (Storage)
Vitess is a database clustering system for horizontal scaling of MySQL
- Vitress は MySQL を水平スケールする、データベースのクラスタリング。
- 公式サイト:https://vitess.io/
- GitHub:https://github.com/vitessio/vitess
- 現在のバージョン:Vitress 3.0 2018年12月10日
- 特に動き無し
NATS (Messaging)
NATS Server is a simple, high performance open source messaging system for cloud native applications, IoT messaging, and microservices architectures.
- NATS サーバはシンプルで高性能なオープンソースのメッセージングシステムであり、クラウド・ネイティブ・アプリケーション、IoT メッセージング、マイクロサービス・アーキテクチャ向け。
- 公式サイト:https://nats.io/
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Guest Post: Dart Client for NATS 2019年1月4日(金)
- Dart CLI を使った NATS クライアントについて。https://github.com/munukutla/nats-dart
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A 2018 NATS.io Year in Review + A Look Forward to What’s Coming in 2019 2019年1月16日(土)
- 2018 年の年間レビューと、2019 年の展望として、マルチテナンシーやストリーム、サービスについて。
Linkerd (Service Mesh)
Ultralight service mesh for Kubernetes and beyond
- Kubernetes などに対応した超軽量サービスメッシュ
- 公式サイト:https://linkerd.io/
- 現在のバージョン:edge-19.1.4 , stable-2.1.0 2018年12月7日
- 2018年12月に Linkerd 2.1 の発表 以降、大きな動きなし
Helm (Package Management)
The package manager for Kubernetes
- Kubernetes 用パッケージ・マネージャ
- 公式サイト:https://helm.sh/
- 現在のバージョン:v2.12.3 2019年1月
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ChartMuseum Vulnerability: Authorization Bypass
2019年1月14日(月)- ChartMuseum 脆弱性:認証バイパス。ChartMuseum 0.1.0 以上 0.8.1 未満の全バージョンに脆弱性があり、その詳細について。v0.8.1 以上に更新すると解消。
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Helm Vulnerability: Client Unpacking Chart that Contains Malicious Content
2019年1月14日(月)- Helm 脆弱性:クライアントで Chart 展開時に、悪意ある内容物の混入。Helm 2.0.0 以上 2.12.2 未満の全バージョンに脆弱性。Helm 2.12.2 以上にアップデートして対処。
Rook (Storage)
File, Block, and Object Storage Services for you Cloud-Native Environments
- クラウド・ネイティブ環境用のファイル、ブロック、オブジェクト・ストレージ・サービス。Minio や CockroachDB を PersistentVolumeClaims で使ったり、Ceph、Cassandra、Nexenta EdgeFS に対応
- 公式サイト:https://rook.io/
- 現在のバージョン:v0.9.2 2019年1月
- 2018年12月に v0.9 が提供開始となり、Ceph サポートが stable v1 になった他、特に大きな動きは無し。
Harbor (Registry)
An open source trusted cloud native registry project that store, sign, and scans content
- オープンソースの信頼できるクラウド・ネイティブなレジストリ・プロジェクトであり、内容を保存・署名・スキャンする。
- 公式サイト:https://goharbor.io/
- 現在のバージョン:v1.7.2 2019年1月
- 2018年12月に v1.7 が提供開始となってからは、特に大きな動き無し。
etcd (Key/Value Store)
Distributed reliable key-value store for the most critical data of a distributed system
- 分散システムで最もクリティカルなデータ用に対する、信頼性のある分散キーバリュー・ストア。
- 公式サイト:https://github.com/etcd-io
- 現在のバージョン:v3.3.11
- 2018年12月からCNCF参画プロジェクトに。
Sandbox Projects
SPIFFE (Identity Spec)
Secure Production Identity Framework for Everyone
- みんなのための、プロダクション用の安全な識別フレームワーク
- 公式サイト:https://spiffe.io/
- 現在のバージョン:0.7.2 2019年1月
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Square & Pinterest share their SPIFFE story on Community Day
2019年1月11日(金)- Square と Pinterest は SPIFFE をどのように使っているか話しました。SPIFFE 四半期コミュニティ・デイのイベントで、導入事例のトークセッション開催。
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Recapping SPIFFE Community Day Q418 – Scytale.io
2019年1月11日(金)- SPIFFEE コミュニティ・デイ Q418 の振り返り。
SPIRE (Identity)
SPIRE, the SPIFFE Runtime Environment
- SPIRE は SPIFFE のラインタイム環境
- 公式サイト:https://spiffe.io/spire/
- 現在のバージョン:0.7.2
- SPIFFE と連動しているプロジェクトのため、単体では動き無し。
Open Policy Agent (Policy)
Policy-based control for cloud native environments
- クラウド・ネイティブ環境向けポリシーに基づく制御
- 公式サイト:https://www.openpolicyagent.org/
- 現在のバージョン:v0.10.3 2019年1月
- 2018年10月に v0.10がリリースされてい以来、特に大きな動きは無し。
CloudEvents (Serverless)
A specification for describing event data in a common way
- 共通の手法でイベント・データを記述する仕様
- 公式サイト:https://cloudevents.io/
- 現在のバージョン:v0.2 2018年12月7日
Telepresence (Tooling)
Fast, local development for Kubernetes and OpenShift microservices
- Kubernetes と OpenShift マイクロサービス向けの、素早いローカル開発(Kubernetes 用のローカルでのサービス・デバッグ用ツール)
- 公式サイト:https://www.telepresence.io/
- 現在のバージョン:0.97 2019年1月
OpenMetrics (Metrics Spec)
An effort to create an open standard for transmitting metrics at scale, with support for both text representation and Protocol Buffers.
- スケールする環境でのメトリクスを送信するための、オープンな標準を作る取り組み。テキスト表記とプロトコル・バッファの両方をサポートする。
- 公式サイト:https://openmetrics.io/
- メトリクス仕様に関する取り決めと議論のためのプロジェクト。https://github.com/OpenObservability/OpenMetrics
TiKV (Key/Value Store)
A distributed transactional key-value database
- 分散トランザクション・キーバリュー・データベース。
- 公式サイト:https://tikv.org/
- 現在のバージョン:v2.1.3 、tikv-server v3.0.0-beta がプレリリース中
- 2018年11月30日に TiKV 2.1 の GA がリリース。
Cortex (Monitoring)
A multitenant, horizontally scalable Prometheus as a Service
- マルチテナントの、水平スケールするサービスとしての Prometheus (Prometheus as a Service)
- 公式サイト:https://github.com/cortexproject/cortex
- 現在のバージョン:リリース無し、開発途上
- Grafana Cloud https://grafana.com/cloud の一部として Cortex を使用している。
Buildpacks (Packaging Spec)
Buildpacks are pluggable, modular tools that translate source code into OCI images.
- Buildpacks は、プラガブルなモジュール・ツールで、ソースコードを OCI イメージの中に変換して入れる。
- 公式サイト:https://buildpacks.io/
- 現在のバージョン:pack v0.0.9
Falco (Container Security)
Container Native Runtime Security
- コンテナ対応のランタイム・セキュリティ。
- 公式サイト:https://falco.org/
- 現在のバージョン:0.14.0
Dragonfly (image Distribution)
An Open-source P2P-based Image and File Distribution System
- オープンソースで、 P2P ベースのイメージとファイル配布システム
- 公式サイト:https://d7y.io/en-us/
- 現在のバージョン:0.2.0 2018年8月3日
Virtual Kubelet (Nodeless)
Virtual Kubelet is an open source Kubernetes kubelet implementation.
- Virtual Kubelet はオープンソースの Kubernetes kubelet 実装。
- 公式サイト:https://virtual-kubelet.io/
- 現在のバージョン:v0.8.0 2019年1月
- 公式サイトが2019年1月24日から運用開始(以前は GitHub リポジトリのみ)
以上です。3月になったら、また2月分をまとめようと思います。