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AIプロジェクトを開始する前に知っておくべき知識:CourseraのAI for Everyoneまとめ

Last updated at Posted at 2019-04-16

##はじめに
本記事は、Courseraのオンラインコース“AI for Everyone"のまとめ記事です。

AIの導師とも称されているスタンフォード大学・Cousera共同創業者のAndrew Ng氏は、Couseraにて機械学習に関するオンラインコースを4コース(2019年4月15日現在)公開しています。このうち、“AI for Everyone"は、初めてのノンテクニカルなコースです。このコースは、以下の4つのモジュールから成り立っています。

  1. What is AI?(AIって何?)
  2. Building AI Projects(AIプロジェクトをつくる)
  3. Building AI In Your Company(あなたの会社でAIをつくる)
  4. AI and Society(AIと社会)

わたしはAIベンチャーにて勤務しているのですが、いまだに**「AIで何かやりたい」や「データはたくさんあるから、AIで何か価値を出せないか」のようなふわっとした相談**を受けます。また、打合せをした結果、「結局、何がやりたいのかわからない」や「そこに機械学習を導入しても、投資対効果が合わない」、「やりたいことは機械学習ではなくて、データ分析だった」という結論になることがあります。

本コースの4つのモジュールを受講することで、「AIで何ができて、何ができないのか」がわかり、AIプロジェクトの内容や進め方を自己評価できるようになります。AIプロジェクトを検討中の多くの方に内容を知ってもらいたいと思い、個人的に重要と感じたポイント3つを以下にまとめました。

①「技術的に実現可能か」と「ビジネス的に価値があるか」をまずは精査する
② AIプロジェクトの落とし穴を回避する
③ 企業 + Deep Learning ≠ AI企業

##①「技術的に実現可能か」と「ビジネス的に価値があるか」をまずは精査する
AIプロジェクトは数ヶ月にわたるものもあるため、何をやるかを決める際、「技術的な実現可能性」と「ビジネス的な価値」をまずは精査する必要があります。Andrew Ng氏はこれを技術デューデリジェンスとビジネスデューデリジェンスと呼んでいます。

  • 技術デューデリジェンス

    • AIシステムは期待するパフォーマンスを出すことができるか(例. 正確性が90%等)
    • データはどのくらい必要か
    • エンジニアの工数はどのくらい必要か
  • ビジネスデューデリジェンス

    • コストを減らせるか
    • 売上を増やせるか
    • 新しい製品やサービスを創出できるか
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技術デューデリジェンスについては、機械学習の教師あり学習の事例一覧が参考になります。教師あり学習には、「Aを入力して、Bを出力する」シンプルなコンセプトで表現でき、かつ、AとBのデータが豊富にあるタスクが適しています。言い換えると、あなたが1秒以内に判断できるタスクは、自動化できる可能性が高いです。
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##② AIプロジェクトの落とし穴を回避する
次に重要なことは、AIプロジェクトにおける落とし穴を把握して、それを回避しながら、プロジェクトの経験を積むことです。AIプロジェクトの落とし穴を回避するためにやらないべき点とやるべき点を以下の表に整理しました。きわめて当たり前のことが述べられていますが、AIの2文字がついた途端に、忘れられがちになるポイントです。

やらないべき やるべき
AIで何でも解決できると思う 技術、データ、エンジニアのリソース制約をふまえて、AIに何ができて、何ができないかを現実的に考える
2~3名の機械学習エンジニアを雇って、丸投げする エンジニアの優秀な人材とビジネスの優秀な人材でタッグを組んで、技術的に実現可能で、ビジネス的に価値があるプロジェクトを見つける
AIプロジェクトが1回で成功すると思う 繰り返しのプロセスがAI開発の成功の鍵であることを理解してプロジェクトを計画する
旧来のプロジェクト管理のプロセスをそのまま適用する AIチームと協働で工数の見積もりやマイルストーン、KPI等を策定する
AIプロジェクトを開始する前にスーパーエンジニアを雇う必要があると思う AIチームをつくり、育てる

##③企業 + Deep Learning ≠ AI企業
最後に、Andrew Ng氏はインターネットを活用して成功した企業を例に、AI活用の在るべき姿を提示しています。わたしは、これが本コースのキーメッセージだと思います。

  • ショッピングモール+ウェブサイト=インターネット企業(例. Amazon)ではないのと同様に、企業+Deep Learning=AI企業ではない
  • インターネット企業とは、インターネットによってできるようになったことを最大限に活用する企業である
    • A/Bテストの運用
    • プロダクトの開発サイクルの高速化
    • 新しい意思決定プロセス
    • プロダクト・マネージャー等の新しい役割
  • AI企業とは、AIによってできるようになったことを最大限に活用する企業である
    • 戦略的なデータ収集の仕組み
    • 一元的なデータウェアハウス
    • 自動化の浸透
    • 機械学習エンジニア等の新しい役割
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##最後に
東京大学の松尾豊先生が、「現在のAIは1995年のインターネットのようなもの。社会に広がっていく中で、インターネットにおける検索エンジンのようなキープレイヤー、AmazonやFacebookのようなプラットフォームをつくる会社が出てくるかもしれない。」という言い方でAIの将来性を語っています。

現在、多くの日本の企業が、AIにおけるキープレイヤーを目指して、様々なプロジェクトを検討していると思いますが、概念実証(PoC)後に継続的な運用まで至っている事例はまだ多くありません。“AI for Everyone"や本記事を参考に、良いAIプロジェクトが増えて、その成果がどんどん社会実装されることを期待したいです :dog:

##参考
"AI for Everyone"修了後は、Courseraの他の機械学習コースの受講もおすすめです。

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