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情報洪水のAI時代に「学び疲れない」ためのメソッド

Last updated at Posted at 2025-04-11

背景

AIやデジタルツールの発展が近年すさまじく、ついていくだけで時間が足りないという人も多くなってきているのではないでしょうか。AIやデータサイエンス、プログラミング、クラウドなど生産性が高まったり、できなかったことができるようになる効果は素晴らしいですよね。全部学びたい。

一方で、これらは「目的」ではなく「手段」であることを忘れがちです。かつて映画「ファイトクラブ」で、「あなたの所有するものがあなたを所有する」というセリフがありました。これは、技術に関しても近しいものがあります。技術を学ぶことに執着しすぎると、技術にあなたが所有される、つまり「技術があなたのリソースを奪う存在」になってしまいかねません。

そこで、自分が成長のハンドルを握り続けるために取り組んでいることをまとめてみました。具体的には「セルフロードマップ」と「スケジュールボクシング」とでもいうべきやり方です。

それって何?

多忙で知られるイーロンマスク等が採用していることで有名な「タイムボクシング」という手法があります。これはざっくり以下の手順で行われます。

  1. タスクを列挙する
  2. 優先順位をつける
  3. 時間を区切って集中して取り組む

これは、タスクを列挙するという過程で、あなたの頭の中にあるタスクを整理することができるというメリットがあります。また、それぞれのタスクに集中しやすくなり、結果的に生産性が高まるというメリットもあります。ただのスケジュール決めじゃないかとも思うのですが、これを毎日徹底的にやるのは相当に手間がかかることでもあります。

これを、学習に応用してみたいと思います。

具体的な手法①セルフロードマップを作ろう

学習の「セルフロードマップ」とは?

学習において重要なのは、自分が何をどこまで学びたいのかを明確化することです。そのためには、学んだ結果何ができるようになるのか?をゴールに設定し、その過程を考える必要があります。「トレンドだから学ぶ」では結局どこに行きつくのかわからないまま勉強しちゃうんですよね。

このフレームワークを「セルフロードマップ」と呼ぶことにします。自分のやっている手順は以下の通りです。

1. 何がやりたいからこの技術を勉強するのか?

自分がやりたいことと、学びたい技術のつながりを一度立ち止まって考えてみましょう。「流行っているから」「これがすごい!と驚かれている」とかで学び始めるとここで冷静になれます。そういうのだいたいどうでもいいです。

逆に、一般的には関連性がないと思われている・学んでいる人が少ないものでも学ぶ価値がある技術もあると思います。例えば、機械学習を学んでいる歯医者は少数派だと思いますが、歯科医院ごとに性質の違うテーブルデータや画像データを扱うことを考えると、おそらく習得する価値はあるだろうと考えられます。

この過程でよく考えることが、自分の技術的な特徴を形作るのではないかと思います。なので、学習のロードマップではなく、自分の成長目標のロードマップとして捉えるのがいいと思います。

2. ゴールを具体的に設定する

イメージが固まってきたら次に、この技術を使って何ができるようになりたいかを具体的に決めましょう。壮大な目的(ムーンショット)でもよいと思いますので、とにかく言語化にこだわりましょう。勉強は楽しい事ですが時々つらいので、そういう時に「自分はこういうゴールを目指しているから今頑張るんだ」と思い返すことができることは大事です。

例えば、「データサイエンスを学んでこの部門の売上を伸ばす!」など、可能な限り「どの作業で実践するか」「得られる成果が何か」をクリアにするとよいと思います。

まだゴールがはっきり見えないけど、この技術に魅力を感じる!ということもあると思います。その場合は、期限を決めてチャレンジするのが良いのではないかと思います。人生というリソースは有限なので、時間をもとにROIも計算した方がよいのではないかと考えており、チャレンジは多い方がいい一方で期限は常にシビア目に設定した方が良いという方針で取り組んでいます。

3. ゴールまでの手順を分解する

ゴールを決めたら、それまでの手順を考えてみましょう。ここが考え始めると結構めんどいので、以下の要件を満たすようにワーッと書いてしまうのがお勧めです。心折れがちポイントですのでここは最短時間で書き上げる気持ちで挑むといい気がします。

  • ゴールを達成する最小限の技術要件を書き出す
  • プロセスを細かく分解する
  • 各プロセスでの目標をなるべく数字を使って具体的に設定
  • 各プロセスで学習をいったん終了するフラグを設定
  • 各プロセスの想定所要時間を設定
  • 各プロセスの期間を設定する

ここまでやり遂げると、自分が何に取り組むべきかだいぶ頭の中がクリアになると思います。

具体的な手法②スケジュールボクシング

確実に実行するための強制力

やっとタイムボクシングからつながる話になるのですが、セルフロードマップがあなたの「地図」なら、スケジュールボクシングは「移動手段」です。毎日タイムボクシングするのは心折れがちなので、週単位のスケジュールに落とし込むことで確実に作業の時間がとれるようにします。

1. 学習枠を確保する

まず内容は一旦考えずに時間だけ確保します。学生も社会人もとにかく忙しいものですから、ここが大変です。お勧めは毎日の習慣として時間を確保することです。僕は朝早起きして時間を確保するのと、寝る前の1時間を割り当てるようにしました。

個人的にはわかりやすいように30分単位で枠を確保するのが好みです。仕事がそうなっているからというのもありますが、ポモドーロテクニックがそのまま使えるし「1枠」という単位で思考すると計算が楽なので便利です。

2. 曜日ごとにやることを詰め込んでいく

枠を確保したら、今度は具体的な内容を詰め込んでいきます。セルフロードマップを決めたらやりたいことが具体的になっていると思うので、それをいつ実行するか?をここで確定させていくわけです。毎週やることがだいたい決まっているとよいです。

例えば、毎週木曜夜はKaggleで勝つ!を読んでipynbファイルにまとめる作業を進める、など具体的な作業とアウトプットされるものを決めておきます。

3. 再評価する

毎週スケジュールボクシングを行う時間を設定しておきます。思ったより進まなかったなんてことはざらだと思います。なにせ新しい事に挑戦しているわけですから。セルフロードマップとスケジュールを毎週調整していく必要があります。

最近は技術革新が著しく、学ぶべきことが変わったり突然消滅することも多々あります。学ぶべきことがどんどん増えていき、時代についていけないのでは?という不安が生じたりします。きっちり成長していくことさえ考えていればそんなことはあまり生じないとは思うのですが、無駄な時間が生じないように調整しつつ不安を解消する時間は重要ではないかと思います。

その他の具体的な手法

レポートを書いてAIに読んでもらう/テストしてもらう

人間は「わかったような気分」「学んだ気分」になってしまうというとてつもないバグを抱えています。とにかく書き出して確認した方がいいです。僕はこの部分で生成AIを活用することが多いです。期限を決めて、書き出した内容を検証してもらったりテストしてもらいます。

アウトプット駆動型学習という追い込み

アウトプットしないと人間は頑張れないので、定期的に成果を発表するのがお勧めです。僕はQiita駆動型学習に取り組んでおり、月に一度は具体的な学びを発表することを目標にしています。数字として反応が得られたり、実績として記録を残していけるのが良いなと感じています。

また、合わせてコミュニティでのLT会でも毎月発表するようにしています。アドバイスが得られやすいのでこちらもお勧め。自分はマナビDX Questというイベントで知り合った仲間のコミュニティに参加していますが、定例でLT会を行うことで学習成果を共有する+自己学習の為にアウトプット、という形をとっています。

資格・検定試験を受ける

資格や検定は持っていても意味がないという意見の方もいらっしゃいますが、プロセスの終了目標としては非常に優秀です。僕は毎月何らかの試験を受けるようにしていますが、受かるためではなくプロセスの進捗を客観的に評価することを目標としています。割と背伸びするようにしています。

まとめ:「完璧主義」じゃなくて「進歩主義」でいこう

技術との健全な関係を築けるように学び方を再考することで、技術に振り回されるのではなく、技術を自分の目的のために効果的に活用できるようになります。セルフロードマップとスケジュールボクシングというフレームワークは、その実現のための具体的な道筋になるのではないかと思います。

重要なのは、単なる時間管理だけでなく、学習の質、心理的側面、そして長期的な持続可能性に目を向けることではないでしょうか。技術は急速に変化し続けますが、効果的な学習の原則は普遍的です。とにかく「この技術がすごい!」と煽られて不安になる情報洪水の時代ですが、うまく楽しく泳いでいきたいものですね。

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