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[TypeScript] CommonJSプロジェクトの型定義で"export default"を使ってはいけない?! "This expression is not callable"の意味

Last updated at Posted at 2023-08-22

はじめに

JavaScriptで実装されているライブラリにおいて、index.d.tsで型定義を公開しているものがある。その中で、package.jsonに"type": "module"の設定がなくCommonJSの設定になっているプロジェクトにおいて、以下のようなexport defaultを利用した型定義がいくつか見られた(以下の例はaxios-retryのindex.d.tsを少しわかりやすくしたもの)。

index.d.ts
import * as axios from 'axios'

declare namespace IAxiosRetry {
  export interface axiosRetryConfig {
    ...
  }
}
export type axiosRetryConfig = IAxiosRetry.axiosRetryConfig;

declare function axiosRetry(axios: axios.AxiosStatic | axios.AxiosInstance, axiosRetryConfig?: AxiosRetryConfig): void;

export default axiosRetry;

ただこの定義をしてしまうと、CommonJSにコンパイルするTypeScriptプロジェクトでは問題ないが、package.jsonに"type": "module"の設定があり、ES ModuleのTypeScriptプロジェクトでは以下のようなコンパイルエラーが出てしまう。
image.png

This expression is not callable

今回はこのエラーの原因と解決方法についてみていきたいと思う。

※参考までに、axios-retryではないが、既にマージされた他のリポジトリで遭遇した同じ問題を解消するためのPRを載せておく。

原因

このエラーの原因は、TypeScriptの仕様がそういう仕様になっているから、というのが結論。詳細はThis expression is not callable for ESM consuming CJS with default exportのissueで議論されている。

というわけで型定義の方を修正すべきということになる。

※ちなみに、https://arethetypeswrong.github.io/ というサイトがあり、パッケージの型定義の問題を教えてくれるらしい。

解決方法

(少なくとも関数モジュールの場合)結論としてはnamespaceをうまく利用して以下のようにexport =を利用するようにする。具体的には、はじめにで取り上げたaxios-retryの型定義であれば、以下のようにすればいい。

index.d.ts
import * as axios from 'axios';

export = axiosRetry;

declare function axiosRetry(axios: axios.AxiosStatic | axios.AxiosInstance, axiosRetryConfig?: AxiosRetryConfig): void;

declare namespace axiosRetry {
  interface AxiosRetryConfig {
    ...
  }
}

上記のようなexport =を利用した型定義であれば、CommonJS・ES Moduleの両方のプロジェクトで利用可能になる(正確には以下のCJSのプロジェクトではesModuleInteropを使用するの章に書いた設定が必要になる)。

以下で型定義についていくつか補足する。

export = axiosRetry;

もともとの型定義は、恐らく以下のようにexportしただけではデフォルトインポートは利用できず困るので、export defaultを利用して型定義を行ったと思われる(interfaceやtype、今回だとAxiosRetryConfigの型定義もexportする必要があり、そうなるとimport { axiosRetry } from 'axios-retry';のようにnamed importを使う必要性が出てくる)。

index.d.ts
...
export type axiosRetryConfig = IAxiosRetry.axiosRetryConfig;

export declare function axiosRetry(axios: axios.AxiosStatic | axios.AxiosInstance, axiosRetryConfig?: AxiosRetryConfig): void;

ただ、デフォルトインポートのためにこの定義の仕方をしてしまうと、ES Moduleで利用したい開発者にとっては困る。これをCommonJS・ES Moduleの両方で互換をとれるようにするために、export =に変更している。interfaceやtypeなどをexportしたい時に困るじゃないか、という話があるが、それについては次の章で見るnamesapceを活用すればいい。

※CommonJSのプロジェクトでexport defaultを利用するのが全ての元凶になってしまっているので、CommonJSのプロジェクトでは利用すべきではないと考えられる(関数以外のinterfaceやtypeをexportしたい場合は、namespaceにそれらを定義してnamespaceをexportすれば、interfaceやtypeもexportできる)。

declare namespace axiosRetry {...}

まずnamespaceについてだが、TypeScript特有のコード整理の方法で、グローバル名前空間にあるJavaScriptオブジェクトに名前をつけたもの(Using Namespacesを参照)。

namespaceを利用した型定義については、Module: Functionにも以下のように書かれている通り、namespaceに関数の戻り・引数の型定義をしてそれを公開できることがわかるだろう(以下の説明を読むとnamespaceに定義すべきとなっているので、この定義方法が推奨とも読み取れる)。

/*~ If you want to expose types from your module as well, you can
*~ place them in this block. Often you will want to describe the
*~ shape of the return type of the function; that type should
*~ be declared in here, as this example shows.

namespaceは非推奨という話もあるようだが、今回のように関数の型定義をする場合においては非推奨ではなく、むしろ有用だと思う。型が集約されてるDefinitelyTypeの型定義も同じようにnamespaceを利用しているものが多数あり、かつDefinitelyTypeではexport defaultは使えないのでexport =を使いつつ、interfaceやtypeもexportされるようにnamespaceを利用することになる。

ちなみに、公式のサンプルでは以下のようにnamespace内のinterfaceにexport宣言があるが、これは実は不要である。

index.d.ts
declare namespace Greeter {
  export interface LengthReturnType { // <- export宣言はなくていい
    width: number;
    height: number;
  }
  ...
}

理由はdtslintの方で以下のようなエラーが出るように、自動的にエクスポートされるため。

'export' keyword is redundant here because all declarations in this module are exported automatically. If you have a good reason to export some declarations and not others, add 'export {}' to the module to shut off automatic exporting.
See: https://github.com/Microsoft/dtslint/blob/master/docs/strict-export-declare-modifiers.md

まとめとして

今回はCommonJSのプロジェクトで、型定義でexport defaultを利用している場合の問題点と、改善方法についてみてきた。今まで何回かこのexport default問題でTypeScriptでコンパイルエラーになる事があった。その都度PRを上げたりしているが、この問題はES Moduleでパッケージ公開しているものでは問題にならないので、早くES Moduleだけの世界が来てほしいなとも思った。

※axios-retryについては、以下のようなPRで修正の提案をしてみた。

おまけ

CJSのプロジェクトではesModuleInteropを使用する

以下のようにデフォルトインポートを利用して、export =で型定義されているライブラリをインポートする場合には、esModuleInteropallowSyntheticDefaultImportsをtrueにする必要がある。

hoge.ts
import axios from 'axios';
import axiosRetry from 'axios-retry';
axiosRetry(axios);
...

これを設定しない場合、以下のようなコンパイルエラーになる。

This module is declared with 'export =', and can only be used with a default import when using the 'allowSyntheticDefaultImports' flag.

これはexport =なのでデフォルトでインポートできるモジュールがないために発生するが、esModuleInterop(allowSyntheticDefaultImports)を利用することで、TypeScriptのコンパイラが暗黙的にデフォルトインポートできるようにデフォルトエクスポートに変換してくれるため。

ちなみに、このフラグを利用しない場合には、以下のように名前空間インポートにすることでも解決することはできる。

import * as axios from 'axios';
import * as axiosRetry from 'axios-retry';
axiosRetry(axios)
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