無線LANの通信方式
無線LANは電波を利用したネットワーク通信であり、配線不要で使いやすいが、壁や他の通信の影響でネットが届きにくくなる可能性がある。その対策として、適切な無線ネットワークを構築する。
CSMA/CA(衝突回避制御)
- 無線LANは半二重通信のため、CSMA/CAを用いてコリジョン(データ衝突)を回避する。
- 利用状況の確認(PC ⇔ AP)
- APが利用されていないことを確認した後、ランダムな時間待機してデータ転送
- データ転送中、APがACK(受信確認応答)を全端末に送信
- PCはACKを確認し、利用状況を把握する。
電波の種類
周波数(Hz)の特徴
- 5GHz:直進性が強く、障害物が少なければ安定。
- 2.4GHz:障害物が多くても安定しやすいが、電子機器(電子レンジ等)と干渉する可能性あり。
無線LANの規格(IEEE 802.11)
規格 | 周波数 | 最大伝送速度 | 登場時期 |
---|---|---|---|
802.11b | 2.4GHz | 11Mbps | 1999年 |
802.11a | 5GHz | 54Mbps | 1999年 |
802.11g | 2.4GHz | 54Mbps | 2003年 |
802.11n | 2.4GHz/5GHz | 600Mbps | 2009年 |
802.11ac | 5GHz | 6.9Gbps | 2013年 |
802.11ax | 2.4GHz/5GHz | 9.6Gbps | 2020年 |
無線LANの接続モード
アドホックモード
- AP(アクセスポイント)を使用せず、機器同士を直接無線接続する。
- 例:PSPやDSでのインターネットを介さない通信。
インフラストラクチャモード
- APを介して無線接続を行う一般的な方式。
ワイヤレスネットワーク構成
BSS(Basic Service Set)
- 1台のAPと接続された機器によるネットワーク構成。
- APのMACアドレスをBSSIDとし、所属するBSSを識別。
ESS(Extended Service Set)
- 複数のBSSが統合された広域の無線ネットワーク。
- ESSIDとSSIDを用いて識別。
無線接続の流れ
ビーコン(Beacon)
- APが定期的に送信する制御情報(SSID、チャネルなど)。
- 2.4GHzは14チャネルがあり、5チャネル間隔で配置。
認証と接続確立
- ビーコン送信(AP → PC)
- 認証送信(AP ← PC)
- 認証応答(AP → PC)
- アソシエーション要求(AP ← PC)
- アソシエーション応答(AP → PC)
ビーコン非送信時はプローブ要求を利用して接続する。
無線LANのセキュリティ
データ暗号化
共通鍵暗号方式のプロトコルを利用
- AES(安全)
- RC4(脆弱性あり)
認証方式
- パーソナルモード(PSK):SSIDとパスワードを用いる。
- エンタープライズモード(EAP):RADIUSサーバでユーザー認証。
(事前にradiusサーバーへを登録したID,PASSで認証)
認証コンポーネント(構成要素)
クライアント端末(サプリカント)→認証装置(Authenticator,WLC,AP)→認証サーバ(RADIUS)
無線LANの管理方式
自立型
- APごとに個別設定(小規模ネットワーク向け)。
集中管理型
- WLC(Wireless LAN Controller)により一括管理。
WLCの端末設計
仮想ポート(vNIC)
- WLAN1、SSID1 - ダイナミックインターフェース
ワイヤレスLAN(WLAN)はVLAN毎に区切られ、
ダイナミックインタフェースを通じてディストリビューションシステムポートへ接続
- バーチャルインターフェイス(インオブバンド管理)
ワイヤレスコントローラ(WLC)の冗長化が可能で、
複数のWLCを同一IPアドレスでモビリティグループとして構成し、
必要に応じてコントローラを切り替えることができる
- 管理インターフェイス(インオブバンド管理)
-
サービスポートインターフェイス(アウトオブバンド管理)
管理インターフェイスおよびサービスポートインターフェイスは管理をするためのもの - アウトオブバンド管理:通常の通信とは別に管理用インターフェイスを確保。
- インオブバンド管理:通常の通信で管理インターフェイスを起動、設定を行う
物理ポート(NIC)
-
ディストリビューションシステムポート:ダイナミックインターフェースと接続。
トランクポートで、複数のVLANへ対応する - サービスポート:管理者アクセス用。
ローミング
- APから離れると、同じESSID内の別APへ自動接続切り替え。
CAPWAP
- APとWLC間の通信を制御するプロトコル。
FlexConnect
- APがWLCとの接続が切れてもAPの独立動作可能。