楽しい駆動開発(FDD)~EMとしてチームの楽しいをマネジメントする~
はじめに
私はもともとメンバーとしてチームにアサインされましたが、組織が拡大する中で役割が次第にマネージャー寄りになり、現在はプレイングマネージャーとして開発業務とエンジニアリングマネージャー(EM)としての評価やマネジメント業務を並行して行っています。
きっかけは、会社のリーダー研修でメンバーにアンケートを取った際、「引き続き仕事を楽しむ姿勢でリードしてほしい」というコメントをもらったことでした。この言葉を受けて、改めて自分自身を振り返ると、もともとエンジニアリングというものが好きで、楽しんで仕事をしている自覚がありました。
そのため、EMとしての軸を「エンジニアリングの楽しさ」に設定し、「楽しい駆動開発(Fun Driven Development)」と名付けて施策を進めてきました。本記事では、その具体的な施策について紹介します。
施策
1on1
個人が楽しいと感じるポイントは人それぞれ異なるため、一人ひとりに向き合う必要があると考え、2週間に1回の1on1を実施しています。その中で、特に「楽しかったこと」に焦点を当てるようにしました。このように楽しい瞬間を振り返ることで、メンバーが自分の好きなことや得意分野を再認識するきっかけにもなっているのではないかと考えています。
私自身も1on1を通じて、メンバーがどのように楽しいと感じているかを知ることで、より適切なタスクアサインやサポートができるようになったと思います。
Fun Done Learn
スクラムでの開発の中で、振り返り手法としてFun Done Learnというフレームワークを取り入れています。このフレームワークでは、「楽しいこと(Fun)」「達成したこと(Done)」「学んだこと(Learn)」を共有し合うことが特徴です。
特に「楽しいこと」にフォーカスすることで、チーム全体がポジティブな文化を育む一助になると考えました。この取り組みが、メンバーそれぞれの楽しい瞬間を意識的に振り返るだけでなく、チーム全体で楽しい体験を共有する文化の醸成につながっているのではと期待しています。
スプリントレビュー
スプリントレビューでは、開発者自身がデモを行うようにしています。これは、直接的なリアクションを受け取ることで開発者が自分の成果を実感し、モチベーションを高められると考えたためです。しかし、反応のないデモは楽しくないため、ステークホルダーに積極的にリアクションしてもらえるように事前に根回しを行っています。
このようにステークホルダーとの連携を強化することで、レビュー自体が楽しい場になるよう工夫を重ねています。
技術記事つぶやきチャンネル
チーム内で技術的な知識や気づきを気軽に共有できる場として、Teams上に「技術記事つぶやきチャンネル」を作りました。投稿のハードルを下げるため、「短文でもOK」「リンクを貼るだけでもOK」とするルールを設けています。
しかし、現状では自分と特定のメンバー1人しか投稿していない状況が続いています。マネージャーの自分が「もっと投稿しよう」と言うと指示のように受け取られ、楽しくなくなる可能性があるため、自然に参加が広がる方法を模索しているところです。
外部の勉強会への参加
「世間一般的に、このチームや施策ってどうなんだろう?」という疑問を解消するため、外部の勉強会に積極的に参加しています。特に翔泳社やFindyが主催する無料の勉強会を中心に、自分が登録してメンバーを誘う形を取っています。これは、メンバー自身が言い出しにくい場合があると感じたためです。
勉強会では、自分たちの環境が比較的モダンだと感じてくれる人もいれば、仕組みを導入したいと言ってくれる人もいます。また、Ask The Speakerのセッションでは、普段言えない不満や疑問が解消されるなど、それぞれが楽しんで参加してくれていると思います。
終わりに
これらの施策の中には、すんなりとうまくいったものは少なく、課題も多くあります。私自身、エンジニアとしての経験は長いですが、マネージャーとしての経験はまだ浅いため、間違いや試行錯誤も多々あります。
それでも、楽しい駆動開発(Fun Driven Development)を軸に施策を続けることで、少しずつチーム全体に「楽しい」を増やしていくことができたと思います。この取り組みが、他のチームやマネージャーの参考になれば幸いです。