0.はじめに
猛暑続きだった2018年夏も終わり、秋らしくなっている今日この頃ですが、この夏、本(書籍)について考えさせられた、2つの出来事があり、以下に紹介したいと思います。
1.「これから先も・・・書籍が果たせる役割は相当に大きい」
我々IT業界の人間は、趣味以外で本(書籍)を読むことってあるのでしょうか?何かのスキルを身につけるのに、書物とマジマジと向き合うというよりは、実際にディスプレイと向き合ってソースコードを書いたり、マシン環境に入って設定をいじったりすることによって、理解することのほうが多いと思います。また、何かを調べたいときにも本を読むというよりは、Google先生に聞いてそこから導き出されたWebサイトを閲覧することの方が主流ではないかと思います。
この夏から学習し始めたPythonの本「Pythonスタートブック」の冒頭に、こんなことが書かれていました。
本書を書きながら気付いたことは、書籍の中の日本語とWebの中のそれとは質が違うという事実です。Webにあふれる言葉が(中略)、その多くは軽い気持ちで書かれた文章です。こうした文章は読み流すときには楽ですが、何かを理解しようとするときには力不足です。
と、Webの欠点を述べたうえで、
書籍の中の文章は、全体の構成から検討し、何度も読み返し、言い回しや説明の順番を最適化します。
と、書籍化するプロセスにおいて構成や文章が洗練された形となることを強調し、最後に、
これから先も時代は変わっていくでしょうが、読んで何かを理解するという場面で、書籍が果たせる役割は大きい
と結論づけています。まさに真理を突いているなと思うと同時に、Webにしばしば投稿している筆者も反省しなければいけないと思いました。
現在、AIやフィンテック、IoT、AWSにdocker等、新しい技術や製品が次々と登場しています。今後もどんどん出てくるでしょう。その中でWebを参照することによってある程度の理解はできるかもしれません。他方、個々の要素がどうつながっているのかを整理された形で理解するにはWebだけだと苦しいと思います。そういった中で、体系化された知識を提供する点で本(書籍)は今後も役立つ存在になるだろうし、存在にならなければいけないのだろうと考えました。
2.「本は2回以上、読まないと分からない」
筆者は日経ビジネスを定期購読しているのですが、2018年7月30日号のコラム「有訓無訓」の内容に非常に感銘を受けました。詳細な内容はここでは敢えて触れませんが、ポイントとしては、
- 最初の読書は、自分の先入観等が入り、書いてあることを確認するだけにとどまってしまう。
- 本質的な意味を知るのは2回目の読書から。
のとおりです。そして同コラムでは、本を二度読むことによって発見が得られたという、幾つかのエピソードが紹介されたのち、「ある本を最初に読むのはもう一度読むための準備作業、あるいはその誘いである」と述べられています。
「本は2回以上、読まないと分からない」を聞いて「ああ。自分もそんな経験あるな」という方もいらっしゃるのではないかと思います。筆者もその1人です。IT業界に入りたての頃、矢沢久雄著/日経ソフトウェア監修『プログラムはなぜ動くのか~知っておきたいプログラムの基礎知識~』 日経BP社
と矢沢久雄著/日経ソフトウェア監修『コンピュータはなぜ動くのか~知っておきたいハードウエア&ソフトウエアの基礎知識~』 日経BP社
を読んだのですが、当時はぼんやりとした理解しかしていなかったことが、今年に入って再度読み出したら結構理解できたりして、知識・経験を積むことによって見方の幅が広がり、結果深い理解につながったものと思います。小さいころ何気なく聞いていた曲の歌詞も大人になってもう一度その音楽を聞いてみると歌詞の意味がわかる、という経験と似たような感じかもしれません。
もし機会があれば過去読んだ本をもう一度手に取って読んでみるとよいかもしれません。違う発見があるかもしれません。
0.おわりに
以上、この夏、本(書籍)について考えさせられた、2つの出来事を紹介しました。2.について完全に余談ですが、この夏『SLAM DUNK』を読んだのですが、なぜ『桜木花道』が天才なのかがわかる気がしました。なお『桜木花道』は筆者のこれまでの投稿で何回か登場します。ぜひ探してみてください。