2020年4月施行の民法改正ポイント
- 契約成立時期を、発信主義から到達主義に変更
- 契約解除の要件変更。
「債務の履行がない(債務不履行)」「債務者に帰責事由」「債権者から債務者に履行督促」の3つの要件からなっていたが、2つめの要件が除外されることになった - 契約不適合責任の導入
従来からあった瑕疵担保の規定を削除し、新たに「引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない」場合における買主の請求権を規定した。
契約
- 契約書とは企業間のビジネス上の合意を現したもの
- 契約書という文書にすることにより法的拘束力を得ることができる
- メールや議事録はあくまでも担当者間の合意であり、証拠にはなっても法的な力は弱い
契約書のポイント
- 自らに利益となる条項はなるべく包括性をもたせる
- 不利益となる条項はなるべく抽象的かつあいまいに
- ファーストプロポーザル(最初の提案)をとれるかが大事 ※枠組みをリードできる
- 損害時の立証責任を相手方に渡すこと ※システムが停止した場合にいくらの損額がでたかをユーザー側に立証させる
3大スキームで考える契約ポイント
スキーム条項
- 誰がどこあで作業するか、どうやって情報交換するか
- 仕様変更にはどのように対応するのか、費用はどうするか
- 検品はどう行うか、支払いはどうするか
リスクヘッジ条項 - 検品で発見できなかった瑕疵があったらどうするか
- 開発先のスキル不足や状況が良くない場合
- 納品物が特許権等に抵触していないか
Win-Win条項 - 納品物を買い取る場合はどうするか
- バージョンアップはどうするか
- 保守はどうするか
知的財産権について
- 著作権や特許権などは知的財産権に属している
- 著作権が保護するのは著作物。 例)ソースコードやデータベース※データは思想性を帯びていない為、対象外。でもデータベースは別。
- 特許権が保護するのは発明。 例)ソースコードに実現されたアルゴリズムやコンセプトなど
- アルゴリズムやコンセプトの裏にある
技術ノウハウは営業秘密
に該当し、不正競争防止法で保護される。
著作権のポイント
- 保護が受けられるのは、完成時より。著作物は仕事として作成したものは法人に属する。 無方式主義
- 著作権を持つ人だけが複製をする権利がある 複製権
- 著作物を勝手に改変してはいけない。同一性保持権および公衆送信権
- 私的利用とは「個人的に家庭内程度で・・」という意味
- 私的利用としての例外は「利用者による複製」のみはOK
保護の考え方
- ソースコードをコピーするなどのデッドコピーに対して有効なのが著作権
- プログラムの中に反映されているコンセプトを保護するのが特許権 ※リバースエンジニアリング等に効く
- 侵害の事案のときは、まず著作権なのか特許権なのかによって対処が異なってくることがポイント
特許権のポイント
- 発明したのは誰か?
- 発明の本体である構成を創作したものが発明者になる。
- 着想自体が従来技術からして非予測である場合 : 基本発明型
- 着想自体は予測可能ではあるが構成が新規である場合 : 改良発明型
秘密保持契約について
- 通称NDAと呼ばれる秘密情報の開示にあたり外部に漏らさないことを約束してもらう契約
- 目的としては「秘密保持契約義務」「不正競争防止法をもとに損害賠償請求時に営業秘密の裏付けのため」
- 秘密情報とは何か/適切な管理が行われているかをきちんと定義することが大切
営業秘密とはなにか
- 秘密として管理されていること 例)秘密として認識/アクセスが制限されていること
- 事業活動に有用な情報であること 例)顧客名簿など
- 公然と知られていないこと
個人情報保護法について
- 個人情報の適正な取り扱い方法の基本を示すことで個人の権利権益を保護する法律
- 生存する個人に対して「氏名、生年月日、その他(音声動作データ等)」によって特定の個人を識別できるもの、もしくは個人識別番号が含まれるもの
- 個人識別番号とは、身体的特徴のデジタル化したものや、個人ごとに割り当てられたもの(例 マイナンバー等)
- 要配慮個人情報(センシティブ)とは、人種/信条/病歴/犯罪歴などを指し、本人同意が必須。※オプトアウトも適用外
- 個人情報に対して匿名加工を行う場合は、本人確認は不要
- 個人データは、利用目的の範囲内で外部委託するのであれば、第三者提供には当たらない為、本人確認等は不要だが、監督責任はある
交渉時のコツ
- 立場で駆け引きしない
- 人と問題を切り離して考える
- 利害に焦点をあてること
- 幅広く複数の選択肢を考える
その他参考リンク
情報システム・ソフトウェア取引トラブル事例集
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/softseibi/trouble%20cases.pdf
SaaS向けSLAガイドライン
https://home.jeita.or.jp/is/committee/solution/guideline/080131/080131SaaS_a.pdf