イントロ
今般の合宿訓練の目標は、個人個人の能力を自ら発見すること、つまり震災で我々が活動するにあたって、どのようなチーム編成で実行するのかということも重要であるが、それ以前に自分自身の能力がどのレベルにあるのかということを認識することで、少ない人数で、効率的効果的な配置を行って任務のプランが建てられるということを前提として、その認識を、災害時にチームを編成するメンバーがその人の能力を理解するということも、災害現場において極めて重要であり、任務が能力過多になっている場合や、その人物の代役が必要になった時などに、メンバーでの合意形成が柔軟に行える強い組織となることが想定目的と言っていいだろう。
そうした訓練を行いつつも、訓練中に出る成果は、単なる練習を行ったフォトグラメトリーでは、練習という一義的な意味として残すものとなるが、今般は、練習場所を提供していただいた小学校のグランド敷を拠点として、加賀市の協力の元、地域で問題となっている防風林の松が虫による被害を受けていることについて、訓練で撮影した成果を用いて、その対策を検討することに活用していただくというミッションが与えられた。
機体
DroneBird所有のドローンで訓練に投入されたものはAereROBO Wing (VTOL)AeroSense社製(写真)
とeBeeX
とeBeeGeo(Plane)sensefly社製である。また参加者個人で所有する機体、DJI Phantom4, SONY Airpeak S1などは、訓練中の模様を撮影するなどに使用され、訓練に合わせて、小規模なミッションを設定し個人のレベルに合わせて内容を実行して、それぞれの目的と成果の達成を目指した。
一日目
VTOLを見たことのないメンバーに向けての取り扱いと注意事項及びその計画の立案を専用のソフトウェアの操作時の画面を表示しながら、機体のキャリブレーションを実際に行い、非常に繊細なセンサーの取り扱いや機体の反応、画面でのエラー表示、ユニークな右翼左翼が完全に取り付けられているかの確認方法や、上昇法のマルチコプター用のプロペラの脱着方法の難しさの説明など。実際に機体が扱える技術者メンバーとなることを目標として、初段の説明を中心に行うことから始まった。
実際の撮影は200mの幅で海岸沿いに5kmの距離が撮影することから、VTOL機ではなくeBeeXでの撮影の計画及び実行が選択された。固定翼は日本の地形では、都市部での運用が難しい機体ではあるが、1度飛び立てば90分近いフライトが可能であるという特性から、DroneBirdの活動において、主力的に使用している機体であるとともに、普段からマルチコプターを運用するメンバーから固定翼機が実際に運得ようすることを目の当たりにすることで、自身が監視員となってもの、オペレーターがどのような操作を行っているのか知っていることも、監視員の作業中に一般人からの質問がなされた場合に、丁寧でより詳しい説明をすることも、災害現場で被災者に安心を与えられることに繋がるといったことが期待されている。また、片道5kmのフライトを20往復程度行うことにより、オペレーターから目視外になる条件が10%程度見込まれる計画として、目視外飛行になる場合の電波塔の建て方と注意点や、電波範囲内になった場合のオペレーションやセッティングの注意点、天候風向きとフライト方向と計画、ランディング方法とランディングの角度設定と注意点などの説明がなされ、テイクオフは、飛行させて経験のないメンバーが熟練したメンバーからの指導を受けて、フライトを行った。
懇親会
各自取得した写真を合宿の夜にBBQを囲みなら、画像の確認を行うとともに、合宿で参加できなかったメンバーをオンラインのZoom会議を設置して、意見交換を行うとともに、合宿で使用している環境や機材の紹介や参加しているメンバー紹介、課題についてのディスカッションを行った。
二日目
加賀市の公民館で会議室が提供され、撮影した写真のオルソ化工程の説明や、ドローン操縦者として知っておかなければならないGNSSの仕組みや作成されたオルソ画像をOpen Airial Mapにアップロードする手順及び注意事項などが説明された。
最初に想定されたミッションはすべて追行され、各メンバーの課題設定とチームとしての目標が達成された。活動の詳細についてはSNSで発信し、取得されたオルソデータもまた、オープンデータとして公開されているものを加賀市に提供されることで今回のミッションを終了した。
普段は関東及び関西で訓練するという活動であるが、普段チャットで会話するメンバーが一同に会して有意義な時間を過ごすということは、深い意味を持ち今後の活動に生かされるであろう。