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ElixirAdvent Calendar 2022

Day 1

堅牢なNIFの書き方: パフォーマンスの高いフォールト・トレラント・システムのためのElixirとCの併用〜その2 慣習に従ったエラー処理を書く

Last updated at Posted at 2022-11-18

この記事は「Elixir Advent Calendar 2022」1日目の記事です.また,この内容の講演がElixirConf EU 2023にacceptされました.

パフォーマンスを必要とするシステムを実装する場合,Elixir からよりパフォーマンスの高い C コードを呼び出すメカニズムである NIF を使用することがあります.NIF は,C を呼び出すもう 1 つのメカニズムである Port よりも優れたパフォーマンスを発揮します.ただし,NIF がクラッシュすると,Supervisor の制御下であっても,Erlang VM 全体が異常終了するという欠点があります.この欠陥は,フォールト・トレラント・システムを構築する際の大きな障害となります.

1つ目のポイントをその1 https://qiita.com/zacky1972/items/b1cbac9a4f31cd60800a で示しました.

この記事では,堅牢な NIF を説明する2つ目のポイントを示します.

  • 一般的な慣習に従ってエラー処理を実行します.

ここでいう「一般的な慣習」というのはElixir Schoolのエラーハンドリングでの説明に準拠します.すなわち次のようなルールです.

  • 正常終了した時には {:ok, result}のような形式にする.ここでresultには結果の値が入ります.
  • 通常操作の一環でエラーを返す場合には {:error, reason}のような形式にする.ここでreasonにはエラー理由がアトムや文字列などで入ります.
  • 通常操作とは認められないようなエラーを返す場合には,例外をスローします.

NIFもこの一般的な慣習に従うべきだと言えます.

{:ok, result}を返す場合のプログラム例

  ERL_NIF_TERM result;
  result = ...;
  return enif_make_tuple2(env, enif_make_atom(env, "ok"), result);

{:error, reason}を返す場合のプログラム例

  ERL_NIF_TERM reason = enif_make_string(env, "reason", ERL_NIF_LATIN1);
  return enif_make_tuple2(env, enif_make_atom(env, "error"), reason);
  • "reason" の箇所に実際のエラーメッセージを入れます.
  • Elixir側では{:error, reason}の形で受け取れはするのですが,reasonにはErlangの文字列(CharList ~c'reason')の形式で入っている点に注意してください.
  • Elixirの文字列を渡すこともできなくはないのですが,少々煩雑なCコードになるので,Elixirの側で適切に処理することをお勧めします.

例外をスローする場合

ArgumentErrorを返す場合

  return enif_make_badarg(env);
  • Elixir側ではArgumentErrorがスローされることになります.
** (ArgumentError) argument error

エラーメッセージreasonをつけて返す場合

  ERL_NIF_TERM reason = enif_make_string(env, "reason", ERL_NIF_LATIN1);
  return enif_raise_exception(env, reason);
  • "reason"には実際のエラー理由を入れます.
  • Elixir側ではErlangErrorがスローされることになります.
** (ErlangError) Erlang error: 'reason'
  • reasonにはErlangの文字列(CharList ~c'reason')の形式で入っている点に注意してください.
  • Elixirの文字列を渡すこともできなくはないのですが,少々煩雑なCコードになるので,次のような感じでElixirの側で適切に処理することをお勧めします.(前述のArgumentErrorを先に処理する点に注意してください)
  try do
    case NifModule.nif_func() do # NIF関数の呼び出しを入れます
      {:ok, result} -> {:ok, result}
      {:error, reason} -> {:error, List.to_string(reason)}
    end 
  rescue
    e in ArgumentError -> raise e
    e in ErlangError -> raise ErlangError, message: List.to_string(e.original)
  end

いかがだったでしょうか? ではその3に続きます.
https://qiita.com/zacky1972/items/23736bc430286b29f3c5

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