追加(2022/08/07)
続編書きました。こちらも面白いです。
DAOの定義・特徴
まず、DAOについての基礎知識を簡単に解説します。すでに知っている方は読み飛ばしてOKです。
DAOってなに??
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略称で、日本語では「自律型分散組織」と呼びます。
web3やブロックチェーンの文脈から生まれた概念で、「2022年流行する」と言われている新しい組織の形です。
フォロワーの大半がエンジニアで占めている私のTwitterアカウントでアンケートを実施したところ、72%の人がDAOを知らなかったため、世間的にはまだまだ知名度は低いと思われます。
DAOを本格的にやろうと思うんだけど、興味ある人いる…?(需要調査)
— ちぇん (@yuno_miyako2) June 4, 2022
しかし世界を見渡すと毎日数多くのDAOが生まれています。
下の画像は実際のDAOをまとめた画像です。もちろんここに載っていないDAOもたくさんあります。
(出典: https://daocentral.com/blog/what-is-a-dao)
DAOの定義
DAOの定義は「理想としての定義」と「現実的な定義」の両面で把握した方が良いと思っています。
理想としての定義
リーダーによる人の支配ではなく、コードによる支配によって人が自律的に動いている組織、というのが理想としての定義だと考えています。
具体的には、ビットコインが理想的なDAOだと言われています。ビットコインにはリーダーはいません。Satoshi Nakamotoは実在すら確認されていません。ビットコインはブロックチェーン上のコードがあるだけです。ただそれだけで人々がマイニングをしたり、価値のやりとりが行われたり、取引所が作られたりと、高度に自律的かつ分散的にユーザが活動をしてコミュニティが成り立っています。
現実的な定義
しかし現実的にはDAOの大半は、上記のようにリーダ不在でコードによる支配はできていません。
中には単なるDiscordチャンネルをDAOと自称しているパターンもあったりします。
多くのDAOが持っている特徴から、現実的な定義を自分なりに考えました。
- 独自トークンを発行している
- トークンによる投票で意思決定をしている
- 誰でも参加できる
- トークンによるインセンティブ設計をしている
1. 独自トークンを発行している
今は誰でもツールを使うことで簡単に独自トークンを発行することができます。
DAOは独自トークンを発行していることが多いです。
2. トークンによる投票で意思決定をしている
DAOは誰か一人のリーダーが意思決定をして、それにみんなが従うようなピラミッド構造の命令形態になっていることはほとんどありません。
多くのDAOが合議的・民主的で、投票によって組織の意思決定をしています。
そしてその時の投票権として、上記で発行した独自トークンを使っていることが多いです。
3. 誰でも参加できる
DAOは会社とは異なり、基本的に面接や書類選考等を経ず、メンバーになることができます。
特に初期には、AirDropと呼ばれる無料でトークンを配るキャンペーンを実施して人を集めることが多いです。
もちろん例外はあって、クローズドなメンバーで運営されているDAOや、書類選考のようなものを通してメンバーになれるDAOも存在しています。
4. トークンによるインセンティブ設計をしている
DAOでは貢献度に応じてトークンを配布することでインセンティブ設計をしていることが多いです。
これは不思議な話なのですが、まだトークンに一切価値がない場合でも有効に働いている実例をいくつも見ました。
プロジェクトが成功したときの値上がり益への期待、トークンを保有することによるプロジェクトへの帰属感、その他さまざまなモチベーションによってトークンによるインセンティブが成り立っています。
個人開発プロジェクトをDAOにする
さて、ここからが本題なのですが、私はスタートアップとDAOはすごく相性が良いのではないかと考えています。
スタートアップにはお金がありません。なので仲間を集めることがとても大変です。
そしてスタートアップにはユーザがいません。なのでフィードバックを得ることがとても大変です。
DAOならば、トークンによるインセンティブによって金銭的なリスクを負わずに人を集めることができます。そしてサービスのユーザにもトークンを配ることで、ユーザを運営に巻き込むことができます。(もちろんうまくいけば、です)
Englister DAOに参加しませんか?(宣伝)
ということで、私が実際に自分の個人開発プロジェクトをDAO化してみようと思いました。
正直なところ、うまく回るかは全く未知数ですが、ゆるく運営していこうと思っています😊
興味のある方は、こちらから詳細確認をして事前登録してみてください!
今はAirDropキャンペーンとして、事前登録してくれた人にトークンの山分けを行っています!
DAOを作ろうと思った人へ
個人としての想いは、この記事を見て優れたアイディアを持っている人や個人開発のプロダクトを持っている人にDAOを立ち上げてもらいたいと思っています。
今回、Englister DAOを設計するにあたって得た知見を共有いたします。
トークンエコノミクスの設計
「誰にどれだけトークンを配るのか?」は考えてみるととても難しい問題です。
そして自分の知る限りまだベストプラクティスが全く固まっていません。
さまざまなDAOに参加して、どんなトークンエコノミクスを設計をしているのか見て回りつつ、自分のプロジェクトにあった設計を考えてください。
DAOを実際に運営している人の声を聞く
DAOを解説しているサイトや動画は、理想論を語る傾向にあります。
しかし実際には、「トークンを配ったけど誰も投票してくれない」とか「AirDropのキャンペーンが終わったら人々が離れていった」とか「結局特定のプレイヤーに権力が集中する」とか実際に運営していくと理想通りには進まない現実があるようです。
DAOを運営をしている人からしか聞けない生の情報をもとに自分のDAO運営に活かしていきましょう。
責任者になる必要はある
収益性のあるアセット(Webサービス等)を構築する、ということが目的になると思うので、現実的に誰かが責任者になる必要があります。というのも、誰かがAWSと契約をしたり、Stripeからの収益を受け取る口座を用意したり、税金の支払いをする必要があるからです。
そういう意味で、DAOの理想である「人による支配の排除」を完全に実現することは難しいのですが、サーバントリーダーとなっていくことが求められるのだと思っています。
日本の法律というリスク
まず前提として、DAOやトークンの法的な整備は全く整っていません。
その意味で情報収集が非常に大変なのですが、なかなか個人だと弁護士と相談しながら進めていくことは難しいと思います。
自分が色々な人と相談していた中でこれはリスクがあると思ったのは、トークンが金商法第2条第2項第5号のみなし有価証券と取られる可能性があることです。トークンと引き換えに出資を受けてしまうと、それは実質的に有価証券とみなされ、必要なライセンスや手続きをしていなければ最悪逮捕される可能性もあるようです。
あくまでも労務による貢献に対してトークンを配布にとどめることでリスクを抑えることができると考えています。
もちろん今後情勢が変わったり、法的解釈も整っていくと考えられるので、アンテナを張りながら進めていくことが求められます。
最後に
DAOはまだまだ新しい概念ですが、スタートアップを加速させる新しい組織のあり方だと信じています。
DAOに可能性を感じた方は、ぜひEnglister DAOに参加して、一緒にDAOを作っていく体験してみませんか?(宣伝)
また、自分でDAOを作ろうと思った方はぜひTwitterで繋がらせてください。相談を受けることもできますし、情報交換をしていきたいです!
読んで下さり、ありがとうございました。いいねとフォローよろしくね。