はじめに
私は株式会社アドベンチャーにて、skyticketを開発しています。
最近、私が所属するチームにスクラムを導入しました。導入してから2ヶ月経ったので、メンバーに「良かった点・改善点」を聞きました。スクラムとは何か、どのように導入しのたかという詳細については、本記事の対象外とします。メンバーの感想が、これからスクラムを導入しようと考えている方の参考になれば幸いです。
背景
私が所属するチームでは、一応アジャイル開発が採用されていました。一応と付けたのは、すでに確立された手法のスクラムやXP等を採用せず、なんとなく独自の手法でやっていたからです。独自のアジャイル開発をしていたため、多くの課題がありました。
メンバーから以下のような意見が上がっていました。
- ビジネスサイド
- いつまでに何ができるのかが見えない
- 誰が何をしているのかわからない
- エンジニア
- 要求が決まっていないのに、見積もりを求められる
- タスクの状態を定義していないので、ゾンビタスクが多数存在する
- タスクの優先順位が不明確
- 1つのプロジェクトのメンバーの数が多すぎる
組織やチームが違えど、プロジェクト管理でぶつかる課題は似ています。先人たちは、それらの課題を解決するために、スクラムやXPという手法を作り上げています。
独自のやり方ではなく、先人の知恵を借りるべく、スクラムを導入することになりました。
スクラムの導入
既存チームから独立したチームを作り出し、その独立したチームにスクラムを導入しました。既存チームは20名以上のメンバーが在籍しており、1チームに複数のプロジェクトがぶら下がっています。エンジニアはプロジェクトをまたがって開発していました。そのため、既存チームから切り離し、エンジニアは集中して開発することにしました。スクラムを導入する上で、「どのツールを使うのか」、「見積もりをどうするのか」といったことに目が行きがちですが、チームを分割することがスクラムを成功させるのに最も重要だと思います。
具体的なスクラムの手法は、ヌーラボさんが実施している「Backlogを上手に使ってらくらくスプリント開発」を踏襲しました。種別や状態は少しアレンジしています。
良かった点
メンバーにスクラムを導入して良かった点を聞きました。
- 各メンバーがやるべきことが明確なので自立して動くようになった
- 誰に何を聞けば良いか明確で、短時間で解決まで進められた
- 要求がわかりやすくなり、実現すべき作業を立てやすくなった
- コミュニケーションが円滑になった
- 動くソフトウェアでデモを実施するので認識の齟齬が発生しにくくなった
- デモがあることで具体的な目標があり、開発速度が上がった
- 優先順位がわかりやすくなった
- 完全に分離されたチームになったので、やりたいことを邪魔されずに実行できるようになった
- 目的が同じメンバーが集められたのでチームメンバーが流動的ではなくなった
- リズムが生まれた
- スプリントの目標が決まっているので、やるべきことに集中しやすくなった
- タスクが細かく切られるので、要件チェックを細かくできるようになった
- 会議体が整理されたため、無駄なミーティングがなくなり、集中して作業できるようになった
改善点
こちらはスクラムの改善点というより、私たちチームの改善点が多々あります。
- 自分たちだけでは解決できない問題があった(インフラ等)
- PBIが細分化されすぎていて逆に進めづらい場合もあった
- PBIを横断したタスクの対応がまだ曖昧
- 長期的なスケジュールが見えない
- ストーリーポイントがいまだに理解できていない、基準がわからない
- 効果計測やKPI進捗の確認がまだ会議体の中でできてない
- PBIに落とす前に、3秒見積ぐらいのライトな相談ができると、安心して要件に落としやすい
- チームが鎖国化していないか心配
- Backlogがスクラムに特化したツールではないので、少ししんどい時がある
- 口頭での確認も少なくない
- 口頭で確認したことをドキュメント化できていない
- 実際にリリースのスピードが早まったかどうかは今のところ不明(ただ、それ以外のメリットが大きいので、中長期的にはこれで良かったと思う)
個人的な感想
スクラムを導入して非常に良かったと思います。特に良かったのは、同じ目的を持った小さなチームに分割したことで、マルチタスクや割り込みタスクが減り、やることが明確になったことです。スクラムにおいて、「選択と集中」は重要なキーワードです。また、定期的なイベントがあることでコミュニケーションが円滑になり、認識の齟齬が減りました。
スクラムオーナーから「長期のスケジュールが見えない」という意見が、最初に解決すべき課題だと考えています。1スプリントで消化できるストーリーポイントが少しずつ安定してきたため、それらを元に、長期的なスケジュールを立てていこうと考えています。
これらの情報が、これからスクラムを導入しようと考えている方の参考になれば幸いです。