BibDeskとは?
BibDeskとはBiBTeXを使ったmacOS用のオープンソース引用管理ソフトウェアです。情報は全て.bibファイルに追加されるため、$\LaTeX$で\bibliography
コマンドを使ったときの出力元となる文献DBを効率的に作成・管理できます。
こういうことがしたかった▽
インストール・使い方
-
ここからBibDeskをダウンロード
-
$\TeX$ディストリビューションの1つであるMacTeXをダウンロードすれば付いてくるそうです。ディストリビューションについて、詳しくはここをご覧ください。
-
BibDeskの使い方は詳しくは公式ホームページの "Help Book" を見るのが最短です。
環境
- macOS BigSur v11.1
- BibDesk v1.7.9
- TeX 3.14159265 (TeX Live 2020)
BibDeskの環境設定
上のインストールが終わったら、使い勝手を良くするために環境設定します。環境設定画面はこんな感じ。MacApp標準のCmd+,
で開きます。環境設定についての説明は前述の "Help Book" の "Preference Guide" を見るのが最短だと思うのですが、備忘録も兼ねて私の主要な変更点を載せておきます。
General
Application Launch ではBibDesk起動時に何を開くかを設定できます。私のメインのクラウドストレージサービスはiCloudなため、以下のような構造を作ることにしました。文献情報は全てlibrary.bib
ファイルに格納し、文献ファイルを0001_papers
ディレクトリ下に追加させてゆく単純な仕組みです。
~/
└─ Documents/
└─ 0001_papers/
├─ bib/
│ └─ library.bib
├─ paper00001.pdf
├─ paper00002.pdf
├─ :
└─ paper99999.pdf
TeX Preview
TeXプレビューの設定を行います。TeXプレビュー機能を使用するには、事前にパソコンにTeXをインストールしておく必要があります。TeXプログラムの在処はインストール方法により異なりますが、TeX Live 2020またはMacTex-2020をインストールした場合、基本的に/usr/local/texlive/2020
に保存されます1。
Fields
Custom BibTeX Fields は、新しい文献を追加する際にデフォルトとなるフィールドをカスタマイズできます。フィールドの型は以下の通り。
型 | 説明 |
---|---|
Textual | 普通のテキストフィールド |
Local File | ローカルファイルにリンクするフィールド(非推奨) |
Remote URL | リモートURLにリンクするフィールド(非推奨) |
Boolean | 引用された論文を呼んだかどうか知らせるReadフィールドのようなブール値のスイッチ |
Three-value | Yes, No, Mixedのように3つの値を持つスイッチ |
Rating | 0-5の間の評価値 |
Citation | citeキーを使って他の文献へのリンクを保持するフィールド |
Person | Authorフィールドのように人を含むフィールド |
日本語版BibTexであるpBibTeXは、日本語表記の著者名をauthor
フィールド、ローマ字による読みをyomi
フィールドとして読み取ります。一方、BibDeskのデフォルトではyomi
は含まれません。ということで、yomi
フィールドを追加。さらに、doi
2フィールドもデフォルトにしたほうが良いということなので3、is Defaultにチェックマーク。
Cite Key
Cite Key Autogeneration にチェックを入れると、文献追加時にCite Key
フィールドが空欄でも自動的にCite Keyを生成してくれます。自動生成されるCite Keyのフォーマットは下の Cite Key Format で変更できます。
Cite Key Format の初期値は%a1:%Y%u2
となっています(多分)。これは Autogeneration Format Syntax(以下、Syntax) と呼ばれ、自分でカスタマイズすることができます。例の如くここで説明されています。Syntaxを変更すると、Previewで即座に生成例が表示されます。
しかし、挙動を見る限り、この自動生成機能は日本語には非対応なようです。日本語を入力すると中国語読みに対応したローマ字に変換して生成されてしまいます(例えば「村尾」だと "Cunwei" と変換される)。何か解決策がありそうな気もしますが、CiNiiやNDLからbibファイルを入れるとCite Keyが初めから設定されてるので、とりあえず放置…。
AutoFile
Auto File Options では、文献ファイルがデータベースに紐づけられたとき、自動的に移動させたいディレクトリを指定することができます。ファイルを追加した都度、移動させる場合は、File papers automatically ボタンをオンにします。このとき、Cite Keyのときと同様にファイル名を任意の名称に変換することもできます。フォーマットは下の Local File Format で、Syntaxを使って指定できます。
Cite Keyのときは日本語が勝手に中国語読みに対応したローマ字に変換されましたが、ここではちゃんと日本語に変換されました。
ちなみに、現在の私の設定は%p[;][;etal]2(%Y%u1)%t20%e
としています。これは、著者(編集者)数が3人未満の時は"McCracken;Maxwell(2004a)BibDesk, a great app.pdf" = 「著者名1;著者名2(年a)タイトル20文字.拡張子」となり(aはユニーク文字)、3人以上の時は、 "McCracken;Maxwell;etal(2004a)BibDesk, a great app.pdf" = 「著者名1;著者名2;etal(年a)タイトル20文字.拡張子」となるSyntaxです。ファイル名としてはいかがなものかと思いますが、Spotlight検索をかけた時の視認性を重視しました。
TeXファイルで引用できるようにする
TeXがbibファイルを読み込めるように、texmf-local/bibtex/bib/
にシンボリックリンクを作成します。ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行(USER_NAMEはホームディレクトリ名に変えてください)。
sudo ln -s /Users/USER_NAME/Documents/0001_papers/bib/library.bib /usr/local/texlive/texmf-local/bibtex/bib
ls-Rファイルを書き換えます。
sudo mktexlsr
iOSから文献リストを見る
ReferencesというAppを見つけました。閲覧専用で新規エントリはできませんが、有用なAppです。
「References」をAppStoreで
その他の備忘録
- 日本人の
Author
フィールドには姓,名
または名 姓
と入力する(伝統的には名,姓
または姓 名
だったが、CiNiiやNDLのデータは前者の形式で配布されており、前者の形式に対応したbstファイルが配布されることが多くなっているため)
最後に
記事についての誤りのご指摘やアドバイス等あればお待ちしております。