概要
- ロードセルの信号を取り出すのに便利な24bitのA/DコンバータとしてはHX711がポピュラー
- HX711はサンプリングレートとして10Hzと80Hzの切り替えが可能
- ある種の製品ではそれがとても簡単に設定できることを確認した
HX711 A/D Converter
ロードセルの信号はとても微弱で不安定なので、その読み出しには安定したアンプと A/D コンバータが必要です。HX711 はそのために必要な機能をワンチップにまとめており、これだけで一定速度でのデータサンプリングが可能で、また安価です。
そのためロードセルを使った簡易スケールの製作 など、HX711を使ったロードセルの値を読み出す作例がたくさんネットにあります。
ところでHX711は、そのサンプリングレートを 10Hz と 80Hz で切り替えられるようになっています。
HX711 データシート 24-Bit Analog-to-Digital Converter (ADC) for Weigh Scales
このデータシートの2ページめ、Table 1 の pin 15 - RATE に注目してください。ここを Low level にすると 10Hz、High Level にすると 80Hz でのサンプリングになるとあります。ところが多くのボードはこのピンをこのLow Levelに固定的に配線しており、つまり10Hzでしか動作しないようにされています。
例えばこんな感じ。
- 秋月電子の HX711使用 ロードセル用ADコンバータモジュール (2019/6現在350円) は10Hz に固定。
- 上に引用した作例 で利用されたボード も10Hzに固定。この作者氏はICのピンを持ち上げ再配線して 80Hz に高速化。慣れた人でないと難しそう。
- スイッチサイエンスの HX711搭載 ロードセルアンプモジュール は 10/80Hz を選択可能。同ページの「回路図」にパターンを切ると80Hzになる記述あり。ただちょっと高い (2019/6現在1,243円) 。
ところが偶然私が買った安価なボードは、とても簡単に10/80Hzの切り替えが可能でした。つまり80Hzでサンプリングしたい人はこの製品を買うのがお勧めです。以下に詳述します。
KKHMF のHX711ボードを80Hzにする
KKHMF の HX711モジュールが2019/6現在、145円でAmazon にて販売されています。すごい。
この製品は 10Hz サンプリングに固定されているように見える、のですが、基板(右上部分)を良く見ると「10Hz」「80Hz」のプリントがあり、10Hz 側に 0Ω抵抗が付いていることがわかります。
基板裏側の写真を見ると、表側の HX711 の pin 15 がすぐビアに消え、ぐるっと裏を回ってすぐ上にある0Ω抵抗の左側のビアに出てきているのが分かるでしょう。
念のためにテスターで当たって 0Ω抵抗の右側は GND につながっており、80Hz の "z" のすぐ右のパッド(ランド)は pin 16 つまり VCC につながれていることを確認しました。
HX711 は pin 15 が RATE で、ここが Low だと 10Hz、High だと 80Hz ですから、つまりこの 0Ωを外して、80Hz 側のパターンに何かしら適当な抵抗をつけてやれば 80Hz でサンプリングするようになることがわかります。
というわけで、とりあえずそのあたりに転がっていたチップ抵抗を拾って80Hz側につけてみました。(下手くそ御免。。)
これで正しく80Hz でサンプリングするようになりました。良かった良かった。