私はこれまで,SWEST,JaSST,ElxirConfの3つの技術カンファレンス(TechConf)の運営や企画,発表などに関わってきました.その経験を踏まえ,これら3つを比較しながら,それぞれの技術カンファレンスの文化を紹介していきたいと思います.
※まだ骨子だけしか書けていませんが,言いたいことは一通り書けたので,公開して後から追記するスタイルを取りたいと思います.
本記事で紹介する各技術カンファレンスの概要
SWEST
SWEST(エスウエスト)のホームページは下記です.
SWESTは Summer Workshop on Embedded System Technologies の略です.SWESTについては,次のように説明されています.
大学の研究者や学生、企業の技術者や管理者、その他、組込みシステムに関わる全ての人達が、徹底的に議論できる場を提供することを主な目的とした合宿型のワークショップです。
ちなみに,WACATE(ワカテ: Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)というソフトウェアテストのワークショップがあるのですが,WACATEはSWESTの「議論中心の場」を参考にして設立されたという話を聞いたことがあります(ただし,WACATEには私は関わっていません).
JaSST
JaSST(ジャスト)のホームページは下記です.
JaSSTは Japan Symposium on Software Testing の略です.JaSSTについては次のページで詳細に説明されています.このようにJaSSTは各地域で開催されています.
ElixirConf
ElixirConfは,プログラミング言語Elixirの技術コミュニティにおいて最高峰のTechConfです.
私は主にアメリカのElixirConfである,ElixirConf USに参加し,発表してきています.
他にはElixirConf EUとElixirConf Africaがあります.
過去にはElixirConf JPを開催したこともあります.
ElixirConfブランドとしては,かつて,Lonestar ElixirConfがありました.現在は,Lonestar Elixirとしてリブランドされています.
各技術カンファレンスとの関わり
SWEST
SWESTとの関わりは,2005年に開催されたSWEST7に遡ります.ここで,「組込みSW-Cを256倍使うためには」という分科会を企画・運営しました.
2007年に開催されたSWEST9ではプログラム委員長を務めました.
その後,意図的に毎年ポジションとウェイトを変えながら,実行委員として継続しています.
JaSST
私が関わっていたのは,基本的に JaSST Kyushu です.
実は私,山崎進が「JaSSTを九州でも開催したい!」というわがままを言ったことが,JaSST Kyushuが開催されるきっかけでした.初回は2007年開催のJaSST'07 Kyushuに遡ります.
JaSST'09 Kyushuでは,地元,北九州市内で開催し,共同実行委員長を務めました.
ElixirConf
私,山崎 進は日本人最初の ElixirConf での発表者です.2019年に開催された,Lonestar ElixirConf 2019での発表がそれでした.
ElixirConf JPはオーガナイザーの1人として企画・運営しました.
3つの技術カンファレンスに共通する文化
SWEST,JaSST,ElxirConfの3つの技術カンファレンスに共通する文化をあげていきます.
- 発表者と技術へのリスペクト
- 休憩時間,懇親会等の発表時間外での濃密なディスカッション
- 初めて参加する人にフレンドリーに
各技術カンファレンスの他にはない特徴
3つの技術カンファレンスそれぞれを比較して,他の2つにはない特徴をあげてみました.
SWEST
- 上質な温泉,上質な食事
- 参加者同士が議論し合うような数々の仕掛け
JaSST
- レポーター制度による情報発信と,地域JaSST同士の交流と学び合い
- 共通メニューと地域ごとの特色のバランス
ElixirConf
- 惜しみなきYouTubeへの無料動画公開
- スポンサーへの最大限の敬意
他の技術カンファレンスを見て,各技術カンファレンスに「今後,こうあってほしい」と思うこと
SWEST
- スポンサーに敬意を払うことで,SWESTの持続可能性が増す
- 講演や分科会の内容を発信することに,もっと力を入れて良いのでは
- 日本の誇れる組込みシステム開発を海外に発信してほしい
- 学生や新人向けの分科会を行うことについて,どのように実行委員がモチベーションを保っていけば良いですかね
JaSST
- 参加する敷居をもっと低く!
- レポーター制度だけでなく,参加者のレポートの促進を
- 講演のYouTube公開配信の検討を
- 日本の誇れるソフトウェアテスト技術・品質保証技術を国内だけでなく海外に発信してほしい
ElixirConf
- 日本の先進的なElixir開発の取組を海外にもっと発信したい
- ElixirConf USへのレポーター制度を導入したい
- ElixirConf JPをリブートしたい.それもElixirConf USのスタイルに近い形で.
- スポンサーを募りたい
日本の先進的なElixir開発の取組を海外にもっと発信したい
ElixirConfは総じてレベルが高いものの,日本の先進的なElixir開発の取組であれば,採択される可能性があるのではないかと思っています.
ElixirConfのtalkを見ていると,あれもこれもと論点を詰め込むのではなく,1つのトピックに集中している点が特徴的です.したがって,自分のElixirの取組の何が最大のadvantageなのか,それを突き詰めるのが良いと思います.
さらに,それが今までのElixirConfであまり論じられていないようなトピックだとしたら,チャンスであるように思います.
ElixirConf USへのレポーター制度を導入したい
ElixirConfは(少なくともUSについては),現地に行って参加し続けないとわからない,独特の雰囲気があると思っています.それは言葉で聞くのではなく,またvirtualで参加するのではなく,現地に足を何度も運んで初めてわかるものだと思います.
それが少し垣間見えるかもしれない動画を紹介します.私の一番のお気に入りのElixirConfの講演の1つです.この講演が,私のElixirコミュニティ観の中核にあります.
https://youtu.be/KW85rW6-PgI?si=EuBuD2uHclxvzwQ_
こういう雰囲気を体験して語れる人を増やしたいです.そのために,JaSSTで行われているレポーター制度を導入できればと思っています.
渡航費用・滞在費用が最も大きなハードルになるので,それを支援するような制度にできればと思います.
ElixirConf USに現地参加した人は,すぐに全ての発表の動画を見ることができます.なので,発表そのものの速報は,日本に帰国してからゆっくり全動画を見てレポートすれば良いのではないかなと思います.
それよりも重要なことは,現地を体験して,その雰囲気を日本に伝えることだと思います.そのために,様々な人と交流するように,Elixirコミュニティの真の姿を体験できるように,私は取り計いたいと思っています.
ElixirConf JPをリブートしたい.それもElixirConf USのスタイルに近い形で.
実はElixirConf JPを再び開催するための計画を着々と進めています.やるなら,ElixirConf USのスタイルにできるだけ近いものを提供したいと思っています.
海外からもたくさん発表者・参加者を募るようなものにしたいです.幸い,今は円安ですし,渡航費用が自費でも日本に来たいと思っている海外の人は結構多くいます.海外からの人がマジョリティになって,雰囲気をリードするくらいにできると良いなと思っています.
スポンサーを募りたい
そういったことを実現するには,スポンサーがとても重要です.ともに歩みながらElixirコミュニティを形成していくスポンサーを募集します.