はじめに
本記事では、2024年におけるOracleの (個人的に)注目すべきだと思う発表などを取り上げていきたいと思います。
Oracle Cloud Infrastructure (OCI) の進化、AI技術の活用、マルチクラウド戦略の強化、新たなパートナーシップなど、Oracleの成長を簡単に解説していきます。
マルチクラウド戦略の強化
Oracle Database@Azure/Google Cloud/AWSにより複数のハイパースケーラに跨るマルチクラウド環境の強化をし、お客様はより柔軟にデータベースの場所を選択可能なります。
OracleのDatabase ServiceであるAutonomous DatabaseやExadata Database ServiceなどがAWS社、Google社、Microsoft社の各社データセンターから提供されるようになりました。
Oracle Database@Azureに関して
- Oracle Database@Azureがグローバル企業のクラウドへの移行推進を支援
- Oracle Database@Azure Adds New Regions and Services to Meet Global Demand
- Regional Availability for Oracle Database@Azure
Azure上では以前からOracle Database@AzureやOracle Interconnect for Azureなどのサービスが提供されていました。
2024年中には、リージョンやサービスの拡大により、東日本リージョンでもOracle Database@AzureのExaDB-Dのサービスが利用可能になりました。
また、Oracle Database@Azureで、Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Serviceが提供されたり、OCI GoldenGateも間もなく提供開始予定ということが発表されました。
Oracle Database@Google Cloudに関して
Oracle Interconnect for Azureに関して
Oracle Database@Google Cloudに関しては、今年から一般提供を開始しており、日本のリージョンに関しても順次リリースされていくようです。
Oracle Interconnect for Google Cloudに関しては、東日本リージョンで既に提供が開始されており一般に利用できる状態となっています。
Oracle Database@AWSに関して
現在は、限定プレビュー版として米国東部リージョンで提供されています。
2025年中にお客様のニーズに合わせてサービス拠点を拡大していく予定です。
日本企業におけるOracle Alloyでの協業発表
「Oracle Alloy」は、オラクルの顧客企業やパートナー企業が、新規サービスを迅速に構築し、クラウド・プロバイダーとして特定の市場や規制要件に対応するという選択肢を提供します。
引用:Oracle Alloyが野村総合研究所のデータセンターで稼働開始
Oracle Alloyでは、オラクルが提供するクラウドサービスと同等のサービスを、日本の規制や要件に応えうる国産クラウドとして提供します
これによって、昨今、高まっているデータ主権やソブリンクラウド要件への対応が可能になるサービスです。
2024年には、野村総合研究所、富士通、NTTデータとのAlloyでの協業を発表しております。
詳細に関しては、下記のプレスリリースをご確認ください。
ハイブリット戦略の強化
Orace Cloud Infrastructure(OCI)の“顧客専用リージョン”を提供する「OCI Dedicated Region Cloud@Customer(DRCC)」の新たな構成として「Dedicated Region25」を発表した。最小構成が「3ラック」と従来版の4分の1になり、調達や設置、拡張も大幅にシンプル化された。提供開始は2025年中を予定している。
引用:最小3ラックで自社DCに“専用リージョン”設置、オラクルOCI「Dedicated Region25」発表
データ主権に対応するクラウドとして新たに「Dedicated Region 25」を発表し、お客様はより適切なサイズ(現行の1/4サイズで最小3ラック)で迅速に専用クラウド環境が導入可能になります。
2024年に発表されたプレスリリースや記事に関しては、以下をご確認ください。
クラウドセキュリティの強化
Zero Trust Packet Routingを発表し、ネットワークセキュリティを強化しました。またバイオメトリック認証をつかいパスワードの代わりに、指紋や顔認証も活用する方針
を示しました。
OracleはZero Trust Packet Routingを発表し、ネットワークとセキュリティ・アーキテクチャを分離して、人的ミスに起因するデータ漏洩を防止しクラウド・セキュリティを強化しています。
また、バイオメトリック認証を使用して、パスワードの代わりに指紋や顔認証も活用する方針を示しています。
引用:Oracle Cloud Infrastructure IaaS 新機能アップデート 2024/9
2024年に発表されたZero Trust Packet Routingに関する記事に関しては、以下をご確認ください。
ゼタスケール・クラスタの導入
スーパーコンピュータの処理性能をも凌駕する、NVIDIA Blackwell GPUを使用した世界初のゼタスケールのクラウドコンピューティングクラスタ(Supercluster)を発表
し、大規模なAIトレーニングや推論処理に最適な新たな技術を提供します。
最大131,072基のNVIDIA Blackwell GPUを搭載可能で、これまでにない2.4ゼタFLOPSのピーク性能を実現します。「OCI Supercluster」は、最大でFrontierスーパーコンピューターの3倍以上のGPU数、他のハイパースケーラーの6倍以上のGPU数を提供します。
引用:オラクル、業界初となるゼタスケールのクラウド・コンピューティング・クラスタを発表
上記のゼタスケールのクラウドコンピューティングクラスタ(Supercluster)によって、大規模なAIの構築、トレーニング、推論を支援することが可能になっています。
詳細に関しては、以下のプレスリリースをご確認ください。
GenDevの導入
GenDevは、JSON Relational Duality Views、AI Vector Search、「APEX」などの、「Oracle Database 23ai」の各種テクノロジーを組み合わせ、生成AIを活用して開発を簡素化します。
引用:オラクル、エンタープライズ向けのAI中心型生成開発インフラストラクチャを発表
OracleはGenDevというコンセプトの発表を行い、これによって、開発者がOracle Database 23aiの技術を活用して、AIの支援を得ることで、データ・インフラストラクチャの業務から解放され、アプリケーション機能の構築に専念可能となっていきます。
GenDevに関するプレスリリースに関しては、以下をご確認ください。
OCIに関する注目サービスのリリース
前述したサービス以外にも、数々のサービスや機能がOCIで拡充されています。
その中でも個人的に注目すべきサービスや機能を紹介していきます。
Exadata Exascaleの発表
『Exadata Exascale』はインフラストラクチャ・コストを最大95%削減できるため、小規模なワークロードや中小企業でもクラウド上の『Oracle Database』で『Oracle Exadata』のメリットを活用できるようになります。
引用:オラクル、クラウド向けインテリジェント・データ・アーキテクチャ、Exadata Exascaleを発表
OCI上で現在提供されているExascaleのデータベースサービスとして、Oracle Exadata Database Service on Exascale Infrastructure (通称ExaDB-XS)があります。
現在では、東京リージョンでもリリースされており、今後はマルチクラウドのデータベースサービスとしても利用できるようになる予定です。
以下は、ExaDB-XSの利点になります。
引用:Exadata Database Service on Exascale Infrastructure (ExaDB-XS)サービス技術詳細
OCI Generative AI Agentsの発表
Oracle Database 23ai AI Vector Searchのサポートにより、手動で連携することなくフルマネージドのRAGサービスが利用可能に
OCI Generative AIで、Cohere Command RおよびCommand R+モデルに加えて、Meta Llama 3.1モデルのサポートを開始
引用:オラクル、強力な生成AI RAGエージェントの提供およびAIサービス強化により、お客様のビジネス課題解決を支援
検索拡張生成 (RAG)機能を搭載したOCI Generative AI (GenAI) Agentsの提供を開始し、このエージェントを使えば、エージェントの計画、検索、リランキング(再ランク付け)、生成、統合などの手動プロセスの手間を省き、すぐに利用を開始できます。
さらに、Oracle Database 23ai AI Vector Searchを活用することで、データベース内の情報を高速で検索し、RAG機能を簡単に実現できます。OCI上のOracle Database 23aiを利用しているユーザーは、データを別のシステムに移すことなく、ベクトル検索やRAG機能を活用できるようになります。
引用:OCI Generative AI Service & Agents Service 製品概要
Oracle Cloud MigrationsでAWS EC2 をOCIに移行可能に
Oracle Cloud Migrationsでは、Amazon Web Services (AWS) EC2インスタンスのOracle Cloud Infrastructure (OCI) Computeへの移行がサポートされるようになりました。
引用:Oracle Cloud Migrationsでは、AWS EC2インスタンス移行のサポートが導入されています
大前提として、Oracle Cloudは他社のクラウドサービスと比較して、コストパフォーマンスが非常に優れています。
詳細に関しては、以下の記事と資料を参考にしてください。
引用:【入門&再入門】 はじめてのOracle Cloud Infrastructure [+最新情報] Oracle Cloud ウェビナー
今回のサービスアップデートで、クラウド移行サービスであるOracle Cloud Migrationsを利用することで、従来対応していたVMware上の仮想マシンに加え、AWS EC2インスタンスの移行も可能になりました。エージェントレス構成のため、セットアップが簡単である点のが特徴です。
このサービスを活用することで、AWSからOCIへの移行が効率的かつスムーズに行えるようになり、エンタープライズ環境の柔軟性と利便性が向上します。
引用:Oracle Cloud Infrastructure IaaS 新機能アップデート 2024/9
上記OCIの新サービスに関するプレスリリースや記事は以下を参照してください。
参考文献
-
Exascaleに関して
オラクル、クラウド向けインテリジェント・データ・アーキテクチャ、Exadata Exascaleを発表 -
OCI Generative AI Agentsに関して
オラクル、強力な生成AI RAGエージェントの提供およびAIサービス強化により、お客様のビジネス課題解決を支援 -
Oracle Cloud Migrationsに関して
Oracle Cloud Migrationsでは、AWS EC2インスタンス移行のサポートが導入されています
Oracle Cloud MigrationsでAWS EC2 VMインスタンスをOCIに移行
おわりに
2024年、Oracleは様々な面で革新を続け、Oracleが持つ技術と戦略の力を改めて証明する年となりました。
来年2025年も、さらに飛躍を遂げることに期待は高まるばかりです。