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量子ファイナンスの紹介

Last updated at Posted at 2018-12-23

大学で学んだ量子力学の復習および、業務活用を目的として、経済物理学の1分野である量子ファイナンスについて勉強を始めたので、紹介します.
投稿遅れてしまい申し訳ありませんでした.

1.量子ファイナンスとは

Wiki「量子ファイナンス」から抜粋↓

 ファイナンスにおける問題を解決するため量子物理学者と経済学者によって発展した理論と方法を応用する学際的な研究領域である。

ファイナンスのコミュニティーはオプションの価格付けにおいて表れる結果としてのパフォーマンスの問題を克服する方法を常に探している。
このようなほかの計算方法の一つが量子コンピューティングである。
(抜粋終)

量子ファイナンスとは、ファイナンスにおける複雑な問題を、文字通り量子論的な考え方を適用して克服するということをモチベーションに研究されている.

何本か論文や記事を読んだが、量子ファイナンスという分野は、
大きく分けて下記の2つのどちらかのアプローチに当てはまると思われる.

  • ファイナンス領域でよく使われる数式(ブラックショールズ方程式など)を量子論に拡張し、拡張以前では説明できなかったことを説明できるようにする.(下記の1つ目の論文)

  • 従来の計算方法に量子アルゴリズムを適用し、計算のパフォーマンスを向上させる.(下記の2つ目の論文)

2.論文の紹介

量子ファイナンスの論文を2点紹介します.ただし、計算はすべて追えていなく、完全に理解はできていません.そのため、今回は紹介のみに留まりますが、今後はより具体的な論文紹介もしていく予定.

The Black–Scholes pricing formula in the quantum context(量子的な文脈における、ブラックショールズ方程式) at 1989/3

【要約】

  • 金融市場における価格推移の不規則性は量子効果によってもたらされると主張

  • ブラックショールズマートン方程式を量子論的に拡張し、極端な価格変動を示す市場の振る舞いに対して、従来のモデルよりも説明、検証可能なモデルを提供した.

※おそらく、ファイナンスに量子力学の考え方を導入した最初の論文だと思われる.
(もっと古いのがあるよという方がいたら是非教えてください)

Quantum computational finance: Monte Carlo pricing of financial derivatives(量子コンピュータファイナンス: 金融派生商品のモンテカルロプライシング) at 2018/8

【要約】

  • 金融派生商品のプライシングの計算手法の1つであるモンテカルロ法に、量子アルゴリズムを適用した.

  • その結果、精度(標準偏差)を、εとした場合、古典的手法だと、サンプル数に対して1/ε依存性、量子論的手法だと、1/ε^2依存性となることを示した.(計算速度が2次的に向上)

  • ヨーロピアンコールオプションとアジアンコールオプションで検証し、2次の速度向上を示すことができた.

その他

今回紹介したのは、ブラックショールズ方程式関連の話題のみであったが、その他に量子二項モデルというものもあるらしい.

Quantum Theory for the Binomial Model in Finance Thoery

今後は余力があればこちらの紹介などもしていきたい.

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