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2023高専ロボコン開発レポート@鈴鹿A

Last updated at Posted at 2023-12-18

これはなに❔

高専ロボコン2023「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」における鈴鹿高専Aチームの開発記録および、筆者の半年の記録です。近年ではめっちゃいい成績である「ベスト8 and 技術賞」を取った1年の流れを記録します。

日記付けてなかったので去年よりだいぶ雑な記事になります

この記事は鈴鹿高専2023アドベントカレンダーの12/19担当です。

おまえは誰?

鈴鹿高専ロボコンプロジェクト機械班、設計担当。
2021年:ピット
2022年:チームリーダー、操縦者
2023年:選手、操縦者

3年連続高専ロボコン全国大会に鈴鹿高専Aチームとして出場。

2022の記事

そもそも高専ロボコンとは?

NHK主催で毎年秋ごろに開催される全国の高専生がロボットを作って競技に挑む大会。

鈴鹿高専も毎年出場しており、機械工学科4年の筆者は4年目である。
今年も例によってAを実力者を集めたガチチーム、Bを教育向けのチームとして地区大会に出場した。

結果

  • 地区大会優勝
  • 全国大会ベスト8
  • 技術賞
  • 優勝も狙える、かなりいいマシンができたが僅差で大阪公大に敗北した。

2023年の軌跡

4月末~ルール発表、アイデア出し~

例年通り4月末にルールが発表された。今年のルールは「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」。フィールド上に設置された果物を模したネットに入ったボールをロボットが回収し、スタートゾーンに戻ってくると得点となる競技です。
ロボットが動ける範囲にはルートが設定されており、反時計回りにしか進めないルールでした。

pon1.png

さらに周回の2周目からは動力を持たない「おたすけ機構」をロボットに搭載して、図の中心部、ピンクの床のセンターゾーンに侵入することができます。センターゾーンは8つのくだものがあり、すべて回収すると全体の点数の半分を獲得することができます。要は、いち早く1.5周してセンターゾーンに侵入し相手の侵入をブロックしつつセンターの果物をすべて取れば勝てる競技です。

今年は鈴鹿全体の方針として、「基本的にはA,Bとも同じアイデアの機体を作ってどちらかが全国に行ければいい」みたいな方針だったらしいです(謎)
普通に考えたらそんなリソース無いことぐらいわかるのに何でそんな風に考えてたかはあんまり覚えてません
加えて今年の設計班上級生たち(自分含む)の中で、できる限り機構を簡略化して設計、加工、制御の手間を減らしたいという共通認識がありました。去年まで鈴鹿を支えていた偉大な5年生、神みたいな専攻科のOBがいなくなったというのもあり人的リソースが明らかに不足していると考えていたからです。

4月時点で決まったアイデアは、
角材→クソでかいメカナムで無理やり乗り越える
ロープ→おばけ機構(すり抜け機構)でロボットの中を通す
果物の収穫→キウイは熊手に引っ掛けて取り、センターはそれっぽいお助け機構作ればなんとかなるやろ(訳:何も考えていない)

って感じでした。

この時点で、最終的に採用されてかつ最適解に近かった機構が角材とロープに対して出ているのでかなり幸運だったと思います。

チーム分け

今年の筆者はなぜか最初、Bに入れられてた。謎

試作

定石通り、機構の試作を始めました。
自分は、言い出しっぺであるおばけ機構の設計試作を担当しました。はじめは4つのサーボだけで圧縮荷重も引張荷重も受けようとしていました。

ほかの人たちのところでは別の方式のすり抜け機構やクソデカメカナム、板で押し上げてSカンから果物を取るお助け機構、足つきタイプの足回りの試作などが行われていました。

5月~クソデカメカナム、おばけ機構実験~

5年のプロの試作したクソデカメカナム、筆者が試作したおばけ機構が無負荷状態で動作しました。
なんなら足回りは20kgのコンクリートブロック積んでも段差を登れたのでアイデア自体がかなり良かったです(たまたま)
https://youtu.be/MJOOpyXEFIg
今思えばこの時点で最後まで残っていた機構の原型ができているのでかなり初動が良かったです

ほかの試作はあんまり見てなかったのでわかりませんが、設計段階からヤバそうなのが多かった印象です。(動かないものを試作しても意味がない)

この辺で筆者がBチームに入れられてることに疑問を持ち始め、プロの5年生の子と一緒じゃなきゃいやだ!って駄々をこね始める
5月後半から6月頭までテストがあったので活動休止、この時はガチで優勝狙いに行くぞ!みたいな感じではなかったのでしっかりと休止しました

6月~アイデアシート、再試作~

テスト終わったらアイデアシートの1回目の提出が迫っていました。毎年アイデアシートには苦戦します、特にチーム名、ロボット名がなかなか決まらないです。今年はみんながおばけおばけ言っていたのでノリと勢いでおばけ的な名前にするってすぐ決まりました。
なぜかこの辺は筆者の日報の投稿が全然ないので何やってたか思い出せません。多分おばけ機構の試作機の、よりまともにするために作り直してたんだと思います。
鍋王がプログラム系で苦戦してた記憶があります。
さらにこの辺で筆者のわがままが通ってAチームに入れたような覚えがあります。というか人的リソースを冷静に分析すればそうするのが当たり前なんだけど。
あんま覚えてない

7月~Sカン固定型お助け機構試作、XYステージ設計~

足回りが制御待ちで動かず、おばけ機構のテストができなかった期間があったため、お助け機構についてまじめに考え始めました。並行で誰かが試作していた板で押すタイプのお助け機構のランダム性が高すぎて使いずらい、という評価になりました。そのため着実にSカンから果物を外せるお助け機構を設計する必要が出てきました。
そこで自分が設計していたのがこの画像のような、しっかりと位置合わせをしてSカンをエアシリンダで固定、フックの部分をバーで押して果物を外すという機構です。同時並行で最終的に採用されたマジックハンド型も試作されていました。

pon2.jpg

この機構にしろマジックハンド型にしろ、着実にフックから外すためにはかなり繊細な先端の動作が必要になります。この時はまだ、センターゾーンでの動作を自動化するという夢物語を捨てきれていなかったためなおさら、足回りに頼らない細かい位置決めシステムが必要という話になりました。(デカい足回り+距離センサでは10mm単位の位置決めはちょっと厳しい)

そこでXYステージの搭載を考えました。最終的に採用されていた機構がこの時点でほぼ固まったんですねえ
足回りをマクロとしてXYステージは細かい位置決めをする目的があるため、マイクロ機構とも呼称していました。
この辺でアイデアシート2次提出があったと記憶してます。Sカン固定のお助け機構の案で提出しました。
7月後半はテスト期間で、今年はガチで勝つぞ!みたいな感じではなかったのでしっかりと休止しました。

8月~アイデアシートヤバイ、流行り病~

7月末に筆者がコロナ感染、2.5週間も熱が下がらなかったため前期期末テストも9割受けれず追試に回った。おかげで8月はほぼ活動できなかった。
コロナかかる直前に大まかな設計だけ終わらせていたXYステージの作成をメンバーに任せ、追試を受けました。復活したころにはXYステージは大体出来上がっており、実験ができた。コントローラーによる手動操縦での実験だったが、Sカンから果物を外すという当初の目的は概ね達成できる性能だったのでおばけ機構の上にのせてみることにしました。

アイデアシートの最終提出が結構ヤバいことになってたらしい?前回の提出で、Sカンを固定して収穫するお助け機構はルール違反だと指摘されて急遽、マジックハンド型を搭載することに決定されました。コレの変更が提出期限ぎりぎりだったらしい。アイデアシートは余裕をもって書こう。
8月末には画像のような状態、足回りはまだ片持ちだし、おばけ機構に直動機構も追加されていないが一応最終的な形が決定していた。

pon3.jpg

このへんで、中学生向けの公開講座のTAをやった。中学生の親たちとおしゃべりするのはたのしい。
フィールドの設営がそろそろ始まっていた。今年のルール的に設営が死ぬほど大変だったので、慣れるまでは組み立て、片づけに各2時間ぐらいかかってた。
片持ちの足回りが貧弱過ぎて段差を乗り越えるだけでカップリング部分が曲がって鬼キャン→空中分解になったので作り直すことにした。その際に駆動モーターを、中古で買ってきたマクソンモーターをその辺に転がってたESCONで動かすことでムキムキにしようという話が出てきて、5年のプロ二人が頑張ってた。ついでにタイヤを200mm→270mmにデカくした。
XYステージだけで果物を収穫して遊んでいたら、剛性なさ過ぎてタワーが崩壊した。

pon4.JPG

足回りとXYステージを迅速に改造し、1週間後には地区大会と大差ない姿になっていた。はやい。しかも制御で待つ時間がほぼ無かった、はやい。

9月~試走、おばけ機構改造~

フィールドひいて、足回りの耐久試験を無限にやっていた。段差は普通に乗り越えることができていた。9月前半の時点ではおばけ機構はうまく動作していなかった。上部にXYステージを付けたことで重量がかさみ、XYステージの位置によって重心が変わるとサーボを外した瞬間につぶれてロープがはさまれるといった事象が多発していた。さらに重くなった荷重をサーボで支えようとしてストールし、サーボが燃えることが多発、1つ2.2万ぐらいするサーボ4つがたちまち燃えてなくなって、20kgサーボに置き換わっていきました。
ラック&ピニオンつける前の動画
https://www.youtube.com/watch?v=OALj1V5qQck&ab_channel=%E9%88%B4%E9%B9%BF%E9%AB%98%E5%B0%82%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88

解決策として、DCモーターによるラック&ピニオンの棒を追加することにした。サーボは上部機構が上方向にすっぽ抜けることを防ぐ、ロックとしての機能に徹し、上から落ちてくる荷重はラック&ピニオンで支えようという思想に変わったのである。
思いついた4日後にはメカ側完成して、おばけ機構に追加できました。ラック&ピニオンを付けることを考えた10日後にはちゃんと動いて、ヒモを問題なく超えられるようになってました。はやい。
https://www.youtube.com/shorts/ObcXVenY-uA?si=6AlSMMh74lvzXx0J

10月~フィールド練習、地区大会~

10月1日の時点で、足回りのESCONの電流リミットがかからなければ競技ができる状態になっていました。
https://www.youtube.com/watch?v=-z4S6SD3iKs&ab_channel=%E9%88%B4%E9%B9%BF%E9%AB%98%E5%B0%82%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88

ひたすら練習し、試合の中で気づいた改善を繰り返していました。
外装のカーテンをプラダンにする、足回りを補強する、XYステージを補強する、等
重量の関係で足回りの自動位置決めのための距離センサモジュール、XYステージの自動位置決めのためのカメラモジュールは搭載することができず、手動操縦で何とかする方向に舵を切りました。

10月に入って北海道を皮切りに他地区の大会が始まっていました。日曜日はそれを見ながら体育館で練習をしてました。配信の試合のタイマーに合わせて自分たちもロボットを動かすという練習もしていました。
大会が進むにつれ自分らのロボット、意外といい線行ってるんじゃね???という思いが高まっていきました。この辺から、ガチで全国優勝を見据えて戦略を練ったり、ロボットを改善したりするようになりました。

地区大会

東海北陸地区大会は例によって微妙なので、センターに入れるチームがうちしかおらず、優勝できた。
ロボットを壊すのを心配しすぎて安全運転で試合をやってた。

11月~ロボット改良、全国大会~

全国に向けてやるべきことは一つ、センターに入るまでの時間の短縮だ。地区大会時点のロボットの性能的には25秒で1周できるぐらいのスピードだった。ライバルとなる和歌山、大阪公大は20秒前半で一周していたためこれに追いつけるスピードが必要だった。そこで、ヒモを通るときのスピードを速めることにした。車幅を減らして雑な位置決めでもおばけ機構が引っかからずに動作できるようにし、高速化のためにラック&ピニオンのギヤ比を下げた。
また、地区大会で外周をの果物ゾーンをくぐる際にお助け機構の先がパイプに接触していたため、XYステージの高さを大幅に下げ、お助け機構を少しだけ延長することで改善した。
お助け機構に熊手をつけて外周の果物を取れる確率を増やした。
1周21秒までタイムを短縮しました。

全国大会

テストラン:和歌山、大阪共に19秒ぐらいで1周してきやがる、やばい。北九州もはやい。やばい。
うちはというと、足回りが不調、やばい。

1試合目:vs 北九州
前日から、お互いのピットにあいさつしに来る。めっちゃ好感。
相手がミスって紐に引っかかってしまったのでなんとか勝利。正直フルスペックなら負けてた。

2試合目:vs 旭川
相手動けなかったので、大会最高得点タイの402点を獲得して勝利。

3試合目:vs 大阪公大
今大会の優勝校。17秒ぐらいで1周して30秒足らずでセンターに入ってきやがる。
試合前に北九州の子たちがピットに応援しに来てくれた。「自分らの分まで頑張ってほしいから勝ってほしい。」って言ってくれた。持てる情報を共有して、一緒に戦略考えてくれた。優しいかよ。

戦略としては

senryaku.txt
②現実的な路線、センターゾーンに先入りできなかった場合、25秒ー20秒,5秒程度相手が先にセンターゾーンに入る前提
→基本的に、最寄りの位置からセンターに入ることは諦め、外周を回収しながらセンターゾーンに入ることを試みる

-A 反対側からセンターゾーンに侵入できた場合
着実にセンターゾーンの果物を半分程度回収してスタートゾーンに戻る。外周のフルーツ差で勝つ
大阪広大の得点、センターゾーンの獲得スピード的に,ミックスフルーツ×2+ブドウ×1 + ブルーベリー×1=230
鈴鹿、230点以上はとれそう。勝てる可能性大。

-B 大阪が安牌を取って早めに帰る場合
センターに入って残りの果物を収穫する+外周でそれなりに稼ぐ→品差で上回ることが出来る。
大阪広大の得点、ミックスフルーツ×2+ブドウ×2=240
鈴鹿の得点、ブルーベリー×3+もも×2+みかん×3+キウイ数個=240点オーバー →かち

-C 大阪広大が反対側からの侵入もブロックしながら時間ギリギリまで居座りセンターゾーンの高得点フルーツすべて取ってくる場合
→入ることは諦め、外周をぐるぐると回って果物をできるだけ回収する。
大阪広大の得点、ミックスフルーツ×2+ブドウ×2=240
勝てる見込みは極小、できるだけとるだけ。
ただ、外周だけでも、もも×2+みかん×5、キウイ×9=250点等であれば勝てる可能性がある。
また、戻るときに戸惑ってくれてゼロなることを祈る。

-D 大阪広大が反対側からの侵入もブロックしながら時間ギリギリまで居座りセンターゾーンのフルーツすべて取ってくる場合
→入ることは諦め、外周をぐるぐると回って果物をできるだけ回収する。
大阪広大の得点、ミックスフルーツ×2+ブドウ×2+ブルーベリー×4=400
勝てる見込みは極小、できるだけとる。あとは、戻るときにミスってゼロになることを祈る。

て感じだった。

ニュータイプの足回り操作が光って、大阪公大のプラダンを粉砕しながらセンターに入ることができたが点数一歩及ばず、敗北した。外周の果物を取るシュミレーションが不十分だったのであまり点数が伸びなかった。くやしい

表彰式では技術賞をいただけた。しっかり動くおばけ機構と、XYステージの精密さ(?)が評価されたみたい?

反省点・教訓まとめ

  • 今回は初動で出たアイデアがほぼ最適解に近かったので良かったけどこんな年はそうそうないので、いろんなアイデアを出して試行錯誤しましょう。
  • アイデアの試作、実験のループはできるだけ短くしましょう。今年は、械班がやる気なかったから加工が楽な設計をしていた&回路実装が早かった&制御の実装も早かったのでうまくいってました。
  • 機構を考えるときはできるだけシンプルなアイデアを心がけましょう。複雑なの考えても動かす技量がなければ意味ないです。
  • 手動操縦にはめっちゃ練習期間が要ります。早め早めの計画を心がけましょう
  • アイデアシートは早めに書きましょう

質問、指摘等あれば遠慮なくコメントをお願いします。ここまで読んでいただきありがとうございました

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