当記事ではde:code2019のセッション[CM01]の内容について記述していきます。
内容に間違いがありましたらご指摘ください。
[スピーカー]
上田 欣典さん
日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ部門 Mixed Reality Marketing プロダクトマネージャー
日本市場でのHoloLensの製品担当をされている方です。
HoloLensのバージョン1(以降この記事ではHoloLens1と表記します)から携わっているそうで
恐らく日本マイクロソフトの中で一番HoloLensに詳しい人です。
[はじめに]
HoloLens1が日本に登場した2017年1月から二年半が経ちました
開発者の方、エンタープライズの方、そしてエンターテイメント
様々な取り組みが今進んでいます。
近年ではテクノロジーが好きな人だけではなく世間一般の方からも注目されています。
今年二月にHoloLens2発表されて今HoloLensは勢いがありますよね。
そんなHoloLensの前のバージョンからどう進化したのかを本セッションで説明されました。
[本セッションの内容]
・いまあらためて、Mixed Realityとは?なぜMRなの?何に使えるか?
・HoloLens2 どこまで進化した?
・Mixed Relity テクノロジー全体も進化したの?
[いまあらためて、Mixed Realityとは?なぜMRなの?何に使えるか?]
Mixed Realityとは、物理世界とデジタルの世界を融合し新しい価値を提供することで、
ユーザーは物理世界に存在しながら物理・デジタル両方のオブジェクトとやり取りができる夢のような世界のことです。
まさしく映画のアイアンマンのような世界ですよね。
MRの話になると、結局ARなの?VRなの?っていう議論がありますが、
MRはARもVRも含む概念で物理世界からデジタル世界までカバーする世界です。
MRを実現する最先端のデバイスがHoloLensです。
マイクロソフトが行った調査によると、今後5、6年後には
グローバルでだいたい15.8兆円のマーケットに成長するだろうと言われてます。
PCやモバイルのマーケットに匹敵するようなサイズに成長していき、
そう遠くない未来には私たちの暮らしでもMRが当たり前の世界になるそうです。
まずは法人向けの市場での利用が加速されると見込まれていて、
デジタルの恩恵を受けてこなかったファーストラインワーカーの働き方をよくするために使われていくのではないかと言われています。
その先にオフィスワーカーの生産性を挙げるような使い方、
並行してコンシューマー市場ではソーシャルだったりエンターテイメントで成長していくだろうという画像です。
実際に日本のマーケットでも取り組みがもうされています。
基本調講でも話がありましたが
トヨタ自動車を例に挙げますと、
紙の手順書・修理書だったものをHoloLensを使って3Dで見せることで、
作業したいパーツの上に手順書を表示するような使い方によって作業の効率化を上げたり
技術者のスキルの習熟度を高めることを目的に、
2019年中にHoloLens2を導入してディーラーに展開を開始することを予定しています。
エンターテイメントの部分でも
バンダイナムコ研究所が
HoloLensを使って自分がパックマンになり現実空間に現れた
巨大な迷路の中を動き回れるというのも出来ているそうです。
体を動かせるのはMRの特徴で
画像を見てみてもわかりますが、皆笑顔ですよね。
HoloLensは夢のあるデバイスで今後も使われていくと予想されています。
今後直近で伸びていく活用シナリオ4つです。
-
遠隔支援
- 現場で何かあった時に遠隔地にいるエキスパートの人に支援を受けたい場合
-
トレーニング支援
- ステップバイステップで作業手順を見せる
-
視覚化&共同作業
- 例えば製品をデザインする時に実際に作るとお金がかかるのでバーチャルで表示させたりできる
-
コンテキスト データ アクセス
- 現場で実際に作業している周りのデータをリアルタイムで取得し、表示をすることで作業の効率化を図る
[HoloLens2どこまで進化した?]
快適性が3倍になった
連続して装着して不快にならない時間を計測を行ったところ、
HoloLens1と比較して3倍長くかぶっていられるような快適性になったそうです。
HoloLens1を装着したことがありますが、
短時間かぶっても少し疲れた(慣れの問題もあるとは思います)ので
長時間かぶれるようになったのは嬉しいですね。
なんで快適になったか
・バッテリーが後頭部の部分に配置したことで重量のバランスが中心に来て良くなった
・HoloLens1では内側のリングを締めて調整していたのが、
HoloLens2では頭の所にカップ型のクッションが付いたことで帽子のような感覚で簡単にかぶれるようになった
HoloLens1は前に重心があったのでかぶっていると前の方がずれてきて鼻が痛くなっていたのですが、
それも解消されたそうです。
そもそもHoloLens2には鼻を当てる部分がありませんでした!
フリップアップバイザー
HoloLensをかぶったままでディスプレイの部分を上にフリップできるようになりました。
現場の方で肉眼でも確認したい人はわざわざ外さなくても見れるようになりました。
開発者の方も装着したまま開発が出来るのはいいですよね。
この機能は日本からのフィードバックが多くて実現した機能だそうです。
視野角2倍
HoloLens1のディスプレイは少し狭いかなと思っていたので2倍はいいですね。
自然な感じでホログラムを見れるようになるそうです。
ハンドトラッキング
10本指を認識できるようになりました。
10本指を認識できることでホログラムに触れられるようになり、
ジェスチャーがより自然な操作になりました。
実際に出来るようになった操作
・3Dオブジェクトをつかむ
つまむ、つかむ、にぎる
・3Dオブジェクトを移動させる・まわす・サイズを変える
移動させる、まわす、サイズを変える
・ボタンを押す
・スクリーンを操作する
・オブジェクトを操作する - ハンドレイ
遠くのオブジェクトも触れるようになった
HoloLens1で出来る操作って
ブルーム、エアタップ、タップアンドホールドと
三つのジェスチャーしかできませんでしたが一気にできる事が増えました。
Windows Hello
光彩認証が可能になりました。
光彩認証によってWindowsにログインできるようになります。
アイトラッキング
HoloLens1ではヘッドトラッキングで頭の動きでカーソルを操作していたのが、
HoloLens2より眼球の動きでカーソルを操作できるようになった。
みなさん大好きな分解画像です。
このセッションの時点ではまだネットに出回っていないそうなのでみなさんカメラを撮っていました。
[Mixed Relity テクノロジー全体も進化したの?]
デバイスだけでなくMixed Relityテクノロジー全体が進化しています。
今までのHoloLensは買ったはいいけど使えるアプリが無いとか、
そもそも開発できるパートナーがいないなどフィードバックがあったそうです。
そのため、すぐ使えるようにマイクロソフトから出しているアプリがDynamics365です。
Dynamics365の機能として
Remote Assist
ビデオ通話で遠方にいる作業者から支援を受けることが出来る
Layout
実際の空間でシミュレーションを行うことが出来る
Guides
ステップバイステップで作業手順を3Dで表示する
そもそもHoloLens高すぎてまだ持ってないよって方にも
モバイルデバイス向けのアプリケーションもDynamics365で出しています。
Remote Assist for mobile
携帯でもビデオ通話で遠方にいる作業者から支援を受けることが出来る
Product Visualize
営業さん用の3Dのカタログのようなものを表示できる
マイクロソフト以外にも2019年5月の時点で、
Mixed Realityが開発できるパートナーが26社まで増えています。
スクラッチだけでなくパートナーそれぞれに直ぐに使えるソリューションが出てきています。
ついでにHoloLens2の価格です。2019年5月時点では日本の価格はまだありません。
PreOrderはまだ始まっていません。希望の方はマイクロソフトに電話して相談してください。
[まとめ]
de:codeの会場で抽選に当選した方は実際にかぶって体験することが出来たのですが
私は残念ながら落選して触ることはできませんでしたが、
セッションにあった話から、HoloLens1から大きく進化したことが分かりました。
快適性3倍で視野角2倍と聞いただけでもすごい魅力的ですよね。
そう遠くない未来にアイアンマンのような世界が実現すると思うと胸がわくわくしますね。