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Net Zero Cloud スターターガイド

Last updated at Posted at 2024-09-29

1.Introduction

本記事はSalesforceの「Net Zero Cloud」というサービスについて、解説します。
筆者の備忘録という形で、「Net Zero Cloud」をこれから学習される方向けに、どのようなサービスなのか?概要を説明します。

2. 目次

# 概要
3 3.「Net Zero Cloud」とは?
4 4.Salesforce Net Zero Cloudの主なサービス
5 5.Net Zero Cloudの標準オブジェクト
6 6.終わりに

3.「Net Zero Cloud」とは?

「Net Zero Cloud」とは、「企業の環境データを収集・分析・報告して、サステナビリティ経営の実現を支援する製品」を指し、気候変動の課題に対応する事を目的としたサービス群になります。
一言で説明すると 「企業の環境データを迅速に収集・分析・報告して、温室効果ガス排出量削減につなげる製品」 になります。
国際社会において、企業成長に対する最大のリスクは気候変動であるとされており、どれだけ環境に配慮した経営が出来ているのか?が企業に求められます。
Salesforceのコアバリューに「サステナビリティ」が追加されたことからも、うかがい知れますね。
※参考: Salesforce、「Net Zero Cloud」を国内提供開始、「サステナビリティ」をコアバリューとして追加

ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いは?
両者はほぼ同じ意味で使われるが、カーボンニュートラルは主にCO2排出量を中心に扱い、ネットゼロは全ての温室効果ガスが対象となります。「正味ゼロ」として実質的に排出を抑える取り組みである。

まとめると...
ネットゼロ:温室効果ガス排出を吸収量で相殺してゼロにすること
カーボンニュートラル:CO2排出量と吸収量を同等にして実質的に排出をゼロにすること
となります。
※参考:ネットゼロとカーボンニュートラルの違いとは?関連用語を一挙に解説

スコープ1、2、3とは
「Net Zero Cloud」は、温室効果ガスの排出量の管理を迅速かつ正確に実施する事が可能です。国際基準であるGHGプロトコルに基づき、スコープ1、2、3を算出できるとの事です。

ここで言うスコープ1、2、3とは、以下の基準になります。

  • スコープ1:所有・管理するガスボイラー、車両、空調などのオンサイト燃料燃焼等の発生源からの直接排出を対象とします。
  • スコープ2:組織が購入・使用する電気、熱、冷却、および蒸気からの間接排出を対象としています。
  • スコープ3:企業のバリューチェーンで発生するその他すべての間接排出が含まれます。追跡と管理が困難ですが、通常、上流のサプライヤー、出張、調達、廃棄物と水、および製品とサービスの使用と最終処分に関連するものをカバーする、企業のすべての排出インベントリーが対象となります。

image.png

※参考:Net Zero Cloudについて知りたくて

4.Salesforce Net Zero Cloudの主なサービス

1. カーボンアカウンティング (Carbon Accounting)

出張に伴う電力使用のみならず、商品の貨物輸送にともなう燃料使用など、企業活動で生じる組織全体のエネルギー使用データを収集し、分類、分析、報告します。

  • あらかじめ準備された参照データセットや排出係数を元に、炭素在庫の計算を自動化します。
  • また、サプライヤーや消費者からのバリューチェーン排出量を評価し、温室効果ガスの排出量の推定を行い、バリューチェーン内でスコープ3排出量を測定することで、総排出量に大きく影響を与えるサプライヤーを特定します。
  • 一方で、スコープ1、2、3にわたる「カーボンフットプリント」を構築し、気候に配慮した意思決定を推進するための重要な洞察を得ることができます。親会社やその子会社、合弁会社などの複雑な組織構造においても、炭素会計を実施でき、親会社は温室効果ガス排出量を統合して管理・報告が可能です。
  • さらに、一部所有する子会社やパートナーからの排出量を親会社に割り当てることで、より正確な排出量管理が可能になります。

2. 廃棄物および水管理 (Waste and Water Management)

廃棄物管理データを取り込み、業務中に発生する廃棄物や製品の廃棄段階での排出量を推定します。また、固定資産やサプライヤーの水使用データを作成し、「水フットプリント」の計算を行います。

3. 気候アクションダッシュボード (Climate Action Dashboards)

データビジュアライゼーションやCRM Analyticsの事前構築されたダッシュボードを活用して、企業の環境影響を評価します。Net Zero Analyticsアプリのダッシュボードを使用して、スコープ1、スコープ2、スコープ3における排出データを分析し、カーボンフットプリントを削減するための対策を実施します。

このダッシュボードは、Net Zero Cloud Analyticsアドオンライセンスを持つユーザーのみが利用可能です。

例えば、航空移動による会社の二酸化炭素排出量を予測し、排出パターンの分析とルールに基づいた削減案を提供を行い、固定資産の燃料消費と炭素排出量を予測し、ダッシュボードを通じて固定資産環境レコードに反映させることも可能です。
他方で、サプライチェーン全体の排出予測を分析し、企業の二酸化炭素排出量の削減を行いつつも、商業ビルエネルギー消費調査(CBECS)のデータを使用して、オフィスビルのエネルギー強度を他のビルと比較・分析することが可能です。

4. What-If分析および排出予測 (What-If Analysis and Emissions Forecasting)

温室効果ガスの排出量削減につながる活動の「コミットメント」を作成し、その具体的な目標を設定します。
また、サプライヤーの持続可能性への取り組みおよび、温室効果ガスの排出量をスコアカードで追跡し、目標が設定されていないサプライヤーを特定します。活動ごとに将来の排出量を予測し、目標と比較しながら進捗を確認するだけでなく、さまざまなシナリオをシミュレーションし、持続可能性対策が排出予測にどのように影響するかを可視化し、排出量の予測とWhat-If分析ダッシュボードを活用して、ネットゼロに向けた進捗を追跡します。

5. カーボンクレジット割り当て (Carbon Credit Allocation)

購入履歴やスコープごとの割り当て、利用状況を一元管理し、カーボンクレジットの適切な配分と管理を行います。

6. 社会およびガバナンス報告 (Social and Governance Reporting)

社会およびガバナンス報告において、定量的な開示情報の入力、抽出、報告を行います。
親会社の子会社や単一組織内の外部パートナーも含むステークホルダーに対して、統合されたソーシャルおよびガバナンスデータレポートを作成することができます。

7. ESG報告のための開示およびコンプライアンスハブ (Disclosure and Compliance Hub for ESG Reporting)

「開示およびコンプライアンスハブ」を使用して、アンケート回答から定性的および定量的なデータを収集し、レポートを生成します。
Salesforceオブジェクトやその他のデータソースからデータを抽出し、フォーマット済みの開示を作成し、CDP、GRI、SASB、ESRS標準の開示テンプレートを利用する事で、外部株主向けのレポートを作成できます。

8. 多様性、公平性、包括性 (DEI) ダッシュボード (Diversity, Equity, and Inclusion (DEI) Dashboard)

DEI Analyticsを使用して、従業員データを分析・可視化し、多様性、公平性、包括性のギャップを特定します。

9. データアップロードによるコラボレーション (Collaboration Through Data Upload)

CSVテンプレートをダウンロードし、炭素会計、廃棄物フットプリント、水管理、社会およびガバナンスデータをNet Zero Cloudにアップロードします。
CSVファイルは対象オブジェクトに適した形式に整備され、データを追加してシステムに取り込むことが可能です。

5.Net Zero Cloudの標準オブジェクト

Net Zero Cloudは、組織の炭素排出量を計算・管理するための標準オブジェクトが提供されています。
特にScope 1、Scope 2、Scope 3の排出量を管理するためのオブジェクトが含まれおり、これらのオブジェクトを用いて、エネルギー使用や排出削減目標など、広範なデータを扱うことが可能です。

膨大なオブジェクト数の為、詳細な内容は割愛します。
興味のある方は、Net Zero Cloud Standard Objectsをご参照ください。

net-zero-overview-data-model.png

6.終わりに

海外の記事も手あたり次第に探しましたが、「Net Zero Cloud」は最近できたサービスである事から、参考となる記事がありませんでした。基本的にはSalesforce公式サイトを参照頂くことになる思いますが、案件として企業へ導入する場合、手探りで行う必要があるかと思います。
いきなりシステムを導入するのではなく、PoCにて当該システムの効能を検証し、クライアント業務とのFit&Gapを明確にすることで、慎重に推し進める必要があると感じました。
Try Net Zero Cloud for Freeにて、トライアルの開発環境が提供されているため、興味のある方は是非ハンズオン頂ければ幸いです。

主要なSalesforce関連の海外ブログ記事
個人的には、「Salesforce Ben」がおすすめです。
Top 30 Salesforce Blogs You Should Follow in 2024

参考リンク

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