はじめに
天狗を見つけてみたいという野望は誰しもあるはず…
そんな野望を叶えるために天狗がいそうな高い木を特定してみましょう.
衛星のLiDAR情報を使って高い木を特定し天狗がいるのかを調べてみます.
宙畑に影響を受けて記事を作成しました.
影響を受けた記事
鬼、かっぱ……妖怪が現代日本でも暮らせるエリアを宇宙から探してみた(前編)
https://sorabatake.jp/19346/
鬼が住んでいそうな場所を衛星から探してみたら、47カ所見つかった
https://sorabatake.jp/21317/
衛星LiDAR情報を取得する
どうすれば高い木がある場所を特定できるのでしょうか?
現在はいろんな衛星情報がオープンソースとして提供されています.
その中でもLiDARの情報を提供しているNASAのGEDI(Global Ecosystem Dynamics Investigation)データを使ってみます.
GEDI Level 2Aでは森林の高さをデータとして持っているので,ここからデータを取得します.
https://lpdaac.usgs.gov/products/gedi02_av002/
ただし、直接データを取ってくるのは難しいので「NASA Earthdata Search」というGUIツールを活用します.
このツールから、地図上で指定した領域の衛星LiDAR情報を取ってきました.
https://search.earthdata.nasa.gov/search?q=C1908348134-LPDAAC_ECS
GEDI Level 2Aは全体で55,528個あります.(2022年7月現在)
すべての衛星情報を取ってくることは時間と容量の都合で現実的ではないので,座標を指定して該当する衛星データを取得します.
ひとまず,天狗がいそうな場所として,日本三大修験山の1つである福岡県の「英彦山」を指定する座標にしてみます.
Google Mapで「英彦山」の緯度経度を取得して,「NASA Earthdata Search」の検索窓に入れてみます.
英彦山の座標は以下のとおりです.
33.47683994212533, 130.9132575152386
そうすると英彦山を通る衛星情報は12個となり,なんとかダウンロードできる個数になりました.
(データサイズは12個で21.0 GBなので容量としては大きいですが…)
ダウンロード申請をしてDownload Statusからダウンロードを行い,ローカルに保存しましょう.
衛星LiDAR情報を加工・描画する
ローカルに保存した衛星LiDAR情報を加工して画像として表示してみましょう.
同じくNASAのGEDI-tutorialsを参照しましょう.
https://git.earthdata.nasa.gov/projects/LPDUR/repos/gedi-tutorials/browse
(ただ,現在非推奨のチュートリアルなので使いづらいかもしれません)
衛星LiDAR情報は1つのファイルに地球1周分の情報があるので目的にあった領域の情報だけ取り出します.
そのためには県や市などの特定領域の情報を持ったgeojsonファイルが必要なのですが,今回の記事では割愛し,別記事に任せます.
福岡県内かつデータが一定以上の品質を持ったデータを使って木の高さを地図上にヒートマップで可視化してみましょう.
チュートリアル内で、扱われているデータを先程ローカルに保存したデータに置き換えれば可視化できるはずです.
福岡県全域は今回のデータではカバー出来ませんでしたが,英彦山の上空を通過した時に通過した領域も一緒に天狗を探してみることにします.
地図上で衛星情報が重なっている箇所に寄ってみるとこのようになります.
近づいてみると格子状に衛星のLiDAR情報が取れていることがわかります.
右にあるカラーバーの色に従って木の高さが可視化されています.
(LiDARの情報は直径が25mの円で取れていますが,描画の点と25mの円の大きさが必ずしも一致している訳ではないので注意してください.)
このようにして地図上で木の高さを見ることができるようになりました.
ここまでで,天狗を見つける準備が整いました.
天狗はいるのか?
対象のエリア内で、高い木がある場所を特定してみましょう.
最大の木の高さが80mオーバーだったので,80mより大きい木の高さのある地点を特定してみました.
すると,場所を2点特定することができました.
右下の1点は英彦山の山中を示しています.
狙った通り,日本三大修験山のひとつの英彦山の地点に高い木が存在しています.
実際にその地点に高い木があるのか気になるところです.
左上のもう1点はかなり平野に近い山中でした.
Google Street Viewで近くまで見ることができたので,周りを見てみましょう.
全然高い木があるようには見えませんね…
でも方角としては合っているはずです.もっとよく見てみましょう…
もしや…!
恐らく,衛星LiDAR情報から送電鉄塔が高い木として取れていたんですね.
Google Mapで確認してみましょう.
送電鉄塔と座標が被っています.ほぼ間違いなさそうです.
この事実を知ったとき,はじめはがっかりしましたが,きちんと高い建物が取れている実証になったので今ではいい結果だなと思っています.
危険な場所には立ち入らないという前提で,機会があれば,見つけた場所を2点を実際に見にいきたいと思います.