しばらくはIntroductionが続きます。
以降、推薦システムまたはRecommender SystemをRSと表記します。
Chapter1
Introduction to Recommender Systems Handbook
1.1 Introduction
RSでは推薦対象として"Item"という言葉が一般的に使われる。
ex) CDs, news, ...
RSが用いられる状況として、
・ ユーザーの経験や能力が不足している場合
・ 選択肢が膨大で人の力では把握しきれない場合
RSにはパーソナライズされたものとパーソナライズしていないものがある。例えば、Amazonが進めてくる商品は人によって違う。これはパーソナライズされた例である。一方、単に売上ランキングや発売日で商品を推薦するものはパーソナライズされていないRSである。基本的にRSの研究ではパーソナライズされたものを対象としている。
もっとも単純な形であれば、パーソナライズされた推薦はランクづけされたアイテムのリストとして提供される。
Webページ上でのユーザーの行動などからユーザーの好みを分析し、分析結果を元に推薦されたアイテムへ誘導していくのである。
最初に生まれたRSは「 協調フィルタリング 」と呼ばれるものである。「他人に推薦されたものに決定を頼る傾向がある」という観察結果をもとづいた手法である。
ex) 採用担当は推薦書を見て採用決定を行う、映画のレビューを見てからどの映画を見るか選択する など
Webの登場によって 情報が爆発的に増加 するようになり、ユーザーが選択を誤ってしまうことも多くなった。選択肢は多ければよいというわけではないのである。そこで、RSが選択のサポートをするという大きな役割を担うことになる。
さて、これまで見てきたRSの背景を元に考えると、 RSの研究は比較的新しく 、独立した研究領域として認識され始めたのは1990年代半ばであるとされている。また、RSに対する関心は劇的に高まっていることが以下のサービスが生まれていることからも確認できる
・ Amazon.com
・ YouTube
・ Netflix
・ Yahoo
・ Tripadvisor
・ Last.fm
・ IMDb
1.2 Recommender Systems Function
なぜサービス提供者がRSを導入したがるのか考えてみよう。
販売数の増加:推薦したアイテムがユーザーのニーズに合っていれば余分に買ってくれる
多様なアイテムの販売:人気ではないけれども、あるユーザーには適したアイテムを販売することが出来る
ユーザー満足度の増加:よいアイテムを知ることが出来れば満足度は増える
ユーザーをつかむ:たくさん利用すればRSの精度が上がり、お得意様になってもらいやすい
ユーザーのニーズを知る:RSで得た情報を販売だけでなくマネジメントやプロモーションに生かすことが出来る
ユーザーにとってもメリットがあり、サービス提供者とユーザーの両方が満足できる。
次にRSが実現できることをリストアップしてみる。
よいアイテムを見つける:
よいアイテムを全部見つける:
Annotation in context:行間を読むっていうことですかね…
シークエンスの推薦:一つのアイテムではなく複数のアイテムを推薦し、全体としてユーザーの好みを満たす
グループとしての推薦:複数のアイテムを含むグループを推薦し、そのなかからベストなものを見つけてもらう
見るだけ:Webブラウジングしているだけでも、より関心をもってもらいやすい
優れたリコメンダーの発見:推薦結果を与えるだけじゃなく、ユーザーに推薦させてみると…
プロフィールを改善させる:極端な話、プロフィールが全員同じであればパーソナライズした推薦はできない
自己表現:RSに興味はないが、商品の評価やコメントをしたがるユーザーにはメリットがある。
他人を助ける:ほぼ上に同じ。あるユーザーが持っている情報が他のユーザーにとって有益であること
他人に影響を与える:自分のコメントや評価で他のユーザーの意思決定に影響を与えたがるユーザーがいる。悪用される場合もある(プロモーションに使ったり、他のアイテムにペナルティを与えるなど)
このように、RSが持つ役割は非常に多岐にわたる。そのため、多くの分野の知識が必要となるのである。
次の2節ではRSが取り扱うデータの種類と代表的な推薦手法などについて取り扱う。
お疲れさまでした。どうやらChapter1は文字ばかりのようです…。早くアルゴリズムの話に入りたいのですが、先は長そうです。