みんなが参加しやすいコミュニティ
こんにちは、この記事はTech Women Advent Calendar 2014の23日目です。
テーマは「みんなが参加しやすいコミュニティ」です。自分の中でも明確に主張がまとまっていないことを文章にしていったので、エッセイになってしまいました。
コミュニティと多様性
コミュニティとは、勉強会やカンファレンスなどの、人間の集まりのことを指しています。コミュニティは、ある分野に興味のある人間が集まりますから、似たような人たちが集まりやすい状態です。ですが、実際にはその中でも多様な性質を持った人が参加を希望しています。
例えば、以下のような例が考えられます。
- 男性、女性、その他セクシャルマイノリティ
- お酒が好きな人、お酒が飲めない人
- たばこを吸う人、たばこを吸わない人
- 自分の足で歩ける人、車いすを使う人
- 既婚者、独身、子どもがいる、子どもがいない
- 学生、社会人、主婦(主夫)、など
例えば私はお酒が好きなので、懇親会でお酒が出るのは歓迎です。だけど、お酒が飲めない人はもし参加費に懇親会費が一律含まれていたとしたら、毎回飲めないお酒代を払うのは少しつらく感じるかもしれません。違う例では、私はたばこの煙が苦手なので、懇親会で喫煙者に囲まれるのはつらかったりします。
多数の人が楽しく過ごせる場であることは大事ですが、少数の人もやはり同様に楽しく過ごせるような配慮が大事だと思います。
性別における多様性
ここではTech Womenのカレンダーなので、性別による違いに焦点を当てましょう。
勉強会は男性が多数を占めることが非常に多いです。これはそもそも、エンジニアに男性が多いからですね。なぜ男性が多いのかというと、それには文化的・社会的な背景がありますし、大変難しい話になりますので割愛します。ともかく、男性が多いですね。
女性や、その他セクシャルマイノリティの参加者が気持ちよく参加できる条件は、どんなものが考えられるでしょうか?
最近は大きなカンファレンスでは、アンチハラスメントポリシーを設けるところが増えてきました。例えばRubyKaigi 2014やPyCon JP 2014は明文化されたポリシーが存在し、団体として性的嫌がらせや、差別を禁止しています。これは一つのやり方ですね。ですが、毎週集まるような小さな勉強会にこれを持ち込むのは、いささか大げさ過ぎるかもしれません。その場合でも、ポリシーとして明文化することはしなくても、運営者、参加者一人一人がここに書かれている内容を考慮して行動するのは大事だと思います。
女性枠を設けるのはどうでしょうか?一定の女性参加者を参加させることが可能ですし、他の女性からも「意外と女性がいるから行きやすい」という感想が出ることもあります。Linux女子部はこの方式で、男女比がほぼ半々に近い状態になっています。また、Women Who Code Tokyoでは「自分を女性と考えるすべての人達の為に開かれています」「トランスジェンダーも可」と明記されており、セクシャルマイノリティにも比較的参加しやすくなっています。とはいえ、女性枠の割合によっては、仮に男性枠の抽選倍率が女性枠の2倍を超えるような事態になると、不公平感が生じるかもしれません。中規模までの勉強会であれば一考の価値はあるでしょう。
ドラ娘文化について
しばらく前に「IT系イベント主催者各位 そろそろドラ娘ってやめませんか?」というタイトルの記事が公開され、話題になりました。私は「接待の席に若い女性社員を駆り出すオジサン達と発想が同じじゃないですか?」と書かれている元記事の意見に賛同します。歴史的経緯を見れば、the Histrory of LT and ドラ娘のスライドの12ページに「かわいい女の子が銅鑼を叩いてプレゼンの終了を告げるなんて!(なんと素晴らしい)」と書かれています。女性の外見を重視する考え方そのものですよね。
もちろん「ドラ娘をやってよかった!」という当事者はいるでしょうし、プラスの面があることは否定しません。ただし、やはりドラ娘をやる・やらない、選ばれる・選ばれないの際に年齢や外見を意識してしまうでしょうし、複雑な感情を抱いている人がいることもまた、事実です。
LTタイムキーパーとしての銅鑼は非常に機能的には優れているので、銅鑼自体は良いと思いますが、ドラ娘文化については変わっていくと良いなぁと思っています。
女性であることに言及すること
よく「女性の参加者はめずらしい」と言われたり、「女性で○○なのはすごい」というような褒め方をされることがあります。でも、それって必要ですか?
女性であることに先入観を持って話されると、リアクションがしづらくなってしまいます。もちろんさげすむ意味で言っている人はいないでしょうけれど、性別によってラベリングをすることは、壁を作る第一歩だと感じています。
女性向けコミュニティの存在
「壁を作る第一歩」と書いておきながら、「女性向けコミュニティ」は自ら壁を作っているじゃないか、という指摘があるかもしれません。また、女性枠はどうでしょうか?
女性はソフトウェアエンジニアの中では少数派ですから、少数派の互助グループのようなもので、まずはそこで勉強会慣れしてから、大きなところに飛び込んでいく、というステップを提供していると考えています。女性のグループを作ることを最終目的にはしていないはずです。最終的には女性枠や、女性向けコミュニティが必要とされない世の中になればいいなぁと思っています。
キャリア選択の際に、女性であることがマイナスに働いている場合もあります。例えば私は、「コンピュータ好きなんて女らしくない」「女が大学院に行ってもしかたがない」と言われたことがあります。親や親戚などの身近な人から、思春期にこういうことを言われてしまうわけです。
とはいえ、ここに難しさがあることも事実です。私個人としては、状況を改善するための劇薬のようなものだととらえています。実際、例えばRails Girlsのような女性向けプログラミングチュートリアルを受講して、その後に非技術職からソフトウェアエンジニアに転職していった方を何人か知っています。これだけでは説得力として弱いのは重々承知していますが、良い活動だと感じているので、協力していきたいと思っています。
余談: Tシャツ
勉強会のTシャツ問題というものがあります。簡単に言うと、カンファレンスで配られるTシャツは男性向けで、女性が日頃着て出歩くには少し野暮ったいので、参加費を払っているんだから女性向けのサイズも用意してくれたら良いのに、という主張です。限られたリソースで運営している主催者にとっては、サイズのバリエーションを2倍に増やすことはできないかもしれません。ただ、10万円以上の参加費を徴収するようなカンファレンスでは一考してほしいなぁ、と思っています。
GitHub ShopではOctocatのTシャツその他アパレルが、メンズ、レディース両方のサイズで販売しています。こういうのが増えてもいいなぁと思います。
まとめ tl;dr
- 少数の人も気持ちよく参加できる場になると、みんなが幸せ
- 女性も一人の参加者。「女性なのに」はやめよう
- ドラ娘は無くなるといいなぁ
- 女性向けコミュニティは手段。ゴールではない
- とはいえ、難しい問題であることは確か
Merry Xmas!
メリークリスマス! 次24日は0c1er1kaさんです。