PFNがChainerの開発終了を発表
https://preferred.jp/ja/news/pr20191205/
機械学習界隈の方々にとって結構衝撃的なニュースではなかったでしょうか?
私も機械学習に関する研究を行っており,Chainerにはとてもお世話になっていました.
PFNから公式でこのニュースを出したことにも驚きました.
しかし最近の機械学習フレームワークの流れを見れば,Pytorchへの移行も止むを得ない状況なのかと思います.
というわけで今回は感謝の意を示して画風変換で遊んでみます.
Chainer-gogh
2015.09.10にPFNからChainer-goghのプログラムが公開されました.
https://tech.preferred.jp/ja/blog/chainer-gogh/
今年のとあるイベントで研究室紹介の一環としてデモをやってみました.
若干今更感がありますが紹介させてください.
#画風変換とは?
Chainer-goghとは画風変換を行うプログラムです.
画風変換とはコンテンツ画像に描かれた物体の配置をそのままに画風をスタイル画像に
変換した画像を生成することです.
百聞は一見に如かずということで以下に示します.
この猫の画像をコンテンツ画像とします.
このゴッホの星月夜の画像をスタイル画像とします.
以下のコマンドを実行しましょう.
- -m ninでモデルを指定
- -i コンテンツ画像
- -s スタイル画像
- -o 生成した画像を出力するディレクトリ
- -g GPU番号(私の環境では0)
$ python chainer-gogh.py -m nin -i input.png -s style.png -o output_dir -g GPU番号
するとこのように画風が変換された画像が出力されます.
コンテンツ画像がスタイル画像の画風に変換されていることが分かります.
#学習回数による違い
先ほど示した画像は5000回学習を行ったものでした.
学習回数が少ない場合はどうなるのかもやってみました.
これが2000回学習を行った画像です.
学習回数が少ないと元々の猫の画像の色が残ってしまっていて,完全に学習できていません.
学習回数でここまではっきり違いが分かるのは面白いですね.
#GPUでの実行
画風変換は大量の計算が必要になります.したがってGPUでの実行が好ましいです.
CPUでもできないことはないですが,先ほどの通り元の画像の色が残ってしまったり,2,3日回しても終わらないかもしれません・・・
GPU環境がない方はAmazon EC2のGPUインスタンスとNVIDIA Dockerを使えば安上がりで構築できます.
(利用状況にもよりますが月$50ぐらい)
GPUで快適な機械学習生活を送りましょう.
#<あとがき>AIの創作物の著作権
ここまでで画風変換について紹介してきました.
いろいろな画像に応用できるので気になった方は是非やってみてください.
最後になりますが,AIがデータを使って生成した創作物は誰のものになるのでしょうか?
AIの開発者,データの提供者,AI自身など候補はたくさんありますが,現状では著作権の権利の対象とはならない
という解釈が一般的なようです.
AIが今回のように画像を生成したり文章を生成したりするのがもっと身近になるのはそう遠くないかも
しれません.
法律がどう整備され,どのような扱いになるのか今後も注目したいと思います.
ここまで読んでいただき,ありがとうございました.