DAOとは何か
DAOの概要
DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、ブロックチェーン上で実現する分散型自律組織であり、投票やスマートコントラクトを用いて運営される特徴があります。
DAOは、企業や団体をブロックチェーン上に移行させることで、より透明性の高い運営やスケーラビリティーの向上を実現することができます。
DAOを作るところに課題感あり
このような背景から、DAOに多くの人が興味を持っていますが、どのようにDAOを作っていくかはまだまだ試行錯誤がされている状況です。
多くのDAO(と名のつく組織)は、単なるコミュニティになっていたり、トークンを発行してもそれをどう運用していくかというところで途方に暮れている場合がほとんどです。
今回は、DAOをどのように作っていくかについて、ステップバイステップで解説します。
これからDAOを立ち上げようとしている方々はぜひ参考にしてください。
DAOを作るための前提条件
ブロックチェーンの知識
DAOはブロックチェーン上に構築するため、参加者は一定程度のブロックチェーンの知識を有している必要があります。
MetaMaskなどのウォレットを持っていることや、スマートコントラクトがデプロイされているネットワークについての知識、またガス代を払うための一定の仮想通貨を持っていなければ、参加が難しくなります。
これらの前提知識は大きな参加障壁となるため、丁寧にオンボーディングを行なっていきましょう
トークンの発行について
DAOはトークンによってインセンティブを形成することが通常です。
しかし、トークンを販売したり市場価格のついているトークンを発行すると、法務的・税制的にかなり面倒なことになるのが現状です。
そこで逆説的ではあるのですが、まずは価値のつかないトークンを発行することをおおすすめします。まずはコミュニティ内のポイント(貢献度の数値化)として導入することで、これらの面倒ごとから解放されます。
トークンを発行することにハードルを感じている方は、気軽にテストネットで価値のないトークンを発行しましょう。
初期におけるガバナンスは中央集権にすることも一手
DAOは基本的に管理者はおらず、トークンを投票権とした投票システムで意思決定を行います。
トークンを持った人たちが投票に参加しないとまともに意思決定が進まない可能性もあることに注意しましょう。
よって初期は、リーダーシップのある少数のメンバーがトークンの過半数を保有することで、迅速な意思決定ができるようにすることも考えておきましょう。
DAOを作るためのステップバイステップガイド
① 準備
名前と目的を決める
DAOを始めるには、DAOの名前と目的が必要です。
なぜこのDAOを存在させたいのか、という理由が共感されるものでなければ人が集まらず、DAOとして成り立ちません。
ミッション(使命)、ビジョン(実現したい姿)、バリュー(価値観)で整理すると良いかと思います。
場づくり
Discordサーバを立ち上げ、SNS等で宣伝し、初期メンバーを集めましょう。
コンセプトで共感してくれた人たちとDAOの目的について再度議論し、熱量の高い初期メンバーを集めます。
トークン発行計画の作成
トークンの発行は無計画に行うと無秩序になるため、計画を立てておくことが重要です。
仮案で良いので、どれくらいの期間で、どの程度のトークンをこれから発行していくかを計画しておきましょう。
Uniswapの実例が参考になります。
考え方としては、初期はFounderが過半数を持っている状態にして迅速な意思決定をしつつ、徐々に貢献者にトークンを分配していくようなモデルが良いと思います。
② 設立
トークンの発行
トークン発行ツールは様々ありますが、ガバナンス(投票)や資金管理もできる(Aragon)[https://aragon.org/]を利用するのが良いと思います。
Aragonは執筆現在、Aragon Clientを提供していますが、後継機のAragon Appを開発中のようです。
Aragonの使い方についてはすでに多くのブログ記事にて解説されているため、そちらを確認ください。
注意点として、特にすぐにトークンに価値を持たせる必要がない場合はテストネットで作成することをお勧めします。
テストネットを利用すると、ガス代にかかる仮想通貨が無料で取得できるため、ガス代をかけずにブロックチェーンを利用することができます。
貢献報酬コントラクトの導入
Aragonでトークンの発行やガバナンスはできるものの、トークンをどうやって貢献者に配っていくかというところはカバーしていません。
トークンの配り方は2つの考え方があります。
1、タスクを定義できる場合はバウンティジョブ型
DAOの仕事をタスクに分割することができる場合は、Deworkなどのツールを使い、タスクに報酬を設定します。このように報酬が設定されたタスクをバウンティジョブと呼びます。
これにより、「このタスクを完了したら〇〇トークンがもらえる」という状況を作ることができます。
2、タスクに定義できない場合は相互評価型
一方で、タスク化できない仕事というのも多くあることに気づきます。
その場合は、DAOのメンバー同士で評価をしあい、その評価結果に応じて自動でトークンが割り振られる仕組みを導入することができます。
CoordinapeやTeichakuがツールとして使えます。
手前味噌で申し訳ないですが、Teichakuは私が東京
web3ハッカソンにて開発したプロダクトで、スクラム開発をベースとして、スプリントの中でやったことをDAOメンバーで相互評価をしてトークンを自動で分配する仕組みになっています。
③ その後
DAOの目的と仕組みが整ったら、より多くの人にDAOを広く知ってもらうために情報公開していきます。
計画に従ってプロジェクトの稼働を開始し、動かしていきます。
プロジェクトが価値を生み出してきたら、ここからはもう企業とほぼ同じです。
エンジニア、BizDev、インフルエンサー、顧客獲得、パートナープロジェクトなどの貢献者の募集していきましょう。
フィアット、トークン、ステーブルコイン、NFTベースの報酬モデルを使用し、景品やエアドロップなど、ルールベースの報酬を自動化することが大切です。
DAOがぐんぐんと巨大化してグローバルプロジェクトになることもあります。
ENSのDAO運営では、会社でいう部署のような組織をサブDAOとして切り出し、権限の移譲を行なっています。(参考ニュース)
まとめ
いかがだったでしょうか?
DAOを立ち上げる、という過程が少しでもクリアになれば幸いです。
僕はこれから様々なDAOが立ち上がり、成功するDAOが出てくることが楽しみです😆
参考資料