「あみだくじ」は当たりくじの直上付近が有利と言われていて、要するにくじを選ぶ順番によって有利不利が決まる不公平なくじであることが知られている。そんな不公平な「あみだくじ」に代わる手軽で公平なくじ引きの方法を閃いたので、記載しておく。
おそらく既出だと思われるが、ググっても正式名称がわからないので、この記事では一旦「とけいくじ」と呼称する。
先に具体例
抽象的な手順を見ても混乱すると思われるので、先に具体例を書いておく。
アリス、ボブ、キャロル、デイヴ、エレンの5名は仲良く円卓を囲んでショートケーキを食べていた。しかし、ショートケーキは8等分されており、3つのショートケーキが余ってしまった。とても美味しいショートケーキだったので、誰が余ったショートケーキを食べるかで揉めてしまった。話し合いでは決まらないので、「とけいくじ」で決めることにした。
アリス達は時計回りにアリス、ボブ、キャロル、デイヴ、エレンの順で円卓に座っていた。とりあえず余った3つのショートケーキをアリス、キャロル、エレンの前に置いた。
次にアリス達は他のみんなには見えないように手元の紙に好きな数字を書いて伏せた。全員が数字を書き終わったところで、一斉に書いた数字を明かした。アリスは5、ボブは2、キャロルは7、デイヴは9、エレンは4と書いていた。
アリス達は書いてある数字分、つまり27回分ショートケーキを時計回りにぐるぐると隣に回していった。ショートケーキが目の前に来たボブ、キャロル、エレンはショートケーキを食べられる事が決まり幸せそうだった。アリスとデイブは羨ましそうにそれを見ていた。
抽象化した手順
- くじ引きに参加する人数を$n$人、$i$番目の参加者を$p_i$とする($i=1,2,\cdots,n$)。
- 当たりの数を$m(\le n)$個、$j$番目の当たりを$w_j$とする($j=1,2,\cdots,m$)。
- 各当たりを$1,2,\cdots,n$のいずれかの番号で一意に採番し、当たり$w_j$に採番された番号を$m_j$とする。
- 各参加者は任意の整数を決める。この段階では他の参加者に決めた数字は明かされない。参加者$p_i$が決めた整数を$z_i$とする。
- 参加者全員が数字を決めた段階で、各参加者は決定した整数を明かす。
- この時、$i \equiv m_j + \sum_{k=1}^{n} z_k \mod n$となる$i,j$について、参加者$p_i$が当たりくじ$w_j$に当選する。
余談
この「とけいくじ」の恐ろしいところは1人でも偏りなく整数を決める参加者がいると、他の参加者の決める整数にどんな偏りがあっても、全体としての当選確率に偏りがなくなる事だ。